議会報告

  • 2021年11月29日
    本会議

    新型コロナウイルス感染症 PCR検査広げ「第6波」を起こさせない対策と備えを 西議員が議案質疑

     神戸市議会定例市会本会議が11月29日にひらかれ、日本共産党神戸市会議員団を代表して西ただす議員が議案質疑に立ち、久元喜造市長らの見解を質しました。

    質疑項目
    1.新型コロナウイルス感染症の「第6波」対策について
     (1)大規模・頻回・無料のPCR検査について
     (2)保健所体制の強化について
     (3)後遺症対応について
    2.認知症対策と住民税超過課税について


      現在、新たなコロナウイルス変異株が不安視されています。神戸市は、ワクチン接種後も感染が広がっていることなどを理由に、高齢・障害者施設での週一回のPCR検査をすすめ、酒類提供に関わらず飲食店全般での検査も広げるとしています。西議員は、本気で感染拡大を抑え込むことを考えるのであれば、学校園など密な環境となる施設においても定期的・頻回の検査をおこない、希望する家庭には簡易の検査キットを配るなど、いつでも検査ができる環境をつくるべきと求めました。

     

    答弁ダイジェスト

     小原副市長:ワクチン3回目が完了するまで重症化リスクの高い高齢者・障害者施設への定期的検査を再開した。重症化リスクの低い保育所・学校園を検査の対象に加えることは考えていない。抗原検査キットは、無症状者への診断に推奨されていないため、市の負担での提供は考えていない。
     西議員:医療的ケアが必要な児童・生徒が在籍する特別支援学校などでは重症化リスクはないと考えているのか。
     長田教育長:重症化リスクについては十分に配慮を有するべきと考えている。
     西議員:市が重症化リスクのあるところに検査をすると決めたのに、実際すべきところにできていないではないか。「いつでも」「どこでも」「何度でも」無料でおこなわなければ、第6波に対応できない。



    保健師増員こそ市民の命と安全を守る自治体の役割だ

     久元市長は、紙による連絡が保健所の業務を停滞させているなどとして、業務のデジタル化で保健所の強化をすすめるとしています。しかし、感染拡大時に濃厚接触者の追跡ができなくなり、大量の自宅療養者が生み出され安否確認も電話が中心となりました。入院できず自宅で亡くなった方もいます。西議員は「こうした事態はデジタル化では解決できない。決して同じことを起こさせてはならない」と人員の増員を強く要望しました。

     

    答弁ダイジェスト

     小原副市長:令和4年度には保健師が300名になる予定だ。さらにデジタル化の導入と疫学調査のスピードアップをはかる。
     西議員:保健師に聞くと「デジタル化で時間短縮になるかは不明。願いは必要な人員の確保だ」と言っていた。現場の声に応えるべきではないか。
     小原副市長:紙ベースでの業務の二度手間をデジタル化で省略し、人員増と合わせて業務効率をはかっていく。
     西議員:人材派遣を混ぜて増員しても技術が継承されない。第4波では十分な追跡調査、対面での対応ができなくなり、ジレンマの中で皆さんはお仕事をされていた。これがデジタル化で解消できるとは思えない。抜本的な保健師の増員が必要だ。



    実態に心寄せる姿勢に転換し、後遺症に苦しむ方々への支援早急に

     今、コロナにより後遺症が残っている人たちへの支援が早急に求められています。神戸市は、相談ダイヤルや実態調査をすすめるとしていますが、感染された方は重症化したのに入院できず後遺症が残り、また別の方は酸素ボンベが生活の中で欠かせなくなり、月に2割負担で1.7万円の費用がかかっているそうです。西議員は、こうした方への医療費助成などの支援を求めました。

     

    答弁ダイジェスト

     小原副市長:就業や行動制限の間の医療費は公費負担だが、解除後は通常医療と同様だ。国に後遺症対策を早急に講じるよう要望している。
     西議員:医療費が増え、生活が大きく変わった人たちがいる。その人たちをどう助けるかという観点で調査し、生活が困窮し先が見えない皆さんに対しての支援を考えるべきだ。
     小原副市長:神戸市でも実態調査をおこない、国をあげて対策を議論し対応していくことが重要と考えている。
     西議員:第1波から3波の調査はされず、第4波からも半年が経っている。調査の前から後遺症で苦しんでいる人がいることはわかっているのに、なぜ声が聞かれないのか。苦しんでいる人に寄りそう姿勢があまりにも足りない。これまでの経験から学び、力を入れて早急に支援をすべきだ。


    認知症神戸モデル
    見通しの甘さが露呈!市民に負担押し付ける制度は見直しを

     認知症の高齢者が増えるなか、認知症の高齢者への対応を、家族任せにせず、国や社会で支えることが求められています。神戸市は、認知症の診断料と事故にあった場合の救済制度の保険料を全額自治体負担とするかわりに、その財源を住民税の超過課税として市民に負担させてきました。この超過課税は、国が対策を講じるまでの暫定的なものとして3年間の限定のはずでしたが、今議会の議案では、制度維持のためとして引き続き個人市民税の均等割を財源にするとしています。3年間で市民から徴収した9億円のうち、事故救済制度の事業費2.6億円は民間保険会社に支払われ、実際に保険が適応されたのはわずか15件で158万円です。西議員は、民間保険会社を喜ばせる制度となっており、市民負担で続けるべきではないと質しました。

     

    答弁ダイジェスト

     小原副市長:3年間のつもりで始めたが、国の新しい対応策が示されなかった。検証結果に基づき、令和4年度も個人市民税を財源に引き続き継続していく。
     西議員:市の見通しの甘さが恒常的な市民負担につながっている。市民に還元されないような制度は問題だ。
     小原副市長:保険料と給付額を比較して意義がないという議論はできない。
     西議員:超過課税を徴収するというのは筋が通らない。住民の福祉の向上という市の責任を放棄し、増税と保険制度という「自助・共助」の枠組みに認知症対策を押し込めようというのは許されない。

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