市民生活と地元中小企業支援を最優先に(議案質疑:森本)
2015年12月13日
市民の意見が届く市政を
森本真議員が議案質疑
神戸市定例市議会本会議が11月27日に開かれ、日本共産党議員団を代表して森本真議員が議案質疑に立ち、地方創生、指定管理者制度、借上住宅、神戸市産業振興センターの展示場について、久元喜造市長らの見解をただしました。
地方創生について
11月の補正予算では、国からの「地方創生」の交付金を活用し、地域主体の生活交通への支援として2000万円、海外の富裕層向けのメディアコンテンツを活用した食のインバウンドPR事業に700万円、新産業創発プログラム300万円の合計3000万円が計上されています。
森本議員は国からの交付金は「市長公約でもある子どもの医療費無料化などの少子化・子育て支援や地域の活性化という観点から正規雇用増、中小企業・商店街対策などの政策を優先的におこなうべき」と指摘。なぜ海外の富裕層へのPRなどを選んだのか見解を求めました。
指定管者理制度について
日本共産党は2年前の11月議会で児童館など福祉や教育に関わる施設の1年間の単年度の指定管理制度をただしました。このとき久元市長は「長期間で指定し安定的な運営をしていくという方向に持っていくべき」と答弁。2014年4月に指定期間を基本4年以内にするよう指定管理者制度の運用指針を改定しました。
しかし今回、地域人材への移行のためという理由で、たちばな児童館、菅の台児童館を、4年の指定期間途中で打ち切る変更や老人保健施設を含む高齢者総合ケアセンターは「施設のあり方検討」という名目で2年間の指定期間が提案されています。
森本議員は「神戸市の都合で4年と決めた指定期間を突然1年で打ち切り、安定的運営を妨げるようなことをするのはあってはならない」と指摘。
さらに葺合文化センターが大ホールの耐震工事等の関係で、会議室などを神戸芸術センターに暫定移転する計画について質問。森本議員は「工事終了後は新しく元のような音楽、美術・工芸、料理、衣服、視聴覚室等の多機能なセンターに生まれ変わるのか」と見解を求めました。
借上住宅の買い取りについて
森本議員は、一部の借上住宅の買い取りは評価するも、借上住宅を含む7000戸の市営住宅の削減を決めた第2次市営住宅マネージメント計画以降、民間を含め借上住宅の被災者・入居者はこの5年間ずっと追い出し・転居の不安を抱えて過ごしていることを指摘。「この不安を解消するために民間も含めて、もっと借上住宅を買い取るべき」とただしました。
神戸市産業振興センターの展示場について
第94号議案「神戸市産業振興センター条例の一部を改正する条例」は、サンパルにある兵庫県の外郭団体「(公財)ひょうご産業活性化センター」が産業振興センターに移転してくることに合せ、産業振興センターの2階にある展示場をなくす内容です。
展示場は、展示会、講演会、レセプションなどに活用され、産振センターを利用する中小企業には、半額の中小企業割引があります。
森本議員は「中小企業を活性化させようという施策を推進しているのに、県市で大事な展示場をなくすのか」と見解を求めました。
▲答弁とその後の質疑から▲
地方創生について
質問に対し久元喜造市長らは「地方自治体が進める地方版総合戦略の策定や、先駆性のある優良施策の実施を支援することを目的に、平成26年度補正予算で措置された交付金であり、平成27年度中に執行することが交付要件となっている」と答えました。
また提案事業を含む神戸創生戦略の事業をスピーディかつ着実に推進することで、課題ともいえる人口減少にかかる政策課題に的確に対応したいとしました。
富裕層向けの食を活用したインバウンドPR事業については「西区や北区に生産農家がいて大変いいものがつくられている」これらのものを使って神戸の食を楽しんでもらいたい「そういう取り組みを海外に発信することで神戸に多くの観光客に来てもらう」これは地方創生にふさわしいと答えました。
答弁に対して、森本議員は「食のPRはこれまでやってきたことで継続に過ぎない」「外から人を呼び込むのではなく、神戸市内の福祉施策や産業施策で内需を温めて暮らしやすいまちを作っていくべきこと」と指摘しました。
神戸市のかかげる「神戸創生戦略」でも、子育て支援や若い世代の雇用環境の改善が目標とされています。外国人観光客や外国人富裕層の「爆買い」など外需頼みではなく、神戸市民の所得を増やし、地元中小企業を直接応援することを最優先に取り組んで、神戸らしさを発揮し、まちを元気にすることが重要としました。
指定管者理制度について
質問に対し久元喜造市長らは「神戸市の指定管者理制度運用指針での指定管理期間は、より適切で安定した管理運営を図ること」を目的としており、「平成26年4月に改定し、4年を標準に8年以下の期間で施設特性に応じた適切な機関を施設ごとに適用することにしている」「例外として、児童館などの施設については、将来的に地域人材の活用を予定している場合には、公募によらず現在の運営団体を指定管理者として指定できる」として「従来これを単年度ごとに指定していたものを4年以下の年数で指定できるようにした」本来、指定管理者選定は公募を原則としているが、施設のあり方について検証・検討する場合や施設の大規模改修を予定する場合には、2年を上限として現在の指定管理者を継続して指定するとしました。
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児童館については「平成27年度から52館について、従来単年度の指定としていたものを4年間の指定とした」とし、この2館については「地域団体による受入体制が整ったため、市社会福祉協議会に対する指定期間を短縮し、新たな団体に対して指定期間を4年として指定をしたい」という議案を上程したとし、高齢者総合ケアセンターについては「施設のあり方検討や大規模改修により、例外的に公募外で再選定を行ったもの」「例外的に理由がある場合は、1年、2年というような指定をしている」施設運営が安定的になるようには配慮していると答えました。
答弁に対して森本議員は「指定期間を4年にしたにもかかわらず、1年間に期間を変更したものがある。運用指針のなかに指定取消しはあるが、指定期間の変更という項目はない」ことを指摘。
4年間の指定をしておきながら1年間で終わるのはおかしいとして、市長にさらに見解を求めました。
久元喜造市長は「原則4年にしたが、絶対4年というわけではない」「施設の内容も異なり、指定したあとに出てきた事情の変更もある」として、個別の事情によって期間の変更、短縮もあると答えました。
森本議員は「4年間と議会で決めたものを途中の1年間でやめるなどはあってはならない」と是正するよう求めました。
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葺合文化センターの本館は、耐震化対応が必要であるが、改修に多額の経費が必要であることから耐震改修を見送り、平成28年4月から神戸芸術センターの6階を借り上げて、暫定移転することにより機能の維持を図るとして「暫定期間後については、意見を幅広く聞きながら神戸市全体で考えていきたい」と答えました。
答弁に対して森本議員は「移転させる場合には、幅広く意見を聴き、機能が低下しないよう」にと求めました。
借上住宅の買い取りについて
質問に対し鳥居聡副市長は、借上市営住宅については、「緊急的な措置として導入した」「目的と現状を考え市の財政負担、公平性の観点などから契約どおり20年の借上期間をもって所有者に返還する」これを基本として進めているとして「URから借り上げている住宅には、買い取りを前提にURへ建設をお願いしたものがある」「これについては市が取得し、それ以外の借上住宅については、借上期間満了時に空室にしたうえで、オーナーに返還する」と答えました。
答弁に対して森本議員は、神戸市が、新長田再開発地域の「まちの活性化のため」に県市協調で施設を移転し応援しようとしている。災害援護資金の返済では「被災者の生活再建を最優先」に保証人も含め返済免除できるようとりくんでいる。「なぜ借上住宅だけ入居者の立場にたってできないのか」と市長に見解を求めました。
久元市長は「いろいろな方法で住宅を用意しないといけないという一つの方策として取った対策」「20年が来たらオーナーに返還するという契約」「これは矢田前市長のときに定められた方針であり、十分に議論を重ねての考えぬかれた方針」この方針に基づいて対応していくことが基本で大切とした。大部分の入居者の方々については、神戸市の方針に基づいて転居していただいているとしました。
森本議員は「いま考えるべきは、本当にこのまま追い出すのか、それとも継続入居の希望者には神戸市が保障する」ことが求められている。市長に考え直すように強く迫りました。
神戸市産業振興センターの展示場について
質問に対し岡口憲義副市長は、神戸市産業振興財団とひょうご産業活性化センターは「双方が中小企業支援機関であり、様々なサービスを異なる場所で提供している」として利用者がこれらのサービスを活用するには、機関が分散していることから「わかりにくい」「使いにくい」といった状態。利便性の向上、県市の中小企業支援機関を集約することで、より一層の利便性を向上させ、支援機能を強化していきたい。「移転スペースを確保する必要があり、まとまった面積を確保できる場所として、展示場を活用したいと考えている」とした。事情を中小企業の方に丁寧に説明するとともに「周辺には代替施設がいくつか考えられるため利用希望の方にそのような施設を紹介する」などと答えました。
代替策としては、周辺施設で距離感を含め代替機能を持つものとして、神戸サンボーホール、国際展示場、デザイン・クリエイティブセンターのKIITOのホールおよびギャラリーといった施設を考えていると答えました。
答弁に対して森本議員は「産業振興センターを整備する際に、展示場を備えたのは、産業振興に帰する展示、講演会やレセプションなどの多機能用途のためにつくられた」と指摘。副市長が示した代替施設は「規模が大きかったり、面積は半分でも料金が倍である」として、現実的でないと指摘。代替施設というなら中小企業振興センターの施設のように、中小業者には半額で利用すべきであるのにしようとしないと批判。中小企業の方の意見を聴き再検討してもらいたいと強く求めました。