議会報告

  • 2019年12月18日
    本会議

    松本のり子議員が反対討論

     

     12月4日に神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団の松本のり子議員は2019年度神戸市補正予算関連議案に対し、反対討論をおこないました。

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    反対討論

                                                  日本共産党神戸市会議員団

    松本のり子

     日本共産党神戸市会議員を代表して、予算第27号議案、予算第28号議案、第104号議案、第107号議案、第110号議案、第115議案について反対討論を行います。

     

     まず、予算第27号議案は、神戸市一般会計補正予算です。補正予算では、マイナンバーカード交付円滑化事業について5200万円,債務負担行為として8300万円計上されています。

     5200万円はカード取得のために、神戸交通センタービルにサテライトをつくり、取得率を上げようというものです。昨年、内閣府が行ったアンケートでは、カードの取得予定なしと答えた人が53%です、特にカードを利用したいと思わないと答えた人が62%となっています。この全国結果は神戸にも当てはまります。市民のカード取得率は19%にとどまっています。市民が求めていないものに莫大な経費をかけるべきではありません。

     総務財政委員会の審査で、局長は「来年度末までにマイナンバーカードが医療保険証として使えるようにするために、取得率を上げていく」などと説明されました。しかし、カードの保険証化について医療関係者からは「患者がマイナンバーカードを持ち歩くことで、紛失の危険性がある」「院内ネットワークがオンラインで常時院外とつながっていることで医療情報を含む患者のプライバシー流出の危険性が高まる」「災害時停電すれば機能しなくなる」など多数の問題が指摘されています。局長からは、この問題を解決できる答弁はありませんでした。現行の保険証で間に合うものに、さらなる経費をかけて、情報漏えいの危険性を高める対応はやめるべきです。

     

     次に107号議案は須磨海浜水族園の指定管理者としてグランビスタホテル&リゾートに指定しようとするものです。水族園の在り方については、生物が飼育界に来たときに野生にいた時と同じような生き方を人間が代わって保障するのが基本的なスタンスだと思います。水族園の教育的、社会的な役割は、生き物の命をつなぐことを保障しながら生き物の生態を知る手がかりを来園者に知ってもらうことではないでしょうか。シャチによる派手なショーで観光客を呼び込むことを柱に据えられた民間施設が、社会教育施設の役割を引き継げるのかは、疑問です。また、料金についても、子どもはこれまでのびのびパスポートでいつでも無料になっていましたが、民間再整備の後は、無料は、学校行事に限定されています。大人も1300円から3100円と大幅値上げでとなり、家族が子ども連れで気軽に足を運ぶことは困難です。内容的にも料金的にも、神戸の市民と子ども達のための須磨水族園の、教育的役割が失われることは明らかです。

     また、こうした提案をおこなった優先交渉権者をコンペで選定する際に、再整備全体の配転400点中、水族館の評価は、わずか110点です。この110点の中味がわからないことに市民から批判や疑問の声が上がっています。こうした不透明な選定過程を見ても、30年先まで須磨水族園の未来を当該の事業者に託すことはできません。民間再整備のあり方を見直し、随意契約による指定管理者の指定は中止すべきです。

     

     次に110号議案は道路の廃止の議案です。これは北区山田町の広大な山林に民間事業者が大規模な太陽光発電を計画しているため敷地内の道路を廃止するものです。神戸市はこの事業計画について「大規模な森林伐採により貴重な自然環境を失ってまでやみくもに再生エネルギーの導入拡大を求めるものでない。自然環境の保全と両立した形での建物の屋上、壁面、最終処分場の跡地等の活用で自然地を改変してまで導入することはない」との市長意見をだしています。市長意見は、自然環境の喪失、防災上の懸念、太陽光パネルの放置や環境保全措置の懸念の4点にわたり指摘しています。現在この事業は、林地開発許可の手続きの事前相談中であり、神戸市が早々に道路を廃止する必要はありません。

     

     次に115号議案 神戸市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案です。市長を含め神戸市職員が期末勤勉手当を引き上げるなか、320人にのぼる教育委員会事務局に勤務する課長級以上の職員や学校の校長等についてだけ、引き上げを行わないというものです。人事委員会は9月24日に公民較差の解消のため、全職員の給料、期末勤勉手当の引き上げを勧告しましたが、市長は115号議案で教育委員会の一部の職員の給料、期末勤勉手当の見送りを決めました。人事委員会も「遺憾」との異例の表明をおこなっています。

     行財政局は一部の職員の給料改定の見送り理由に、東須磨小学校の事案を念頭に「教育委員会のガバナンスの欠如」をあげています。総務財政委員会において「引き上げの見送りの対象に、図書館、博物館の課長級がふくまれているが、図書館と博物館のどこにガバナンスの欠如があるのか」と、お聞きしましたが、局長は「教育委員会全体で管理監督することだ」と答弁されました。博物館の職員が、どのようにして学校教育について管理監督するというのでしょうか。

     公務員の処遇は地方公務員法など法令に基づき厳密に対応すべきものです。「組織の宿命」という、法令根拠のない市長個人の考えによって、職員に対して不利益行為を押し付けることは納得できません。

     

     次に病気休職期間の給与の期間、支給率の大幅値下げについてです。病気休職の大半は精神疾患です。精神疾患は時間をかけ治さなければならないため長期の休職が必要です。にもかかわらず今回の改定によって、有給の病休は3年から1年に短縮され、2年目からは無給となります。一方、傷病手当では、給料が約3分の2しか保証されないため、30代、40代で家庭を持っている人はたちまち生活の不安にさらされます。

     職場でのハラスメントの問題は、国においても、来年6月にパワハラ防止を企業に義務付ける法律策定の準備をしています。これから、ハラスメント対策や支援について強化すべきこの時期に、病気休職の給与保障を改悪することは、これに逆行するものです。生活の不安なく病気を克服できるように、これまでの制度を維持すべきです。

     

     最後に、104号議案は、児童館の指定管理です。今回、児童館の管理に株式会社の参入をみとめ、株式会社セリオを大黒児童館の指定管理に指定しようとしています。文教こども委員会では「この株式会社は他都市でも指定管理に参入しているため実績がある」と説明されました。しかし、他都市では、指導員が使用していた注射器が、床に放置され、それを児童がふみ怪我をするという事例が発生しています。この問題は広く報道されていましたが、委員会で局長は「この事例は知らなかった、今後しらべる」と答弁されました。児童の安全を最も重視すべき児童館において、こうした点をまったく検証されず、この株式会社を選定したことは問題です。指定管理の指定はおこなうべきではありません。

     

     以上、主な議案について反対の理由をのべました。議員各位のご賛同をお願いいたします。

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