傷害事件で辞任のCIO補佐官 紹介者は市長の支援者(一般質問:山本)
2014年12月05日
山本じゅんじ議員が一般質問
神戸市定例市議会の最終本会議が12月5日にひらかれ、日本共産党議員団から金沢はるみ、山本じゅんじ両議員が一般質問に立ち、久元喜造市長らの政治姿勢をただしました。
山本議員は、情報化統括責任者(CIO)補佐官の任命責任、災害援護資金、中学校給食、ニュータウンの近隣センター問題などを取り上げました。
昨年12月、久元市長は、情報システムの最適化や情報通信技術(ICT)の活用などにたいする対応強化などを理由に、民間からCIO補佐官を登用しました。ところが、この補佐官が今年11月、傷害事件を起こし略式起訴されたことで辞任しています。この人物を紹介したのは、地域ICT推進協議会の関係者。この地域ICT推進協議会は、神戸市をはじめ兵庫県や民間企業・団体などで構成されています。副会長は「デジタルラボ」という民間企業の代表取締役、会長は同社の顧問です。同社のホームページでは「主な取引先」として神戸市が明記されています。 山本議員は、「独立性・中立性を有することが求められる」として、任命の在り方について、市長の見解をただしました。
中学校給食・12月申込10ポイント超の減
11月4日から市内33校の中学校で業者弁当による給食が始まりました。申し込み状況は、11月は56.9%だったのにたいし、12月は46.4%と激減。学校現場からは「ごはんはあたたかくても、おかずが冷たい、味が薄いなどの理由で残す子や、野菜を残す子もいる」などの声が出ています。さらに、給食を使った食育もすすめられていません。日本共産党議員団などが指摘してきたように「デリバリー方式の給食で食育をすすめることは困難」ということがあらわれています。山本議員は「給食として実施しているにもかかわらず、なぜ具体的な食育が実施されないのか」と見解をただしました。
援護資金 少額償還者も「無資力」扱いを
阪神・淡路大震当時、被災者への個人補償は全くありませんでした。このため、多くの人が災害援護資金を借りて生活再建の一助にしました。20年経過した今も、その返済が被災者に重くのしかかっています。今年3月、政府は「返済期限から10年過ぎても無資力状態の場合は返済を免除する」との方針を示しました。返還している人の中には、毎月1000円程度の少額償還を続けていたり、保証人や相続人が返済を続けている事例もあります。
山本議員は、日々の暮らしが大変ななかで、このまま返済を続けていくのは困難だとして「保証人や相続人、少額償還している人も無資力状態として返還免除の対象とするよう国に強く求めるべきだ」とただしました。
ニュータウン近隣センター 公的責任大幅後退
神戸市が開発してきたニュータウンにある近隣センターについて、神戸市は民間事業者を介したリニューアル事業などを進めようとしています。近隣センターの見直しとともに、集会所についても、管理や所有を地域団体等へ委ねる方向で検討しています。名谷南センターのリニューアル計画でも、リニューアル実施後には、市やOMこうべが店舗床や集会所などは区分所有するものの、その後の運営や管理などは民間や地元にゆだねる方向です。
山本議員は「近隣センターは、もともと市が開発した団地に配置されたもの。今回の計画は、近隣センターの管理や運営などに対する神戸市の大幅な公的責任を後退させるものだ」と指摘、見解をただしました。
▲答弁とその後の質疑から▲ 市長「少額返還 可能な限り無資力」を要望
質問に対し久元市長らは「(災害援護資金)20年にわたって少額返還を続けている人は可能な限り無資力状態とするよう求めている。すでに支払っている人との公平性という意見もあるが、明確な基準がない。市の主張で解決されるよう、速やかにすすめる」「(CIO補佐官)11月6日付で退任されたが、在職中は職務を全うされた。紹介者の企業は神戸市との取引はあったが、就任中の取引はない」「(ニュータウン)地域施設を民間に移管するのは以前からの方針だ。市の指導で具体的計画を検討する。会館も規模の適正化を図りながら機能は確保する。必要な機能を維持しながら、さらに魅力あるものにする。地域の理解も得ている」「(中学校給食)始まったばかりで評価は難しい。教科学習などでも食育を進めている」などと答えました。
CIO補佐官市長選挙で久元氏を支援
辞任した補佐官を紹介した人物は、市長選で久元市長を支援していた人物です。市の重要な部署を担当する人物を民間登用する場合「公平、中立、独立性」が求められるのは当然です。山本議員は「マイナンバーも含めた情報など、微妙な問題を扱う以上、高い倫理観が求められる」と、厳しく批判しました。
ニュータウンの近隣センターは、神戸市が建設した街。山本議員は、集会所の運営を地域に移すという答弁に対して「規模も縮小するとしている。そうなると市の関与はどうなるのか」と迫りました。岡口憲善副市長は「時代の変化で集会所の役割も変わっている。地元と協議しながら受け入れてもらえるようなものを出している」などと答えました。
デリバリー方式の中学校給食は、各地で見直しが進められているのが現実です。質疑の中で、教育委員会が実際、どれくらいの食べ残しがあるのかなども調査していないことも明らかになりました。山本議員は「実際に見て食べてということからの食育が重要だ」と指摘。質問に対し雪村新之助教育長は「今後、保護者にも試食してもらい、意見ももらいたい。生徒と保護者で意見を交わすことも大事」などと答えました。山本議員は「子どもたちは小学校から給食を食べている。デリバリーではなく小学校と同じ給食に改善すべきだ」と求めました。