「絆」強調するなら、借上入居者追い出すな
2012年03月02日
森本真議員の代表質疑
矢田市政の特徴
大型開発はすべて破綻状態
森本議員は、阪神・淡路大震災後、市民不在、ムダづかいの市政が進められてきたことなどを指摘、新年度予算案でもその流れが続いていると批判。震災後の市政の特徴として①創造的復興という名で湯水のように大金を支出した神戸空港建設や海上アクセスの再開、医療産業都市構想、国際コンテナ戦略港湾、新長田駅南再開発事業など大型開発を進め、それらが破綻状態になっている②大型開発・ムダづかいに多額の資金を投入する一方、市民のくらし・向上の施策は、財政難を理由にそっちのけにされてきた③海上アクセス、舞子ビラ、住宅供給公社などの負債を将来の市民に押しつけようとしていること、などをあげました。
借上災害公営住宅
命を守るのが市政の役割
借上災害公営住宅について神戸市は、2010年3月、世界に発信した文書(英文)で、被災者に対して、借り上げも含む住宅を提供したことを評価する内容を記載しています。森本議員は、自ら評価しながら、その借上住宅から高齢者・障害者を追い出そうとしていることを厳しく批判。市長が予算案の提案説明で「絆」について強調しながら、なぜ「絆」「コミュニティ」を壊すのか、として「追い出し計画はきっぱりやめるべきだ」とただしました。
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答弁:中村副市長は「強制的な追い出しではない。できるだけ希望に沿うところをあっせんしている。絆が重要なことは認識している。希望地域の事前予約制、グループ申し込み制度も夏以降に実施する」などと、従来通りの答弁に終始しました。
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森本議員は「絆、命を大切にするなら方針を転換すべきだ」と迫りました。また、「仮設住宅などで起きた孤独死という悲しい事態をなぜ、繰り返そうとするのか。命を救うのが市の役割ではないのか」と、あくまで答弁に立とうとしない矢田市長を厳しく批判しました。
新長田駅南再開発事業
業者への直接助成などの実施を
阪神・淡路大震災による火災で消滅した地域に神戸市は、震災からわずか2ヵ月後に再開発と区画整理事業の網をかけました。その結果、元住んでいた借家人などの被災者が戻ることができなかったり、いまなお多くの更地が広がるということになっています。
森本議員は、震災復興再開発事業という名目で、30数棟のビルを建て、震災前以上の商業床をつくった結果、多くのシャッター街をつくり、従前商店主の持ち床の資産価値を下げ、苦しめてきたのは神戸市だと批判。
何とか元気な地域を取り戻したいとがんばる事業者にたいして、事業継続支援助成など直接支援をおこなうべきだと求めました。
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答弁:中村副市長は「管理費軽減については、新長田まちづくり会社が、24年度から検討している。直接支援ではなく、地区全体の商業活性化と資産価値上昇を図ることが重要」などと答弁しました。
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森本議員は、すべてが後手後手に回っていると批判。「震災で何もかも失った市民の復興、というのは東日本でも大きな問題になっている。神戸がどう被災商店街を助けるのか注目されている。空港や医療産業都市に沢山のお金を使うより、被災者のために使うことが、今必要だ」と予算の使い方が間違っていると批判しました。
神戸空港問題
新都市の支援なしに成り立たない
神戸市は、神戸空港建設当時、神戸空港ニュースなどで、所得増や市税の増収、福祉・教育・文化なども充実すると、バラ色の宣伝をおこないました。
しかし、6年経った実態は誰の目にも明らかです。利用者は需要予測に一度も到達せず、新年度予算では新都市整備事業会計から9億円も補てんしないと運営できない状態になっています。これまでに新都市整備事業会計から、神戸空港の借金や赤字の穴埋めなどに流用された現金は、1100億円にのぼります。一般会計に繰り入れられていた新都市整備事業会計剰余金も、空港建設が始まった年度から、繰り入れはなくなりました。新都市事業会計の土地を、文明博物館群構想用地や、クリーンセンターの建て替え用地として必要面積の二倍もの土地を一般会計で購入したり、住宅供給公社にも土地を買わせ、同公社の経営破綻の要因を作り出しています。
さらに、過去の開発利益を積み立ててきた市民の財産ともいえる「新都市整備事業会計基金」を廃止するとしています。これは、今まで以上に、空港に新都市整備事業のお金をつぎ込もうとするものです。
森本議員は、神戸空港にたいする新都市整備事業会計からの支援1100億円が返還されないことになる、と批判、同会計からの空港支援は中止するよう求めました。
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答弁:小柴副市長は「世界的な不況で、全国的にも企業誘致は進んでいない」「23年度は内陸部で明るい兆しも出ている」「空港島の企業債返還は土地を売却して返還する」などと答えました。
医療産業都市構想
医療機関集積は危険
ポートアイランド2期で進められている医療産業都市構想には、国費も含めて1500億円以上の費用が投資されています。しかし、経済効果など、成果は市民には見えません。
東南海・南海地震の津波の危険性が指摘されているにもかかわらず、中央市民病院と県立こども病院をはじめ、様々な高度病院を集積させることは、きわめて危険です。
森本議員は、東日本大震災の教訓からも病院群の集積は中止すべきだと迫りました。
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答弁:矢田市長は「中央市民病院周辺に高度の専門病院群の集積を進める。県が子ども病院のポートアイランド二期への移転を公表した。液状化や津波に関しての危険性は低い土地だ。引き続いてメディカルクラスター形成に努める」などと、危険性を無視した答弁をおこないました。