決算議会を終えて
2012年10月23日
2011年度神戸市各会計決算などを審査する決算議会は10月23日、閉会しました。一般会計は22億円の黒字となったとされていますが、これは、震災後、神戸市がすすめてきた「行革」、福祉切り捨て路線を反映したものです。特に矢田市長が市政を担当して以後10年間で、市民負担は268億円も増えました。
日本共産党議員団は、これまでもこうした矢田市政厳しく批判し、市民とともに福祉削減を許さない運動を広げてきました。今議会でも、福祉パスの改悪阻止、借上公営住宅からの入居者追い出し中止、中学校給食の実現などを求めて論戦を展開しました。
9月18日の開会本会議では金沢はるみ議員が議案質疑を、25日の本会議では松本のり子、大かわら鈴子両議員が代表質疑に立ち、矢田市長に市民生活を守る立場に立つよう求めました。また9月26日から開かれた決算特別委員会での各局審査では全議員が、市民要求の実現を求めて質疑しました。
矢田市長の原発に対する考えは「将来的には依存しない」という立場です。この立場から大飯原発再稼働も容認しました。日本共産党議員団は、エネルギーの地産地消という立場に立てば、原発即時ゼロは可能だと指摘。農業用水路での小水力発電推進など、神戸市内に豊かにある自然・再生エネルギーの活用で、地元中小企業の仕事づくりもすすめることができると提起も行いました。
神戸経済活性化のために欠かせないのは、神戸市内で働く人たちの賃金を含む労働条件の改善、中小企業の振興です。小規模事業所登録制度など、中小企業を直接応援する制度をつくるとともに、中小企業振興条例、公契約条例制定なども急ぐべきだと求めました。
今まで福祉をどんどん切り捨ててきた矢田市長ですが、さらにすすめようとしています。その一つが福祉パス制度の改悪です。同制度は、障害者、生活保護世帯、母子家庭などの社会参加を促進する上で大きな役割を果たしています。神戸市は、この福祉パスの対象から生活保護世帯を外すとしています。障害者や母子家庭などには所得制限や有料制を導入しようとしています。神戸市は、市民の反対を押し切って敬老パスを有料化しました。その結果は、一日あたりの利用者が5万人も減るという事態となって現れています。敬老パスを利用できなくなった高齢者の生活がどうなっているのか、矢田市長は思いをはせたことがあるのでしょうか。福祉パスを改悪すれば、また、外出をためらう人たちを増やすことは確実です。議員団は、現行制度の維持を求めました。
「コミュニティ」や「絆」の重要性が強調されているにもかかわらず、これらを突き崩そうとしているのが、矢田市長です。借上公営住宅からの高齢者を追い出そうとしているやり方に端的に表れています。「借上期限は20年だ」ということだけを理由に、問答無用に追い出すなど、地方自治体として絶対にやってはならないことです。今議会で、議員団は、神戸市が2009年12月までは「契約の延長」を念頭に置いていたことを示す資料を元に、契約の延長などを求めました。ところが、矢田市長は追い出し方針を撤回しようとしません。自由法曹団兵庫県支部も神戸市のやり方は「違法性がある」との意見書を出しています。日本共産党議員団は、希望する入居者が引き続き今の住宅に住み続けられるよう、これからも全力で奮闘する決意です。
中学校給食実施を求める声は日増しに強まっています。署名も6万筆に達しています。教育委員会は「神戸市立中学校の昼食のあり方検討会」での検討結果を尊重するとしながら、文教こども常任委員会で「自校方式は施設面を考えると現実的ではないと判断している」などと発言しています。保護者、市民の願いに反するだけでなく、現在、議論されている「あり方検討会」の議論を誘導することにもなり、到底許されるものではありません。
県立こども病院をポートアイランド2期への誘致問題も、医師会を含め反対の声が強く出されているにもかかわらず、強引に推し進めようとしています。ポートアイランド2期は、震災時には液状化被害などで孤立するおそれがあります。そうなれば、こども病院の患者の命にかかわる事態となります。日本共産党議員団は、今以上、医療機関などは集積すべきでないと求めました。
今議会に矢田市長は、3人目の副市長に総務相自治行政局長の元官僚を提案。日本共産党議員団は、地方自治の精神、経歴からも問題があるとして反対しました。
市議会への請願・陳情や神戸市に対する運動の広がりを反映して、市民要求が部分的ですが実現する見通しとなりました。 ①中学校へのエアコン設置へ、来年度予算に計上したい ②震災時、ポートアイランドなどの人口島での津波被害や液状化被害について、高速コンピューター「京」を使ってシミュレーションをおこなう ③六甲山の森林資源の活用についても2015年度にマネジメント組織を立ち上げる ④六甲山南側の河川を利用して自然・再生エネルギーの活用にむけ、どの川でどのような設備が可能か検討する ⑤過労死防止基本法の制定を要請する意見書が全会一致で採択 などです。
日本共産党議員団は、今後も市民の皆さんの声を代弁し、議会内外で全力で頑張る決意です。なお、次回の議会は11月27日から12月5日まで開かれます。請願、陳情をどんどん提出していただきますよう、お願いいたします。