このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。

市議団の活動

神戸市の2013年度予算案分析

2013年02月24日

無駄づかいは継続 空港関連に36億円など

市民要求も反映 中学校給食に調査費

神戸市が発表した2013年度当初予算案は、一般会計711億4400万円(前年度比242億9000万円・3.3%減)、特別会計6933億9700万円(同106億2900万円・1.5%減)、企業会計3046億8500万円(同568億4300万円・15.7%減)、合計1兆7082億2600万円(同917億6200万円・5.1%減)となっています。

予算案について矢田市長は「『ひと』と『まち』が活き飛躍する都市へと確実に飛躍させるとの強い決意のもとに編成した」としています。さらに「震災後の行財政改革で捻出した復興余力を糧に、一歩ずつ確かな足取りで歩みを進め、今日の神戸を築いて」きたと、自画自賛しています。しかし、矢田市長が市政を担当した11年間、市民の暮らしや中小企業の経営は良くなっているのでしょうか。逆に一層厳しさを増しているのが現実です。「行革で捻出した復興余力」が市民の暮らしをよくする方向には使われなかったことを示しています。

JR三宮周辺整備も

この姿勢は、新年度予算案にも貫かれています。「国際コンテナ戦略港湾」など神戸港の整備に82億円、神戸空港関連に36億円、神戸クラスター(医療産業都市)関連に59億円、新長田駅南再開発事業には21億円、ウォーターフロント整備に15億円が投入されます。JR三ノ宮駅前再整備事業をJR西日本と合同で調査・検討するための予算も計上されています。公立保育所の廃止・統合、学校給食調理業務や学校管理業務の見直し、市バス路線の民間移譲などで334人の人員削減を始め、行革には徹底して取り組むとしています。

予算案には、中学校給食の実施に向けた調査費や小中学校の空調整備費、生活関連公共事業費の増額など、市民の声を反映した部分も含まれています。しかし、大型事業推進、「官から民へ」の路線や行革路線の推進、市民サービス削減という矢田市政の姿勢が貫かれたものとなっています。

実質予算規模は昨年並み

歳入では、市税収入は14億円増加していますが、市民税は22億円減少しています。個人市民税の2億円の減少にたいして、法人市民税は20億円も減少しています。国庫支出金は、生活保護受給者増、障害者福祉や学校の空調整備などに伴う教育費補助の増などで32億円増加(前年度比)しています。市債は、建設地方債が53億円増加(同)したことなどで29億円増加(同)しています。13年度末の市債残高は2兆2121億円にのぼります。  歳出では、すでに指摘したような大型開発関連に多額の予算を投入しています。他方、福祉乗車証制度から生活保護世帯を除外、特別養護老人ホーム等への上下水道料金を13年度末に全廃、借上公営住宅からの入居者追い出しの姿勢もかえていないなど、市民生活を圧迫する内容ももりこんでいます。

政府の公共事業費拡大方針によって投資的経費が115億円増加(同)しています。このなかには道路・橋梁、公園、学校、市営住宅の補修・改修など、市民に身近な事業費も含まれています。課題は、これらの仕事が、市内の中小企業が直接受注できるかどうかです。

「官から民へ」さらに加速

「官から民へ」の姿勢はさらに強まっています。知的障害者通所施設「たまも園」を民間法人による移転・建て替えをすすめるとしています。公立の細田、上高丸両保育所も民間による建て替え・運営をすすめようとしています。指定管理者制度は現在、998施設に導入されていますが、株式会社等が835施設(83.7%)にもなっています。新年度は、東灘図書館、西神南自転車駐車場にも導入するとしています。市バスの9路線を民間に移譲するとしています。さらに「公民連携」をすすめるための推進室まで設置するとしています。  市職員は、阪神淡路大震災後に6602人も減少しています。今後予想される南海東南海地震などの対応に支障が生じることになりかねません。外郭団体の見直しでは、団体数を減らしたとしているものの1便30人程度しか利用しない海上アクセスは、OMこうべと統合しあくまで存続させるとしています。

生活保護受給者に対する「就労・自立」を促進するとして、ハローワークとの連携を強めるとしています。さらに「長期入院者に対する退院支援」も進めるとしています。被保護者への退院強要につながる可能性も否定できません。政府やマスコミなどによる生保バッシングを利用した受給削減にもつながる危険性があります。

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるようコミュニティづくりを支援する地域見守り活動の充実や災害時要援護者支援体制づくりを進めるとしていますが、民間借上住宅からの入居者追い出しは、この施策とは真逆の対応となっています。

学校に空調設備 乳幼児医療助成も拡充

市民の運動を反映したものとして、中学校給食の実施に向けて調査費がつきました。全員喫食、自校方式実現にさらに運動の強化が求められます。小中高校の普通教室に空調施設が整備されます。また、トイレの改修もすすめられます。乳幼児医療費助成制度は、中学校卒業まで外来の窓口負担が2割(現行は3割)に軽減されます。特別養護老人ホームは4施設(定員229人)が整備されます。他の高齢者介護施設も増やされます。保育所待機児童解消では、新設9か所も含め900人分の受け入れ枠が拡大されます。しかし、民間任せという基本は変わっていません。さらに、駅構内の空きスペースやビルの空き床利用、保育ママ制度の拡大など、保育環境の悪化につながる問題も含んでいます。観光面では、六甲・摩耶観光の振興策など、六甲山の活用策も組み込まれています。