神戸市 労使癒着の「ヤミ専従」強引な職員削減路線にこそメスを(総括質疑:松本)
2018年10月26日
神戸市 労使癒着の「ヤミ専従」
強引な職員削減路線にこそメスを
神戸の市職員労働組合と市従業員労働組合の歴代幹部役員が正規の法手続きを経ずに組合活動をおこなう「ヤミ専従」が、当局によって長年黙認されてきたことが明らかになりました。
地方公共団体の職員団体が、有給のまま勤務時間に団体活動を専ら行うには、地方公務員法等に基づく手続きが必ず必要です。
さらに1997年の神戸市長選の5か月前に結ばれた神戸市と組合幹部との密約により、阪神・淡路大震災後、11人に計約五千万円の退職手当の上乗せ支給が行われていました。
公務員は、憲法第15条に規定された「全体の奉仕者」としての職務を果たすために必要な労働条件と労働基本権が保障されなければなりません。ところが、労使一体・癒着の「ヤミ専従」を行っているようでは、市民から指弾されるばかりか「全体の奉仕者」としての職務を遂行することはできません。
市長の政治責任は明白
日本共産党神戸市議団は、9月18日開会の市議会で、ヤミ専従の根本原因と責任の所在について追及してきました。
久元喜造市長らはヤミ専従への当局の関与を認め、その背景に、阪神・淡路大震災以降、全国平均の2倍にあたる33%という大幅な職員削減をすすめるために、労使協調路線をとったことがあったと認めました。
大震災では、職員の献身的な取り組みが重要な役割を果たしました。しかし神戸市が強引な、人員削減をすすめた結果、職員は長時間過密労働を強いられ、この間の豪雨・台風災害の対応にも困難をつくりだしています。
党市議団は、ヤミ専従の徹底解明とともに「久元市長が、前市長から継承した労使協調による強引な職員削減路線こそ、見直すべき」と求めました。
10月12日の決算特別委員会の総括質疑において、日本共産党の松本のり子市議は、2017年の市長選直前、久元市長が組合幹部に連れられて区役所訪問活動をしてきたことを指摘。「ヤミ専従の過程で市長の政治活動が行われたことが明らかになれば、市長は政治責任をとるべきだ」とただしました。
市長は区役所訪問の事実を認めつつも「設置した第三者委員会で実態解明し、そのうえで対応したい」と、当局側の処分を行っていません。
与党の結論先送りに反対し日本共産党は徹底解明に全力
一方、自民党の質疑に市長は「毎年実施してきた組合との人員配置についての交渉の廃止」を表明。団体交渉のルールを使用者である市長が一方的に定め、それに反する交渉には一切応じないとする不当な行為です。市当局の不正によって生み出された問題を、公務現場ではたらく職員の権利縮小に利用することは許されません。
自民党・公明党・こうべ市民連合の与党会派は、16日の決算特別委員会の意見決定において、第三者委員会の報告を待つとして、10月の決算認定議決を12月5日まで延期することを多数で強行しました。
日本共産党市議団は、先延ばしは議会のチェック機能を放棄し、ヤミ専従を追認するものだとして、速やかに「不認定」の結論を出すべきと主張しました。
党議員団は引き続き、ヤミ専従の徹底解明、市長をはじめ当局の責任の明確化へ全力を尽くします。
答弁ダイジェスト
松本議員:ヤミ専従の一部が、市長選で久元市長応援への関与が明らかになれば市長は責任をとるのか。
久元市長:労使の癒着があったことは認める。第三者委員会では、組合役員に指揮監督を行っていた幹部職員にも、曇りのない目でしっかり調査する。その上で必要な対応がとられるべきと考える。
松本議員:震災直後に、幹部組合役員に対し退職手当上乗せを密約する一方、大幅な職員削減をすすめて長時間・過密労働を一般職員に押し付けてきた路線こそ見直すべきだ。
岡口副市長:平成9年の退職手当の文書も第三者委員会で、実態と背景も調査され明らかになると考える。過払いの退職手当は速やかに返還請求をおこなう。