議会報告

  • 2019年10月28日
    本会議

    朝倉えつこ議員が反対討論

     

     

     10月28日にひらかれた神戸市議会本会議で朝倉えつ子議員が2018年度神戸市会計決算に対し反対討論をおこないました。

     


                     反対討論     

    日本共産党神戸市会議員団

     日本共産党神戸市会議員団を代表して、平成30年度神戸市一般会計決算、特別会計決算、公営企業会計決算及び関連議案に対する反対討論をいたします。

     平成30年度神戸市各会計決算のうち、決算第1号、決算第2号、決算第4号、決算第9号から決算第12号、決算第14号から決算第19号の合計13件に関しては認定できません。また、決算関連議案のうち、第66号議案、第67号議案の2議案に関しては承認できません。

     以下、認定できない理由を述べます。

     

    第1の理由は、人口減少の状況を直視していないからです。

     久元市長はこれまで「子育て・教育、高齢者・障害者施策など、すべての世代を対象とした社会保障政策は厚みを増し、安心・安全、環境、経済、芸術・スポーツなどの分野でも新たな政策展開を図ってきました」と自らの施策を自賛していました。

     しかし実際には、神戸市は、久元市長の下で、日本一人口が減少した自治体となりました。これは市長が「行財政改革2020」にもとづき、市立幼稚園や保育所を削減し、敬老祝い金や高齢者配食サービスまで削ってきたことが、誤りであったことを示しています。

     市長が、今議会に打ち出した「人口減少対策リノベーション第1弾」は、明るい町と称して街灯を1.5倍にする、防犯カメラを増やすなど、人口減少対策としてはあまりにもかけ離れ、市民の重いとはまったく違った施策と指摘せざるを得ません。

     市長が「これまでの対策が不十分だった」とお認めになるなら、市政運営の根本的転換こそ必要です。

     

    第2の理由は、市民の願いに寄り添っていないからです。

     市長は、安倍政権に追随し、「都市空間向上計画」を強行し、郊外地域を切り捨て、都心や駅前には過密をすすめようとしています。豪華な市役所づくりをはじめとした三宮巨大開発に1000億円、無計画な港の埋め立てに45億円、大阪湾岸道路西伸に5000億円など、将来世代にわたり負債をおしつけるムダな巨大開発をすすめることは、市民の願いではありません。

     また、市職員研修の場における久元市長の「子どもの医療費は無料化がいいなら、三木や明石行けばよい」との発言は、人口減少問題に向き合い努力されてる現場職員や、子育て世帯の気持ちを大きく傷つけるものとなりました。また「無料化しないとの立場は一貫している」などと答弁されましたが、「無料に」との選挙公約を途中で態度を変えなど、その態度にはまったく一貫性などありません。

     子どもの医療費に限らず、保育所待機児童は、全国ワースト7位、学校給食や保育料負担軽減などは他の自治体からも立ち遅れています。市民との公約を守ることはもちろん、市民のくらしを直接応援する施策を中心にすえるべきです。

     

    第3の理由は、国の悪政の防波堤になって、市民のくらしを守る立場がないからです。

     安倍政権による10月1日からの消費税増税強行により、神戸市民と中小業者のくらしと営業の悪化はより深刻となっています。不安と混乱も広がっており、目玉のポイント還元は、利用できる店舗は全国で4分の1程度しかなく、不公平を助長するものとなっています。しかし、そうした実態にはまったく配慮せず、超過課税による住民税増税や、下水道料金値上げなど増税・負担増をすすめることは許されません。

     地方自治法に定められている「住民の福祉の増進」を、市政運営の柱にすえるとともに、神戸経済の活性化は、国が指定する成長産業や、大企業・外資系企業の誘致偏重路線ではなく、神戸市に根を張る既存の中小業者を応援して、足元から市民のくらしを豊かにする道に転換すべきです。

    第4の理由は、議会からの意見にもこたえていないからです。

     今議会では、与党会派からも、「都市空間向上計画の線引きやめよ」「国のいいなりやめよ」の声があがり、「市長の公約通り、高校生まで医療費助成の拡充を」「あたたかい中学校給食へ見直しを」「保育無償化で浮いた予算で、給食費や保育料軽減を」の声があがりました。

     これは、市民の声を反映したものであり「市民のくらし応援を」の声は議会の総意といえます。この議会の声を無視しつづけることは許されません。

     さらに、都市空間向上計画については、まだ素案の市民意見の結果も出ないうちに、あらたに計画案の説明会や市民意見募集を進めるなど、言語道断の暴挙です。議会にすら報告がされず、議会軽視もはなはだしい進め方です。再度委員会を開き、計画案を議会できちんと議論をするべきです。

     また、「主要なバス路線を考慮し、区域を検討、出来るだけ明確な境界を検討」と言う部分修正などではなく、計画そのものを撤回すべきです。

     

    第5の理由は、神戸市会の過去の経緯も踏まえず、さらなる福祉改悪を進めようとしているからです。

     市長は、「高齢者が増えるなか、制度を見直さないのは現実的ではない」などと、敬老・福祉パスの改悪を既定路線のように語っています。しかし、これは、敬老パス有料化の際の、神戸市と民間バス業界との合意を踏まえないもので許されません。

     制度維持に必要な予算は、一般会計予算総額の0.08%程度です。ところが、無料乗車証の廃止や近郊区の改悪を進めようと議論しています。高齢者や障害者、母子世帯など、弱者のための施策すら切り捨てる市政に対して、「70歳になり免許返納しようと思ったが、これではとても返納出来ない」と言う不安や、市民の怒りが急速に拡がり、短期間にも関わらず、2万4千筆を越える署名が集まりました。

     市長の決断で現行制度を維持し、さらに拡充すべきです。

     

    第6の理由は、子どもの命と人権をまもる教育改革には程遠いからです。

     垂水のいじめ自死事案、六甲アイランド高校における生徒の自死未遂事案、そして東須磨小学校の教師同士のいじめ。今、神戸市が一貫してすすめてきた学力偏重の競争教育、子どもの人権を尊重しない管理主義教育のあり方が、根本から問われています。

     東須磨小学校の事案について今取り組むべきは、徹底した真相究明と、何よりも保護者や子どもたちの声にとことん寄り添いながら、一日も早く日常の学校生活を取り戻すことに力を尽くすことです。二次被害を防ぐことも重要です。この間の垂水いじめ自死事案の教訓がまったく生かされず、学校と教育委員会の隠蔽体質、その根源にある子どもの人権を大切にしていない教育のあり方、保護者の声にも寄り添わない対応は、本当に許されません。

     今年の4月のいじめ問題再調査委員会の報告書では「教師がSOSを出せる『チーム学校』のために、その協同性を促進する理念、目的は児童生徒の『いのち、権利、利益』を守ることに尽きる。児童生徒にとって最善の利益の実現であり、これは『子どもの権利条約』を教育現場に生かすことに他ならない」と、しています。

     神戸市と教育委員会は、児童・生徒、保護者に寄り添って、一人一人の子どもたちの人権が尊重される教育へ転換すべきです。

     

     なお、神戸市当局主導のヤミ専従問題や、新交通の不適切な労使関係は、いずれも、神戸空港などの大型開発の失敗のツケを、住民サービス削減や合理化という形で、現場に押し付けたものです。

     神戸市当局主導によって歪んだ「労使協調」を生み出し利用してきた、久元市長をはじめ歴代市長や神戸市当局の責任は極めて重いものであることを申し述べておきます。

     

     以上、決算を認定できない理由を述べ、日本共産党神戸市会議員団の討論とします。皆様のご賛同をお願いいたします。

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