三宮周辺の全業者調査を(代表質問:金沢)
2014年09月26日
財界主導の開発を批判
金沢はるみ議員が代表質疑
2013年度神戸市各会計決算等を審議する神戸市定例市議会の本会議が9月26日に開かれ、日本共産党議員団から、金沢はるみ、西ただす両議員が代表質疑を行いました。
金沢議員は、神戸市が財界主導で進めようとしている三宮開発問題と、8月に起きた台風・豪雨災害への対応策などを取り上げました。
13年度の神戸市一般会計決算は26億2400万円の黒字となっています。黒字となった要因について金沢議員は「行財政改革による職員の削減、福祉の切り捨て、市民負担増によるものだ」と指摘。久元市長が職員削減、事業などの民営化・民間委託などを進めている元での黒字だと批判しました。
久元市長は、三宮開発を進める理由として「都市間競争に打ち勝つ」ことをあげています。国の都市再生特別措置法に基づく「緊急整備地域」に指定されている開発計画は、三宮駅周辺だけではなく、南は沿岸部まで、西は元町駅までの97ヘクタールもの広大な地域が対象とされています。
神戸市のホームページでは「神戸進出をお考えの皆様へ」として、市長が「日本屈指のビジネス環境が神戸にあります」「国内外の元気な企業の集積と成長のサポートに積極的に取り組んでいきます」と書かれ、企業を呼び込むという姿勢です。
あらたな開発を行う地域では、開発事業者や外部からの企業に対して、税金面での優遇措置や減免制度・賃料補助などが適用されます。すでに、六甲アイランドから移転するP&Gジャパン1社に対して4億5000万円もの賃料補助を行うことが決まっています。これは、規模的にも金額的にもこれまでの企業誘致や支援と比べても格段に大きいものです。
すでに「都心の未来の姿検討委員会」と「三宮構想会議」という二つの審議会が設置されています。財界がつくった「神戸海港都市づくり研究会」が今年3月、「神戸都心エリアの進化を促すJR三宮駅周辺整備・活性化に向けた提言」を発表。三宮駅前の駅前デッキ・空中回廊や交通ターミナルの整備、JRの改札口の整備にあわせた駅前整備など壮大なもので、提言通りに進められれば莫大な経費が必要となります。審議会には、この「研究会」から3人が加わっており、財界主導で進められていることがわかります。
また、JRや阪急の駅ビル再整備も企業まかせというのが実態です。金沢議員はこうした点を指摘し「財界や企業中心で進められれば、周辺のテナントや商店街が大打撃を受けかねない。眺望・景観などへの影響も懸念される」と批判。「都市間競争」を口実に、大企業さえ誘致すれば神戸経済や三宮は元気になるのか、との疑問も出ていると提起。 三宮周辺の商店街や市場の人たちからは「消費税が上がって値上げせざるを得ず、売り上げは落ちている。三宮を再開発すれば、ますますチェーン店などが多くなり、地元がうるおうとは考えられない」「駅前だけきれいになっても、我々はどうなるかわからない。再開発の情報はほとんどない」との声が上がっています。
金沢議員は「厳しい状況の下でも頑張っている地元の商店街などが生き生きと蘇り、商売が続けられるような計画にするべきだ」と対応を求めるとともに、そのためにもエリア内の全事業者を対象にした悉皆調査の実施を求めました。
被災者への支援強化を
金沢議員は台風と豪雨で、広島市、丹波市・福知山市などで被害を受けた多くの住民にたいし「お見舞い申し上げます」と述べ、一日も早い復旧、復興を願いました。 今回の台風、豪雨では、神戸市北区などでも大きな被害が出ました。堤防の決壊や逸水、土砂災害、土砂崩れによる道路の通行止め、土石流など、あちこちで被害が出ました。
北区山田町上谷上字古々山では、谷筋から土石流が発生し、家の敷地まで土砂が流れ込み、自家用車や門、塀などに被害が出ています。道路が完全に塞がれ、一時住民が通行できない状況になりました。
金沢議員は「同様の災害は今後も起こる危険性があり、住民は不安な毎日を送っておられる」と指摘。被害を受けた地域では、今後、対策が取られる見通しがあるところ、支援策が見つからなくて困っているところなど、状況は様々だとして「神戸市として住民の相談にのり、兵庫県や国とも連携して、今回の災害に対する支援策を打ち出すべき」とただしました。また、今回の被害について兵庫県が打ち出した支援策の拡充を求めるとともに、神戸市としての支援策を打ち出すよう求めました。さらに、土砂災害危険区域の総点検と対策を求めました。
▲答弁とその後の質疑から▲
質問に対し、久元喜造市長らは「(三宮開発)都心再生は重要な課題だ。地元の代表もはいっている。代表者を通じて地元意見の集約を図っている」「(災害)広島の災害は他人ごとではない。有識者の意見を聞きながら対策を強化する」「(支援)支援金制度は県で可決次第、早く届けられるよう、最大限努力する」「民有地は土地所有者が行うのが基本だ」などと答えました。
三宮開発問題では、審議会には地元の組織から7人の代表が参加していますが、商店街など、多数の店の意見が反映できるのか疑問も出ています。金沢議員は「個々にどのような問題を抱えているのかを把握するためにも悉皆調査が必要だ」と重ねて要求しました。
災害対策では、全く対策が取られていないところもあります。民有地とはいえ、事実上個人の力ではどうにもならないのが現状です。金沢議員は「神戸市として土地所有者すら把握できていないところがある」と指摘、調査を求めました。また、土砂災害警戒区域については、災害対策基本法で警戒避難体制の整備が規定されていますが、未整備のままとなっています。今回の災害では、避難所までの道路が崩れて避難所に行けない人も出ています。金沢議員は「早急に計画を立てるとともに、避難場所についても検討すべきだ」と迫りました。