森本真議員が代表質疑
2014年02月26日
企業誘致優先では神戸経済活性化しない
中小企業支援で「内需型」経済政策に転換を
2月26日に開かれた神戸市議会本会議で日本共産党議員団を代表して森本真、西ただす両議員が代表質疑に立ち、久元喜造市長らの政治姿勢をただしました。森本議員は、新年度予算案を市民の暮らしを守る内容にすること、借上住宅入居者追い出しの撤回、新長田駅南再開発問題を取り上げました。西ただす議員は、保育所待機児童解消策、子どもの医療費助成、特別支援学校、住宅リフォーム助成制度問題を取り上げました。
神戸市の新年度予算案について久元市長は、「都市間競争」「総合交通体系の整備」「都心の再生」「消費税増税に対する経済対策」「すべての市民が安心できるくらしづくり」などをかかげ、「神戸の元気創造予算」「『輝ける未来創造都市の実現』に向けた取り組みを加速化」させるなどとしています。
予算案の特徴について森本議員は「医療産業都市に51億円、国際コンテナ戦略港湾に109億円、エンタープライズプロモーションでは大企業向けの減税や補助を大幅に拡大するなど大企業向けに多額のお金を使っている」と批判。一方、地元の中小企業対策予算はきわめて少額だとして「予算案の全体を貫いているのは、『都市間競争』に生き残るために〝大企業を応援して進出させ、その大企業がもうけをあげれば、いずれは雇用・賃金・家計にまわってくる〟という、すでに破綻しているトリクルダウン政策」「安倍政権がすすめるアベノミクス、前矢田市政の大型事業優先、企業誘致優先の路線を踏襲している」と指摘しました。
市民は矢田市政の12年間で、敬老パスの有料化、福祉パスの削減、重度障害者福祉年金の廃止などで500億円も負担増を強いられています。阪神・淡路大震災で被災した中小企業にも何らの公的助成がなかったため、今も厳しい経営が続いています。森本議員は「さらに、消費税増税と医療・介護・年金など社会保障の改悪などで苦しめられているのが神戸市民の現状だ」として、地方自治の本旨の立場で市民要求をくみ取り、「市民の暮らし・福祉を増進させる」予算への転換を求めました。
森本議員は経済政策について、大企業優遇やよびこみ型ではなく、地元商店や中小企業に直接支援し、雇用の拡大もはかることなどで「地域循環型」の経済活性化をすすめること、社会保障・福祉の充実で「くらしの安心をつくる」べきだと指摘しました。
なぜ、借上入居者をいじめるのか
神戸市は、震災復興の課題で解決されていない問題として、借上復興住宅問題と新長田駅南再開発地域の活性化の問題をあげています。
森本議員は久元市長が借上住宅問題について12月議会で「大変重要な問題として長い間論議され、また、いろいろな経緯を踏まえ、矢田前市長が決断された。私がこれを変更する理由はない。すでに結論が出ている」などと答弁していることにたいして、「結論は出ていない。今も続いている問題だ」と指摘しました。
神戸市が、入居者に「全員転居」との通知を出したのは2010年8月です。その後「一部の住宅買い取り」や「85歳以上、要介護、障害の度合い」で「継続入居を認める」などの線引きも示されました。さらに、このたびは「完全予約制」なるものを出しています。森本議員は「たった3年の間に方針をころころ変えている。入居者やオーナーは、そのたびに翻弄され、苦しみ続けている」と、市の態度を厳しく批判。入居者やオーナーの不安をかき立てているのは神戸市だとして、市長の見解をただしました。
▲答弁とその後の質疑から▲
大都市は都市間競争の中にいる
質問に対し久元市長らは「26年度予算は、市民の安心安全を最優先に取り組んだ。経済、雇用、医療などに力点を置いた。神戸経済の発展には外からの企業誘致がいる。医療産業も取り組みの一つだ。地域内の循環は重要だが、神戸は日本を代表する都市として、グローバル経済にも組み込まれている。大都市が都市間競争の中にあることは見据えなければならない」「(借上住宅)一人ひとりの事情を丁寧に把握して、住み替えていただくことが基本だ。何ら変わっていない」などと答えました。
個々の商店への直接支援などが必要
市長らの答弁に対して森本議員は、市長が予算記者会見で神戸空港やポーアイ2期などで土地売却が進まないことと関連して「全国で工場誘致のために造成した土地が売れ残って四苦八苦している」と発言していることをあげ、「誘致企業への助成を大幅に拡大して他都市と競争する」という姿勢を批判。優遇の拡大合戦を繰り返せば、兵庫県が尼崎に誘致、その後撤退したパナソニックと同じことを繰り返すことになる、と企業誘致優先の姿勢を批判しました。誘致企業に何億円も補助するのではなく、商店街の個々の店を元気にする施策などが必要だと指摘しました。
久元市長は「商店街で現実にどういうことが起こっているのかつぶさに見て展開していきたい。一歩踏み出す形で予算編成した。雇用拡大効果の高い大企業を誘致していくのも大切なので、エンタープライズゾーン条例と両方相まって経済の活性化を図っていく」などと答えました。
森本議員は「金額が全然違う。外から来る企業には億単位になっている」と批判。「店の人は、後継者がいない、売り上げが落ちているなど深刻な事態になっている。職員が丁寧に対応して、どうしたら元気な店が増えていくのかを考えることが大切で、それを助ける予算になっていない」と厳しく指摘しました。
また新長田の商店街について、神戸市がすすめた再開発計画で商店が苦しんでいる実態を示し、被災者のためになるような施策をすすめるよう求めました。
久元市長は「再開発事業は20年近く経って、おおむね目処が立っているが、にぎわいという面では当初事業に込められた願いは出来てない」と現状を認め「住民の意見を聞きながら推進していく」などと答えました。
44%の世帯が「継続入居の対象」
全入居者の生活守る立場で対応を
借上住宅に入居している世帯のうち、神戸市が買い取る住宅に入居している世帯は386世帯。それ以外の神戸市が示した継続入居条件に合致する世帯が753世帯、合計すれば1139世帯、全体の44%が継続入居できることになっています。森本議員は「半数近い世帯が継続できることになっている」として、残りの人の継続入居も認めるよう求めました。また、都市計画総局が実施している個別相談会で職員が、「このまま住み続けたらどうなりますか」との質問に「最終的には法的措置になるでしょう」とか、「これまで作ってきた絆はどうするのですか」と聞けば「移った先で新しく作ったらいい」などと発言していることをあげて、「なぜ高齢者をこんなに、いじめ、苦しめなければならないのか」と批判、市長として入居者の生活を守るよう迫りました。
久元市長は「借上住宅は震災当時の緊急的措置として導入された。20年たったら返還するのが当初の方針。ころころ変わったのではく一貫している」などとしか答えられませんでした。