市議団の活動

  • 2020年05月27日
    申し入れ

    新型コロナ 市民の困難に寄り添い「長丁場の対応」を

     5月21日、兵庫県は緊急事態宣言対象区域から解除されましたが、新型コロナウイルス感染症は収束したわけではありません。市民は大きな困難と不安をかかえており、引き続き支援が必要です。さらに今後第二波、第三波の到来が不安視される中で、それに対応できる医療検査体制の再構築や、自然災害などに備えた対応が求められています。

     日本共産党神戸市会議員団は5月27日、議長を通じ久元喜造市長に対し、6月補正予算で、国の臨時交付金と財政調整基金など持てる財政を投入し、抜本的かつ即効性のある対策を求め申し入れをおこないました。

    申し入れの全文は以下の通りです。

     


    神戸市長 久元 喜造 殿

    緊急事態宣言解除に対応した新型コロナウイルス感染症対策の強化を求める要望書

                                  2020年5月26日

                                日本共産党神戸市会議員団

                                     団長 森本 真

     新型コロナウイルスの感染症について、日本共産党神戸市会議員団は、感染爆発と医療崩壊を防ぐ医療介護現場への支援、感染の全体像をつかむ検査体制の拡充、自粛休業要請に見合った補償、学校休校や特別保育に対応した子育て支援などを、神戸市に対して要望を行ってきました。

     5月21日に、神戸市を含む兵庫県は緊急事態宣言対象区域(特定警戒都道府県)から解除されましたが、新型コロナウイルス感染症は収束したわけではなく、ウイルスの存在を前提にした「長丁場の対応」が求められます。

     神戸市民が置かれている状況は、地域経済、教育・子育て、くらしと雇用などで引き続き大きな困難をかかえており、いまこそ被害に見合った支援が必要です。また、今後も感染拡大の第二波、第三波が危惧される中で、それに対応できる医療検査体制の再構築や、自然災害との複合災害に備えた対応が求められています。

     神戸市長におかれては、以下の点で緊急対応をおこなうとともに、6月補正予算で、国の臨時交付金と財政調整基金など持てる財政を出し惜しみすることなく投入し、抜本的かつ即効性のある対策を求めます。

     

    • 自粛・休業要請に見合った補償をおこなうこと
    • 市独自の即効性のある支援で、市民生活を応援すること
    • 学校再開にさいし児童生徒と子育て家庭に対し柔軟できめ細やかな支援をすること
    • 検査体制の拡充で感染の全体像をつかむこと
    • 第二波の感染拡大にそなえた医療体制を再構築すること
    • 自然災害との複合災害に備えた体制をただちに構築すること

     

    1.自粛・休業要請に見合った補償をおこなうこと

    (経営継続支援事業について)

    • 県市協調の休業要請事業者経営継続支援事業の支給を即座におこなうこと。5月7日以降も休業・営業時間の時間短縮要請に応えているところには支援金を支給すること。
    • 自粛が解除されないライブハウス、カラオケボックスなどの経営継続支援策をつくること。

    (融資制度について)

    • どの融資制度も支給までに時間がかかっており、受付・面談・支給をスピーディにおこなえるように人員体制を強化すること。銀行、保証協会などとも協力し、手続き審査の短縮を進めること。
    • 支援金や融資等の入金に時間がかかり、事業継続が危ぶまれている。市独自の緊急融資制度(申し込み、即入金、無利子・無担保。据置一年・返済期間三年、百万円等)を創設すること。チャレンジ支援金の交付者に計画費用を無利息で貸し出すなど円滑な事業ができるようにすること。

    (家賃減免について)

    • 店舗家賃負担軽減事業(家賃補助)は、4・5月に限らず対象期間を延長すること。金額を増額し、条件を緩和し、すべての賃貸業者や工場等事業所などにも対象を広げること。
    • 不動産協会などを通して、オーナー・テナントへの説明を確実におこなうこと。
    • 店舗付き住宅を借りて営業している場合には、店舗住居ともに補償の対象とすること。
    • テナントへの直接給付など制度の拡充をおこなうこと。
    • 神戸市や外郭団体所有の家賃軽減策は、4・5月に限らず対象期間を延長すること。共益費も含めて減免すること。最低50%の補償ができるように市が援助すること。

    (市独自支援について)

    • 「中小企業チャレンジ支援補助金」の用途に、飲食店などのウイルス対策飛散防止用の備品購入費や改装費を認めること。テイクアウト事業の支援対象に容器の購入費も認めること。
    • 自己所有の事業所について、家賃補助相当分の固定資産税(償却資産)の減免をおこなうこと。
    • 卸売市場施設の使用料の家賃・使用料を減免すること。
    • 中小企業をはじめ事業者が廃業、(連鎖)倒産、自殺に追い込まれることがないよう家賃・地代・水光熱費・リース代などの固定費への直接助成をはじめ、損失に見合う補償をおこなうこと。
    • 県(兵庫県中小企業団体中央会)の「がんばる お店お宿応援事業」は、申し込みが多数で受けられない事業者が続出しているので、市独自の制度をつくること。
    • 店舗の感染防止用に、アルコール消毒液やマスクなどを無料で配布すること。

    (周知徹底と国への要望について)

    • 持続化給付金の書面での受付窓口を増やすように国に求めること。
    • 事業者向けの融資、給付金、支援金等の制度を全事業者に周知徹底すること。
    • 各事業者別の事業継続のガイドラインについて周知徹底すること。

    2.市独自の即効性のある支援で、市民生活を応援すること

    (上下水道の減免について)

    • 市民及び中小事業者に即効性のある支援となる水道料金の減免を決断すること。
    • コロナ禍のなかで、6月検針分から下水道料金の引き上げで市民に十数億円の負担増をおこなうことは許されません。料金の引き上げを凍結し、下水道料金を減免すること。
    • 阪神水道企業団受水自治体で減免を決断していない自治体は神戸市だけである。5市の日本共産党議員団連名の申し入れに対し、企業側は「構成市から相談があれば協議する」と表明した。阪神水道事業団に対し、受水費の減免・猶予を求めること。

    (給付金・支援金について)

    • 新型コロナウイルス感染拡大による離職、失業に対して、生活福祉資金、総合福祉資金、住宅確保支援金の申請、および生活保護の申請を速やかにおこなえる体制を取ること。
    • 特別定額給付金の申請について、高齢者や障害者が申請しやすいように体制を取ること。また、給付をスピーディにおこなうこと。
    • 各種制度について、障害者や低所得者などインターネットでの申請が困難な方など、全市民が等しく利用・給付が受けられるように、手続きを改善・簡素化すること。
    • 高齢者や障害者の日常生活に係る緊急の生活支援として食事の宅配やタクシーの利用などのサービスが受けられる利用券を交付すること。

    (国民健康保険料について)

    • 新型コロナウイルス感染症による国保の減免制度を周知徹底し、申請用紙を被保険者に郵送するなどし、区役所に行かなくても減免できる制度を構築すること。
    • 6月の保険料通知の送付後の区役所での相談については、密集しないように対策を取ること。

    (学生への支援について)

    • アルバイト先を失い収入減となっている学生への支援金を創設すること。
    • 各大学に学費減免の要請をおこなうとともに、学費の立替え支援をおこなうこと。

    (市民・文化団体への支援について)

    • 会議や催し物の中止を余儀なくされた団体に対して、市施設のキャンセル料を徴収しないこと。
    • 文化団体やフリーランスへの独自支援金を創設すること。

    (周知徹底について)

    • 緊急事態宣言後も感染拡大を起こさせないために「新しい生活様式」などの広報をすること。
    • 感染対策防止のゴミ出しルールを市民に周知徹底し、環境局職員の感染防止対策に取り組むこと。
    • 感染者や関係者、医療従事者などへの不当な差別や偏見、誹謗中傷などの風評被害が起こっている。正しい情報を発信するとともに、相談窓口を設けるなど被害の回復に努めること。

    3.学校再開にさいし児童生徒と子育て家庭に対し柔軟できめ細やかな支援をすること

    (児童生徒の心のケアについて)

    • 学校再開で子どもたちを迎えるにあたっては、まず「よく来たね」「がんばったね」と激励することを第一とすべきであり、特に校門での生徒指導や風紀指導等は控えること。
    • 通常授業への移行前に、コロナ禍における休校期間中の児童生徒の経験や悩みを共有すること。
    • スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの全校配置をすすめること。
    • 保護者の失業など深刻な悩みを抱えた児童生徒への相談体制・窓口、スクールカウンセラーなどによるオンライン相談をつくること。
    • 児童虐待やDVなどから児童生徒を守るために、学校園・児童相談所・福祉事務所・保育所(園)、放課後デイサービスなどの連携を強め対策を講じること。

    (子どもの成長過程に寄り添った授業再開をおこなうことについて)

    • 「学力格差の拡大」を是正し、「学習の遅れ」に対応するためにも教職員増員をおこなうこと。
    • 文部科学省「通知」で示された「授業時数を下回ったことのみをもって、学校教育法施行規則に反するものとはされない」「児童生徒や教職員の負担軽減にも配慮すること」を踏まえ、機械的な授業増ではなく、学校・教員に最大限の裁量を保障し、授業時数を減らし、個々の実情に応じた無理のない計画で、授業の遅れを取り戻すようにすること。
    • 文科省「通知」で示された「次年度以降を見通した教育課程編成」にもとづき、教材や教科内容を選りすぐり、夏季・冬季休業の短縮や、時間割の新設・短時間授業の設定・補習等の実施・授業時間延長、下校時間を延ばすなどの児童生徒への負担増ではなく、教育課程の編成をおこない、各学校の実態と児童生徒の実態を踏まえた柔軟な対応をおこなうこと。
    • 休業終了後の授業時間の確保のために、調査や研修、研究指定、連合行事など不要不急の事業は思い切って削減すること。運動会・音楽会・プール授業などは感染症対策を万全に講じることを前提に、実施については柔軟に対応すること。市の学力テストと体力テストは中止すること。
    • 対面授業とオンライン学習の併用のための、端末と利用環境整備のために予算措置をおこなうこと。生活保護世帯だけなくそれ以外の家庭にも通信費の補助をおこなう制度をつくること。
    • ICT支援員を各校配置し、保護者や子どもへの要求に応え、かつ教職員への援助をおこなうこと。

    (感染症対策徹底に見合った教職員の大幅増員について)

    • 長期に渡る対策が求められるなかで、分散登校や家庭学習を援助できる正規教員をはじめ教員定数を思い切ってふやすこと。
    • 学習指導員を雇用・配置し、教員の業務の一部を受け持ち、学習指導の補助をおこなうこと。
    • 学校事務員や学校用務員を雇用・配置し、学校の清掃・消毒作業や検温作業、事務的な仕事・HPの管理などを行い、教員の負担軽減をはかること。
    • ソーシャルディスタンス確保や「三密」回避へ、40人学級解消を緊急の課題としておこなうこと。
    • 大規模校・過大規模校の対策、特別支援学校の過密解消や課題解決のために、必要な予算と教職員の配置をおこなうこと。

    (経済的な支援を進めることについて)

    • 家計収入が急減した家庭に対し、入学金等や授業料を免除・減免し、高等学校等就学支援金、高校生等奨学給付金等の申請や認定について申請期日や方法について柔軟に対応すること。
    • コロナ禍により保護者の失業が増えており、繰り返し就学援助制度の案内をおこなうこと。
    • 就学援助世帯に対しては、就学援助費相当額に見合った支援をおこなうこと。食品の発送は二次三次とおこなうこと。
    • コロナ感染の第二波も想定し、学校給食が提供されてない期間は、学童において昼食を配布できる体制をつくること。

    (感染症対策について)

    • 在宅育児をおこなっている親子が支援の無いまま孤立している。感染対策を徹底したうえで、子育ての相談や同世代間で交流できる場の再開や実施を、行政・保健所の責任でおこなうこと。まだ相談窓口や電話相談を実施し、周知すること。
    • 学校園や保育現場においてクラスターが発生した場合の閉鎖及び必要な安全対策を行ったうえでの再開が行えるようにガイドラインを作成すること。
    • 各学校園や施設に対し、非接触型体温計、マスク、消毒液等の配備、感染拡大防止に見合う手洗い場の整備、給食調理場やトイレのドライ化などの整備をすすめること。
    • 職員室などでの「三密」を防止すること。妊娠中・基礎疾患をもっている教職員への在宅勤務などをすすめること。
    • 養護教諭の感染防止対策をふくめた保健室等での対応マニュアルを作成するとともに、保健室以外で、発熱等感染が疑われる児童・生徒が待機(保護)する場所の確保すること。すべての学校に養護教諭の複数配置をすすめること。
    • コロナウイルスに対応している保育従事者への特別手当を拡充すること。

    4.検査体制の拡充で感染の全体像をつかむこと

    (発熱外来、検査の拡充と保健所の強化等について)

    • 保健所を通さず医師の判断で、すぐにPCR検査ができる体制をつくるために民間や大学などにも協力を求めるなど体制を整えること。
    • 発熱外来を早急に抜本的にふやすこと。そのためのスタッフ配置を支援すること。発熱外来を実施している病院へ、防護服等の医療支援物資を優先的に支援すること。
    • 状態が悪い方でPCR検査の結果が出るまで治療が受けられない場合が出ている。市として、こうした患者の受け入れができるように医療機関を確保すること。
    • 承認された抗原検査キットを広く医療現場で活用できるように手立てをとること。
    • 保健所および保健センターは、非常事態でも通常業務が継続できるよう人員を増強すること。
    • 各業種(外食・飲食等)の感染防止ガイドラインを徹底するとともに、改装、物品購入などの助成制度をつくること。

    5.感染拡大にそなえた医療体制を再構築すること

    (医療体制の再構築と支援強化について)

    • 医療機関での感染拡大を起こさないために、新型コロナウイルス感染患者に限定した病院や病棟などを確保すること。
    • 軽症者・無症状者を受け入れるホテルなどでの対応には、常時医師の配置も含め、万全の体制をとること。
    • 新型コロナウイルス感染症対策にあたる医療関係者専用の宿泊施設を確保すること。
    • 医療従事者は非常に過酷な環境で対応している。継続的な医療環境を維持するために必要な人員や資材を確保すること。思い切った医師・看護師確保策をとること。
    • 新型コロナウイルス感染症の対応で財政負担がかかる病院への財政的補償を十分おこなうこと。病院、診療所、歯科の損失補填をおこなうこと。
    • 消毒液、マスク、ガウンなど感染防止に必要な物品については、各医療機関に行き渡るように徹底すること。

    (介護・障害者事業所への支援について)

    • 介護事業所・障害福祉サービス事業所への支援金について、早く給付できるようにすること。
    • 介護事業所・障害者サービス事業所のコロナによる休業や利用者減による損失を補填すること。
    • 介護、障害者事業所などに消毒液、マスク、ガウンなど感染防止に必要な物品への確保について支援をおこなうこと。

    6.自然災害との複合災害に備えた体制をただちに構築すること

    (複合災害に対応する体制づくりについて)

    • コロナ禍での災害発生を想定したマニュアル・ガイドラインを策定し、体制の整備を早急におこなうとともに、全ての避難所と市民に徹底すること。
    • 新型コロナウイルスに感染が疑われる避難者については、速やかな医療機関への移送体制を全避難施設に徹底すること。大規模災害発生時等やむなく一般避難所と敷地内で一時受け入れをする場合も想定し、別棟での避難場所を確保し、通常の避難場所からの移送手段等も確保すること。
    • 避難所においてクラスターを発生させないために、代替の旅館やホテルなど二次避難所として大規模に活用すること。
    • 避難所での「三密」をできる限り解消し、クラスターを発生させないために、宿泊施設等も含め、避難所を増やすこと。
    • 各避難所へのマスク、消毒液、テント、ダンボ-ル製の衝立等の備蓄を十分おこなうこと。
    • 避難所生活衛生環境をただちに強化し、1人あたり四平方メ-トル確保や、個室やゾーンわけなど、スフィア基準導入を推進すること。

    以上

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