神戸市の都市空間向上計画の撤回を(市会報告2018年3月号外)
2018年03月08日
神戸市の都市空間向上計画
えっ!私の住まいが非「住宅」地域に?
居住権・財産権を奪う計画は撤回を!
神戸市は、まちづくりのあり方を大転換する「神戸市都市空間向上計画~次世代に継ぐ持続可能なまちづくり~基本的な考え方(案)」を発表しました。計画では、市街地の「適切な人口密度を保つ」ために、ニュータウンなどの宅地を「住宅以外に転換」することを上から決めようとしています。
市民意見募集(パブリックコメント)で、みなさんの意見を集中させ、計画を撤回させましょう。
◆「居住誘導区域外」に指定される地域(ニュータウン)は
必要なサービス 無保証の地域に
神戸市の計画では、ニュータウンなど人口が減り高齢化がすすんでいる住宅地を、まるごと「住宅以外に転換」する「居住誘導区域外」にしようとしています。
神戸市は「ゆとりある居住区域」という言葉をつかっていますが、この地域で住み続けたくても、交通、医療、福祉、介護などの生活に必要なサービスの維持が保証されず、いっそう不便な生活を余儀なくされます。
土地や建物の価値 下落に拍車を
「居住誘導区域外」に指定されると、土地や建物の不動産価値の下落が一気に進みます。神戸市は、市街地への移住を誘導するとしていますが、転居のために土地や建物を売りたくても、さらに困難になります。
50年先しばる計画を たった4か月で
居住権や財産権に関わる重大な問題にもかかわらず、この7月にも地域指定をするとしています。神戸市は「50年先の人口動向を見据えた」計画としていますが、孫子の代まで関わる問題を、4か月の短期間で決めてしまっていいのでしょうか?
まちの再生ねがう 住民努力に水を差す
ニュータウンは、神戸市の責任で開発したものです。スーパーや病院の撤退、幼稚園の廃止などから、街を守るために努力する住民への応援をやめて、手を引くような計画を絶対に認めるわけにはいきません。
◆「居住誘導区域」になる地域(市街地)も
市街地の過密 もっと深刻に
神戸市の計画では、市街地の「適切な人口密度を保つ」ことを目標にしています。しかし、駅前や周辺地域など人口が増えている地域では、学校・保育・介護施設の不足が深刻になっています。
子どもの増加に応じて保育所を建てたくても、「地価の高騰で、手が出せない」(神戸市子ども家庭局長答弁)などの事態が、さらに悪化することが明らかです。
街づくりの理念 根底から覆す
神戸市はこれまで、市街地の過密解消のために民間の乱開発を抑制し、「人間中心の安全で快適なまちづくり」をすすめるために、行政の責任でニュータウンを開発してきました。
久元市長は「とにかく駅を中心としたマンション開発をやっていかないと、人口減少は止まらない」(予算案の記者会見)と、市街地を過密にすることに熱中しています。
住民の福祉向上という、まちづくりの理念を根底から覆すとんでもない計画です。
三宮だけは「聖域化」 さらに手厚い支援
三宮・都心は「都市機能誘導区域」として、さらなる税金投入などで「商業・業務、文化、交流、行政などあらゆる機能を高度に集積」させるとしています。
久元市長は、人口減少を理由に「これまでと同レベルの行政サービスを市全域にわたって維持し続けることには困難が」としています。ニュータウンを切り捨てる一方で、三宮や市役所周辺だけは「聖域」にするなど本末転倒です。
神戸に不足しているのは「人口密度」ではなく地域のバランスがとれたまちづくりです
久元市長は「50年先には110万人になる」から「適切な人口密度を保つよう誘導」が必要としています。しかし110万人になったとしても、神戸の人口密度は国の市街地基準を十分クリアしており、地域の切り捨てをする必要はありません。
提案
街を切り捨てるのではなく、市民のくらしの応援を
日本共産党神戸市会議員団
いま、困難に立ち向かう努力をしてこそ、未来の世代に希望あるまちを残せるのではないでしょうか?
人口減少社会にどう立ち向かうのかは、神戸市にとって重大問題です。久元市長は、困難をかかえる住宅地を切り捨てることが「持続可能なまちづくり」としています。
しかし、いま必要なのは、ニュータウンなどで高齢化が進む中でも頑張っている自治会などのみなさんを応援することではないでしょうか。
防災上課題のある地域の解消やマンションの乱立による過密地域に規制を強化し、郊外地域にもさらに保育教育施設や生活利便施設の誘致を強めることで、神戸のどこに住んでも「ゆとり」があり、老いも若きも住み続けたくなる街にすることが必要ではないでしょうか。
日本共産党神戸市会議員団は、地域に住み続けたいと願うみなさんと協力して、未来の世代に禍根をのこす「計画」の撤回と、「人口減少社会」に向き合った責任ある街づくりに全力をつくします。
神戸市の都市計画マスタープラン地域別構想“三宮~ウォーターフロント都心地区編”
三宮一極集中の再開発にストップを!
「神戸市都市計画マスタープラン地域別構想“三宮~ウォーターフロント都心地区編”(素案)」が出されました。
行政から商業・文化施設まであらゆるものを都心・三宮に一極集中させる計画であり、神戸市全体のバランスを欠くものです。
また都市空間向上計画と同時に提案されていることからも、郊外地域の切り捨ての上に成り立つ計画です。
市民意見募集(パブリックコメント)がはじまります。市民のみなさんのご協力をお願いいたします。
これが
人口減少のもとで、こんな巨大開発が必要でしょうか?
駅周辺は、区役所、勤労会館、サンパルビルが立ち退き、バスターミナルを伴う超高層ビルを建設(ビルには文化ホールも移転されます)。三宮クロススクェア、5つの駅前広場などの公共施設も新設。こんな大事業なのに予算額は不明なまま。
市役所周辺ゾーン
本庁舎2号館は床面積を3倍化した新庁舎に建て替え。文化ホール(中ホール)の移転だけでなく、ライブハウスや、リゾートホテルなど「ナイトタイムエコノミー(夜遊び経済)」の拠点に。
3号館は、中央区総合庁舎になり、勤労会館、生田文化会館・葺合文化センターを無理やり一か所に詰め込みます。体育館機能を入れるスペースがないため、磯上公園など別の場所へ。
ウォーターフロント都心ゾーン
新港突堤西地区は、第1突堤基部に、水族館、商業施設と富裕層向けマンション(高さ100m、700戸)を誘致。さらに新たな埋立をふくめた巨大な再開発に。
まちづくりのバランスを無視した計画です
久元市長は「国際競争力を高める」ことを目的にしていますが、自治体のまちづくりは「国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」(都市計画法)ことが本来の仕事です。
市民不在のやり方で、三宮一極集中をすすめ、神戸の発展に不均衡を生み出すなど本末転倒です。
市民不在、市長トップダウンで進められています
神戸文化ホール、中央区役所や勤労会館を、市民や利用者の説明もなく移転を決定。生田や葺合の地域の文化施設まで廃止して三宮に集約します。
議会や住民の意見を聞かないやり方に、与党会派の団長も「久元市長になってトップダウンになった」というほど、住民不在が際立っています。
一極集中にたよる災害にも弱い都市構造に
商業・業務、文化、交流、行政などあらゆる機能を一極集中させることで、周辺地域の衰退に拍車をかける結果に。分散型から一極集中にかえることで防災面からも弱いまちになります。
商業店舗の過剰出店で神戸らしさが失われます
大企業優遇税制や規制緩和によって、無秩序な高層ビル化や過剰な店舗出店が激化します。先行している計画だけでも商業・業務施設は現在の60ヘクタールから90ヘクタールに。しかし、三宮や元町で商売をされている方や、市内全域への影響を全く調査していません。東京資本の体力ある企業だけが勝ち残り、神戸らしい商業やまちなみが失われかねません。
他の地域や福祉施策が後回しになっています
三宮だけが「聖域化」され、途方もない予算が投入されます。一方、他の地域の課題解決から手を引こうとしています。
さらに選挙公約だった「子どもの医療費の高校生までの拡充」「今年4月の待機児童の解消」が見送られるなど、子育てや教育、医療・介護施策が後回しになります。
提案
三宮は、巨大開発で商業規模の拡大より、バリアフリーなどで新陳代謝を
三宮への「人・モノ」の詰め込みはもうやめよう
日本共産党神戸市会議員団
三宮再開発について、神戸市自身の調査でも「新たな開発で商業規模を拡大するより、既存エリアの新陳代謝を高める方がいい」(首都圏の大手開発企業聴き取り)という結果が出ています。集客力が弱まっている三宮で、むりやり拡大的な開発をすすめれば、逆効果になります。
魅力ある店舗やオフィスがあつまっている三宮の活性化のためには、身の丈にあった改善策が必要です。若い世代への起業や継承支援、小規模なリフォームやバリアフリーなど改善のために既存の中小業者を直接応援することこそ求められています。
PDFファイル表:神戸市会報告2018年3月号外(表)
PDFファイル裏:神戸市会報告2018年3月号外(裏)