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大型開発優先では神戸市の活性化は望めない(代表質疑:大かわら)

2016年03月06日

大型開発優先では神戸市の活性化は望めない
家計を温め消費と需要を活発にする市民生活応援の予算へ

2月25日に開かれた神戸市議会本会議で日本共産党議員団を代表して大かわら鈴子、味口としゆき両議員が代表質疑に立ち、久元喜造市長らの政治姿勢をただしました。大かわら鈴子議員は、大型プロジェクト・「成長産業」優先のやり方の見直し、行財政改革2020、借上住宅問題を取り上げました。味口としゆき議員は、三宮一極集中の再開発にともなう公共施設移転の問題、公共施設の削減と縮小、中小企業支援のあり方、中学校給食の問題を取り上げました。

 

大かわら鈴子議員が代表質疑

大型開発・大型プロジェクト予算について

神戸市の新年度予算案について久元市長は「本格的な人口減少社会が到来する中で、神戸市も激しさを増す都市間競争に直面している」「まちの安定的な発展を維持するには、震災からの復興とは違う難しい課題に挑戦する必要がある」「新たに取り組む事業や見直す事業がある」として、市税を投入すべき事業なのかを検証し、「やめる勇気」を持って事務事業の見直しをすすめるとしています。

 

重点施策と位置付けられている大型開発・大型プロジェクト予算では、巨大港湾づくりに104億円、神戸空港の推進に32億円、医療産業都市の推進に42億円、三宮周辺の再整備に23億円。さらに今回具体化されたウォーターフロント再整備には72億円もの予算が計上されています。
大かわら議員は「得られた税収を市民福祉や街の成長に投資する好循環を生み出すという政策では神戸経済の活性化は望めない、なぜならこのような巨大プロジェクト優先のやり方は、神戸で繰り返し行われてきた手法だから」と指摘。「市民の反対を押し切って復興のシンボル事業として建設した神戸空港は、3140億円もの巨費を投じながら、利用者は、需要予測の半分、管理収支も着陸料収入で賄えず運営権を売却」という事態を指摘。神戸市が言い続けてきた所得と雇用の増加や福祉、教育、文化の充実は全く実現されておらず、創造的復興の名のもとに住民不在で上からおしつけられた新長田南地区の大規模再開発でも、たくさんのビルが建ち、町並みはきれいになったが商店街は活力を取り戻せず、今でも賑わいづくりが大きな課題となっているとしました。
大かわら議員は「このような手法では、活性化が望めない。大型開発優先のやり方を見直すべき」と予算の転換を求めました。

行財政改革2020について

2016年度の事務事業の見直しでは様々な暮らしにかかわる施策が対象となっています。
多くの高齢者が楽しみにされている敬老祝い金の廃止や暮らしを支える配食サ-ビスの段階的廃止、本来行政が担うべき高齢者・障がい者福祉施設の民営化、磯上荘の廃止など市民サ-ビスの後退につながるものが多数含まれています。
また、人口減少に対応するため、子育て・教育環境の充実を重点化するとしながら、公立幼稚園の13園廃止や公立保育所の再編、神戸市奨学金の見直し、さらなる小中学校の統廃合が検討されています。
大かわら議員は「自治体の本来の役割は、住民の福祉の増進」と指摘。
「市長が公約した、子どもの医療費の無料化も、3度見送られている」とし「重点とされている大型プロジェクトへの予算配分との差を見れば、市長の決断ですぐにでも無料化は可能である」としました。
これらの市民負担の増大は、さらに消費を冷え込ませることになります。
大かわら議員は「いま求められているのは、神戸経済を支える中小企業支援を中心に据え、福祉施策・市民サ-ビスの充実拡充で市民生活を応援し、家計を温め、消費と需要を活発にする予算への転換だ」と迫りました。

借上住宅について

阪神・淡路大震災から21年。久元市長は、20年の期限を最初に迎えた兵庫区のキャナルタウン1~3号棟の入居者3人に対し、建物の明け渡しと損害賠償を求めて神戸地裁に提訴しました。
大かわら議員は「借上住宅を終の棲家と信じ、寄り添いながらやっと生きてきた被災者を不法占拠と断定し、法廷に立たせようとしている」として、この暴挙に対し提訴の取り下げを強く求めました。
大かわら議員は「久元市長は、予算編成の中で、ポスト阪神・淡路大震災20年を迎えて、神戸は新たなステ-ジに立った」と述べており、震災は終わったとの態度です。
避難所から仮設へ、そして現在の住宅へと転居するたびにコミュニティが破壊され、多くの孤独死が生まれました。「この重い現実がなかったかのように、神戸市の言い分だけを押し通すという一方的なやり方、強行なやり方はやめ、市民の命とくらしを守るべき行政として、入居者の苦しみに寄り添った対応をするべき」と借上住宅の希望者全員の継続入居を強く求めました。

▲答弁とその後の質疑から▲

質問に対し久元市長は、今後の少子超高齢化に経費が増加することは確実。安定した財政基盤の構築が必要として、波及効果の高い民間投資の誘導、積極的な企業誘致推進により税源の寛容を図る。神戸港の構成拡大や医療産業都市の取り組みの推進など市の経済の活性化が大変重要と答えました。
大かわら議員は「大型開発では、市民のくらしはよくならない」として「新長田」再開発や「神戸空港」の失敗は全く総括されていない。三宮の巨大開発も住民不在で上からのおしつけであり、また同じようなことが繰り返されると指摘しました。
玉田副市長は、事務事業の見直しについて、一般財源の増加が見込めない一方で、新しい行政課題や市民ニーズに対応する新規拡充施策を大胆に計上するには、やめる勇気をもって事務事業の見直しが必要と答えました。
大かわら議員は、「自治体として住民自治の観点で福祉を守っていくのが本来の仕事だ、大型開発ではなく、市民に寄り添った予算に転換すべき」と求めました。
鳥居副市長は、借上住宅について、説明会、個別相談会を実施して、ほとんどの入居者の方は期限までに住替えなどをしてもらった。残念ながら3世帯には応じてもらえなかった。早期に解決するために司法の場に判断を委ねることにした。今後は司法の場で主張すると答えました。
大かわら議員は「兵庫県の借上は、75歳でも判定委員会が入居者の実態から、入居継続が認められている。同じ条件で県営は残れて市が残れない」「市長の決断で救える。救ってもらえないか」と求めました。
久元市長は「県営住宅と市営住宅ではストックが違う。(提訴については)司法の判断にゆだね、勝訴を勝ち取りたい」と答弁しました。
大かわら議員は「提訴するのは、神戸市の冷たい対応を全国に伝えるようなもの」もっと被災者に寄り添う対応を求めました。