民泊による市民生活の悪化は許さない(議案質疑:森本)
2018年03月04日
森本議員が議案質疑
神戸市の2018年度予算案などを審議する定例市議会が2月20日に開会されました。本会議で日本共産党議員団の森本真議員が議案質疑に立ち「神戸市住宅宿泊事業の実施の制限等に関する条例の件」(いわゆる「民泊条例案」)について質疑しました。
民泊による市民生活の悪化は許さない
市の責任で規制を
「住宅宿泊事業法」は、「旅館業法」を規制緩和し、「住宅」を宿泊施設として、国内外からの観光客の宿泊の需要に対応するものです。
この条例案の施行にあたり、住宅宿泊事業(民泊)に起因する騒音の発生、その他の事象による地域住民の生活環境の悪化が考えられています。
神戸市は、本条例の目的を「法第18条にもとづく住宅宿泊事業の実施制限の区および期間を定める」として、事業を営もうとする者の責務等を定め、生活環境悪化を防止する「地域との調和をはかり、事業の適正な運営を確保するもの」としています。
神戸市が1月にパブリックコメントに出した「条例の骨子案」では、「住宅専用地域」「学校・児童福祉施設」の周辺の区域では民泊は認めないとされていました。
しかし、2月の条例案では住居専用地域でも学校児童福祉施設周辺であっても「市長が告示する地域」では民泊を認めることになっています。
森本議員は、「禁止」が原則であり、条例の中身として旅館業法に準ずることが必要だと指摘。「市長が告示する地域」の考え方、「民泊に対しての苦情窓口の設置」「違法民泊の根絶」などについて久元喜造市長に見解を求めました。
市長判断で民泊できる地域を広げるな
玉田敏郎副市長は、神戸市の民泊条例案について、「国内外からの観光客の宿泊需要に対応している側面もあるが、他都市での特区民泊を実施している状況から宿泊者の安全性が危惧され、市民の生活環境を悪化させる事態も生じている。市民サービスを低下させてまで宿泊場所を確保する施策を遂行するとは、市民の理解を得られない」として「住宅宿泊事業については一定の規制が必要」と答弁しました。
副市長は、「市長が告示する地域」については、地域の住民の意見等を踏まえ、検討していく必要があるとし「生活環境の悪化の恐れがない」「住民のコンセンサス(合意)が得られている」などが必要で、どのような形で告示地域を決定するかは「今後、詳細に検討したい」と答えました。
森本議員は「市長判断でむやみやたらに民泊を認めるようなことになれば、制限をつける条例の意味が失われる」と質しました。
久元喜造市長は「市長が定めると書いてあるだけでは疑念が生じることは理解できる」として「そこで民泊事業が行われても住環境を悪化させるおそれがない」ということが客観的に認定でき、その周辺の地域住民の間でコンセンサスが成立している必要があると表明。
市長は、「告示する方法は検討したい」としたうえで「きちんと説明をする責任は市長側にある」「規則の案を作りパブリックコメントにかけ合理的な地域の設定ができるのかを説明する必要がある」と答えました。
民泊の苦情相談窓口は一か所に
民泊実施にともない民泊施設周辺のゴミや騒音などの問題が発生することが考えられます。ゴミや騒音は環境局、その他は保健福祉、消防局と担当局が違ってきます。
森本議員は、民泊についての地域住民の苦情、相談について「ワンストップの窓口」を設けるよう求めました。
久元市長は、ここに対応する責任は、それぞれの部局に分かれているが「市民の皆さんからの苦情を受け付ける窓口は極力、一か所が良いと思う」として、担当部署は検討が必要だが「いずれにしても一つのところで受け付けられるようにしていきたい」と答えました。
神戸市「民泊条例」附帯決議
本条例の施行に当たっては、市民の生活環境を守り、事業の適正な運営を確保するため、保健福祉局をはじめ関係する部局・区において、住宅宿泊事業者の届出、周知行為等に関する情報の共有に努めるほか、本条例が公平かつ適正に運用されるよう実効性のある措置を講ずること。
◆地域の切り捨てを許さない広範な共同を
「都市空間向上計画・マスタープラン三宮構想」緊急学習会
いま、都心から離れた地域では、生活関連施設の撤退、バス路線の縮小など深刻な課題に直面しています。神戸市は、こうした地域を応援するのではなく、切り捨てる「都市空間向上計画」を策定しようとしています。
同計画で「住宅以外」への転用を誘導する「区域」に指定されれば、生活利便施設や行政サービスの維持が保証されません。対象地域には、郊外・ニュータウン・開発団地等が想定されていますが、市長は今年7月に「区域」指定案をトップダウンで決めようとしています。
その一方、都心・三宮は、「マスタープラン三宮構想」案で今まで以上の規制緩和や支援制度によって、商業・業務を集積させる地域に指定しようとしています。
2つの「計画」案は3月13日から4月12日まで市民意見募集が行われます。居住権・財産権をも侵害する大問題であり、愛着を持つ地域に住み続けたいと願うすべての住民のみなさんに、「計画」の撤回を求める共同を呼びかけるとともに、緊急学習会にこぞってご参加いただけますようお願いいたします。
課題の重要性から、昼夜、二部制で開催します。
ご都合の良い時間帯に、ご参加ください。
3月9日(金)
昼の部 13時30分~ 新長田ピフレホール 3階・会議室A
夜の部 18時30分~ 神戸勤労会館 2階・多目的ホール