関西広域連合 市民生活圧迫する道州制につながるもの
2012年06月11日
関西広域連合加入問題で松本議員が指摘
神戸市定例市議会は11日に開会、議長、副議長など議会の諸役員を選出しました。15日の本会議では、日本共産党議員団を代表して松本のり子議員が、関西広域連合加入問題について質問しました。
関西広域連合は、広域で処理することが適当と認められる政策・事務の一体化を図るということを目的に、2010年12月に設立されました。今回の議案は、神戸市が同連合に加入するための手続きを進めようというものです。
広域連合の規約では、当面、広域防災、広域観光、広域産業振興、広域医療、広域環境保全、資格試験、免許、職員研修、その他事務の実施となっています。しかし、広域連合は、関西経済連合会などが主張している道州制を見据えて設立されたことは明白。関経連は「広域連合は、道州制への最も有効なステップ。道州制への一里塚として財界の経済戦略に位置づけている」としています。指定都市市長会も「道州制を視野に入れている」との認識です。
松本議員はこうした点を指摘し、関西広域連合と道州制の関係について、市長の見解をただしました。
市民の声が届かない
また、広域連合議会で決めたことを、加盟自治体に押しつけるのではないかという懸念も強く出ています。
5月18日に開かれた神戸市議会の総務財政常任委員会と大都市税財政問題特別委員会の連合審査では、「広域連合で決められたことと、神戸市で決めたことが食い違い、広域連合の方針に従わない場合、自治法では自治体に勧告ができるとなっているがどう考えているのか」との質問に、川野理企画調整局長は「各自治体の基本構想の範囲内で計画がつくられることになっている。基本構想に合わないものは、広域計画に盛り込まれないようになっており、問題はない」とこたえています。しかし、震災がれきの広域処理について、広域連合は「放射線基準」を決め、市町村に徹底したいとしています。一方、神戸市は、国が基準を決めない限り、受け入れることはできないとの立場です。明らかに広域連合の考え方とはくいちがっています。
また、大飯原発3、4号機についても、広域連合は再稼働を決めました。住民の意見も、連携団体である神戸市の意見も聞かず決めています。
松本議員は「住民の声が全く反映されないところで決定されることについて、どう考えるのか。自治体の自治権が後退するのではないか」とただしました。
大災害に対応困難
国の出先機関の移管
国の出先機関は全部で8省府13機関ありますが、広域連合は当面、国交省、経産省、環境省の三つの出先機関の移管を国に求めています。しかし、こうした機関の移管がすすめば、大災害時の対応などで、十分な機能がはたせなくなる危険性があります。
松本議員は「機能の維持、経験の蓄積、技術の継承が低下するのではないか」とただしました。
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答弁:質問に対し矢田市長は「直接、道州制の導入につながるものでないと認識している」「委員は府県、市を代表して発言・活動している。市民の声は届く」「(大災害発生時の対応)現在の出先機関の機能がそのまま連合に移るので、今までの対応が可能になる」などと答えました。
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松本議員は「関経連は、7つの事業に関経連の委員を配置していくとしている。市長が言うような甘いものではない。道州制を進めていく組織だ」「大型公共事業を進めるもので、市民サービス低下につながる」などと厳しく批判。広域連合への加入はすべきではないと迫りました。