三宮再開発計画(神戸市会報告2018年1月号外)
2018年03月08日
三宮再開発計画
みなさんの声を神戸市に集中しましょう!
神戸市は、大企業や外資系企業のもうけを最優先に、安倍政権のすすめる成長戦略に沿って、三宮一極集中の巨大再開発を強行しようとしています。
開発を具体化するものとして「『えき?まち空間』基本計画(案)」、「新バスターミナル基本計画(案)」を発表しました。2つの計画(案)の問題点について、日本共産党神戸市会議員団は、以下のように考えますのでご覧ください。また12月27日から2月9日まで市民意見募集(パブリックコメント)も行われますので、市民のみなさんのご意見・ご批判を、神戸市に集中してくださるようお願い申し上げます。
1 「『えき?まち空間』基本計画(案)」について
大型公共事業なのに、予算規模は不明なまま
「えき?まち空間」には、バスターミナル・三宮クロススクエア・5つの駅前広場などの公共施設が新設されます。これに加え、市役所付近に新庁舎をつくります。しかし、市長の「常識的に言って数千億円」というコメント以外、具体的な予算計画はありません。これで市民は納得できるでしょうか。
三宮駅南側の2号線は「三宮クロススクエア」として車両進入を禁止し、周辺道路の交通量が増加します。さらに車の流れの分析抜きに、駅前の通過交通が遠く六甲アイランドまで迂回するというびっくりする案を示し、批判の高い阪神高速道路湾岸線延伸工事(総工費5000億円)の口実にしようとしています。
既存の商業考慮せず、「にぎわいづくり」を最優先
「えき?まち空間」として三宮駅周辺は、「にぎわいの原動力となる用途の施設配置」(商業施設)の誘致がすすめられます。新たな「にぎわいづくり」が最優先され、現在、商売されている事業者の営業を守ることなどは検討されていません。
企業誘致には、際限のない規制緩和と支援メニューが
国の成長戦略に伴う特例措置に上乗せし、神戸市としての規制緩和や様々な補助金・支援メニューが際限なくつくられる可能性があります(左表)。大企業やゼネコンへの支援のための税金投入、さらに乱開発を誘発する危険があります。
①建物更新を促進するためのインセンティブの例
・商業、業務系の建築物に対する容積率の緩和
・附置義務駐車場の見直し ※必要確保台数の免除など
・経済インセンティブの拡充(補助金、企業家支援等) 等
②民間開発事業にあわせて、民間事業者が公共空間を創出するためのインセンティブの例
・民間開発事業の中でのボイド整備や地下通路やデッキの動線強化に対する補助の検討
・特定都市再生緊急整備地域に関する特例措置等
⇒都市計画の特例
(都市再生特別地区による容積緩和等)
⇒民間都市再生事業計画の策定による税制特例・金融支援
2 「新たな中・長距離バスターミナルの整備に向けた雲井通5・6丁目再整備基本計画(案)」について
「住民福祉」より、「国際競争力強化」を優先
地方自治体の本旨は「住民福祉の増進」(地方自治法)です。「国際競争力強化」に特化した地域をつくり、誘致企業や開発業者への支援を野放図に行うことが神戸市の仕事でしょうか?
三宮周辺が指定されている「特定都市再生緊急整備地域」とは
都市再生緊急整備地域のうち国際競争力強化に資する地域を国が特に指定したもの(全国13地域)。
“バスターミナルビルは観光客も多数往来するため、乳幼児連れや高齢者など区役所の来庁者がいては混雑、混乱が生じる”―神戸市はこんな驚くべき理由で移転をすすめようとしています。また勤労会館内にある体育館は、移転場所さえ決まっていません。
文化ホールや図書館は、利用者の声を一切聞かずに移転
バスターミナルのビル内に、1500人規模の文化ホールが整備され、長年市民が愛着をもっている大倉山の文化ホールは廃止。三宮図書館は駅前に残りますが、仮移転含め2度移転されます。利用者の意見を全く聞かずに、「移転ありき」は、あまりに強引すぎます。
教室不足の小学校区に神戸市が高層マンションを誘致
ビルには「中長期滞在機能」という表現でマンションが予定されています。この地域の小学校区は、教室不足の「要注意地区」に指定されています。民間開発を優先し、子どもの教育環境を代償にするなど、とんでもありません。
※「要注意地区」とは
今後6年について、児童の受け入れのために何らかの対策が必要、または、そのおそれがある小学校区。
あまりにも過大なバスターミナル建設
新たなバスターミナルは25~30バース(停留場所)もの広大なもの。東京・新宿のバスターミナルでさえ15バースです。新宿を超える規模のバスターミナルが必要でしょうか?
三宮再開発は、地域への影響を考慮せず、大企業の最大限のもうけに奉仕する計画になっています。
三宮は今の商業を大切に市民の声が反映した発展を
久元市長は「三宮の再整備は、巨大開発を進めるためでも、商業床を大量に供給するためでもありません。政府の成長戦略に足並みを合わせるための施策でもありません」(市長ブログ)としてきました。しかし、三宮再開発によって大型公共工事とともに、商業床が大量に供給されることは明らかです。さらに、政府の成長戦略にそった規制緩和で、民間事業者にすべてが委ねられるので、神戸市が過剰な商業施設やマンションを規制できません。
日本共産党神戸市議団は、三宮駅前のあり方は市民や事業者、通勤する人の意見を踏まえ、既存の個店や事業者のリフォーム助成・営業支援に力を入れ、バリアフリーなど時代に合った改善をすべきと考えます。三宮一極集中の巨大開発は中止し、9つの行政区のバランスとれた地域と経済の活性化をすすめてこそ、神戸全体の景気底上げにより中心市街地も発展します。
PDFファイル:神戸市会報告2018年1月号