2019年度神戸市予算案について(1)
2019年02月12日
2019年度神戸市予算案について
アベ政治の持ち込みによる“神戸のまち壊し”にストップ!
住民と力をあわせて、政治を動かし、要求実現を前へ
日本共産党神戸市会議員団
神戸市会議員選挙(3月29日告示・4月7日)をひかえた2月8日、神戸市は2019年度当初予算案を発表しました。
4年前の選挙で日本共産党は、9名から12名へ第二会派に躍進。この4年間、住民のみなさんと力をあわせて野党であっても、数々の住民要求を実現してきました。新年度予算でも、長年の運動と論戦が実り、学校体育館や特別教室へのエアコン設置、民有地擁壁工事の公費助成、転居子育て世代へのリフォーム助成や家賃補助が実現しました。
日本共産党神戸市会議員団は、市民の切実な願い実現の流れをさらに前進させるとともに、安倍自民・公明政権いいなりの久元市政の、“神戸のまち壊し”にストップをかけるために全力をつくします。
1 うわべだけの“質”を求めて駅前開発を進める予算から、地域の暮らしに根付いた「住民の福祉の向上」に転換を
予算発表にあたって、久元喜造市長は「暮らしの質と都市の価値向上」を重点にするとしました。しかし、市長が重視する「暮らしの質」とは「街のたたずまい」や「景観」「デザイン性」です。
事実、新年度予算では「子育て・教育、高齢者・障害者施策など、すべての世代を対象とした社会保障生活は厚みを増し」などとし、自らが掲げた「子ども医療費の無料化」や「高校生まで助成拡大」には、まったく手をつけていません。
その一方、大阪湾岸道路西伸等に58億円、国際コンテナ戦略港湾に63億円など大型開発を推進。また、神戸市が人口減少社会を迎えても、大企業や外資系企業が「効率的」に儲けを確保することを狙い、トップダウンで進める三宮・ウォーターフロントの巨大再開発には34億円を計上しています。
市民が求めているのは、子育てや教育、医療や福祉など、暮らしに根付いた生活の質の向上であり「たたずまい」や「デザイン」など、うわべだけの「質」の向上ではありません。
いま、市民の暮らしむきはどうでしょうか?
安倍内閣の施策によって、実質賃金や年金が下がるなか、国民健康保険料や介護保険料の負担増や、保育所や学童保育の待機児童増など、若い世代から高齢者まで、先行きが見えない将来不安がひろがっています。また、医療・買い物・交通・防災、どれをとっても親しんだ地域に住み続けられるのか、切実な課題に直面しています。
いま、神戸市政には、アベ政治の持ち込みによる“神戸のまち壊し”によって住民に負担を強いるのか、それとも国の悪政から住民を守る役割を発揮するのかが、問われているのではないでしょうか?
2 住民の願いをまっすぐ届け、実現へ全力 日本共産党市議団
日本共産党神戸市議団は、9つの行政区に議員を持ち、草の根ネットワークを活かし、住民の願いを実現してきました。
新年度予算でも、住民のみなさんと力をあわせた長年の運動と議会論戦が実り、多くの施策を実現させました。
災害に強いまちに
生活再建と民有地防災工事に公的助成実現
日本共産党神戸市議団は、阪神・淡路大震災の直後から、被災者への個人補償を求め、超党派で運動してきました。そうして制定された被災者生活再建支援法は、昨年、寺崎副市長が「私的財産に対する公的な補助・助成をやるべきじゃないという議論を乗り越えてつくられた制度」です。
災害からの復興と防災強化は、こうした国の「私有財産は支援しない」という「原則」を抜本的に転換し、市民と生活再建と安全のために、公的支援を行う政治への転換が求められています。
昨年9月の議会では、せめて500万円以上に支援金の増額を求めた日本共産党の質疑に、市長は「支援法の対象拡大に加えて災害規模要件の緩和も国に要望する」と表明し、国家要望にも盛り込まれました。さらに支援法の対象外である半壊・一部損壊・床上浸水世帯にも支援金を支給する神戸市の支援制度(兵庫県との協調)が初めて実施され、見舞金の拡充とあわせて、7月からの豪雨・台風被害者に168件5900万円が支払われました。
日本共産党は、神戸の災害経験や横浜や広島の支援事例を示し、神戸の住宅地の防災力を高めるためには、危険な擁壁の撤去や改修など民有地への公的支援が絶対に必要と、くりかえし議会で質問しました。
そして新年度予算案では、「民有地は個人の責任」が「原則」という神戸市のかたくなな言い分をついに覆し、民有地擁壁など「危険がけ応急対策助成」(補助額2/3・上限100万円・要件あり)が予算化されました。また危険なブロック塀の撤去に対する公費助成(補助額2/3・上限20万円等)も実現しました。
そのほかにも、西神南地区への消防出張所の整備、水上消防の浸水対策、防災の抜本工事として、浸水被害防止に新ポンプ場および雨水幹線の整備(東川崎地区)、高潮時に雨水幹線の破損を防ぐ工事(東灘区)、国道428号(箕谷北)のトンネル整備、烏原川(鈴蘭台北町他)の河川災害対策の拡充が予算化されました。(灘区篠原台や兵庫区清水町も砂防ダムの建設を国の予算で実施)
昨夏以降の運動が実る
エアコン設置などの学校環境改善
学校・園の環境改善について、日本共産党議員団はこれまでも独自に全校アンケート調査を実施し、データを示して改善を求めてきました。神戸市もその必要を認め、改修予算を飛躍的に増大させ、老朽化校舎やトイレの改修、普通教室へのエアコン設置も進みました。新年度予算では、過密校対策のための増改築や大規模改修、エレベータ設置の予算が増額されました。
さらに、昨年10月の日本共産党の今井まさこ議員の質問に対し、教育長は「国の交付金制度などを活用し、特別教室とともに、避難所になった中学校の体育館に優先的にエアコンを設置したい」と市議会で初めて表明しました。新年度予算では、災害時には避難所にもなる中学校体育館(31中学校)にエアコン設置の予算化が実現。特別教室も国の交付金も活用し、85小学校と35中学校分の予算が確保されました。エアコンについては、仮設校舎の空調増設や老朽化空調の更新、幼稚園の保育室に全園設置も決まるなど大きく前進しました。
長年の論戦で風穴
子育て世帯転居リフォーム助成、家賃補助が実現
長田区や兵庫区などでは、高齢化、建物の老朽化などの理由から、都心周辺部であっても人口が減少するインナーシティーが問題になっていました。日本共産党は、若年層を呼び込むためには過去おこなっていた若年層向けの家賃補助の復活が不可欠と、一貫して要望してきました。新年度予算では、人口過密が問題となる三宮近郊をのぞき全行政区対象に、就学前の子どもがいる世帯の住み替え後の家賃補助、(最大3年間で計54万円)が実現しました。
住宅リフォーム助成制度は、住民がリフォームを行った場合にその経費の一部を自治体が助成することにより、住宅の改善を容易にすると共に、中小零細事業者の振興をも図るものです。日本共産党は、企業の呼び込みなど外需頼みではなく、循環型の地域経済をつくる重要施策として、業者団体と連携実施をもとめてきました。これまで耐震化や、介護用具設置などの助成制度に限定されていましたが、新年度予算では、転居直後の子育て世代に限定されますが、リノベーションにかかる費用の2分の1・最大50万円のリフォーム助成制度が実現しました(市外からの転居者は70万円まで)。
いずれの施策も、日本共産党は、インナーやニュータウン対策や地元中小業者の仕事起こしなど、地域と地域経済の活性化に結び付く事業となるよう、要件緩和や制度充実をもとめて、引き続き全力で頑張ります。
子育て、福祉、地域でも一定の前進
子育て世代の負担軽減については、保護者のねばり強い運動と議会論戦が実を結び、就学援助の直接申請制度化や入学児童生徒学用品費の入学前3月支給が昨年実現。今年は、小・中学生ともに支給金の1万円増額がきまりました。このほか、予防接種助成拡充(インフル、ロタ・おたふく)、新生児聴覚検査費用の助成制度創設、通学定期割引率拡大、医療的ケア対策や児童虐待防止策の拡充などが実現。認可保育施設の新増設(17か所930人分、遊休土地活用も)や学童保育の増設(5か所)や民設学童への助成拡充が実現しています。
また、精神障害者医療助成の創設、難病患者支援センター設置など要望の強かった事業が実施されます。
地域住民の要望の強かった、西神中央地域への区役所の設置、北神区役所・図書館への格上げが実現。慢性的な交通渋滞で悩まされている、垂水区小束山6丁目交差点及び、北区皆森交差点への対策も強化されました。
要求実現の財源はある
運動と論戦で要求をさらに前へ!
三宮再開発など不要不急の大型開発や「大企業よびこみ」の6億円もの減税や、補助金など大盤振る舞いなどの無駄づかいをただし、予算のわずか2%程度を組み替えれば、子どもの医療費無料化や、国民健康保険料の引き下げなど、切実な住民要求が実現できます。
くわえて、この10年間で、神戸市は福祉切り捨てなどで貯めた年度会計の黒字の積み増しによって、財政調整基金を120億円も大幅に積み増しています。議員団は、総務省が財政調整基金を「優先的に取り組む事業への活用を図る」ことを求めていることを示し、毎年論戦で求め2年前から活用が開始されています。現在、神戸市の「ため込み金」は、約270億円(財政調整基金129億円・都市整備等基金139億円 2018年3月現在)です。
日本共産党は、住民福祉と地方自治を保障する財源の確保を国に求めるとともに、神戸市予算の使い道をあらため、市の「ため込み金」も積極的に活用し、切実な住民要求にこたえるよう求め、がんばります。
<次号につづく>