議会報告

  • 2020年02月26日
    本会議

    震災後25年間の教訓いかせ!大型開発で人口は増えない


    2月26日にひらかれた神戸市会本会議で、日本共産党を代表して、森本真議員が代表質疑に立ち、2020年度当初予算などについて久元市長らの政治姿勢を質しました。


    質疑項目
    1.人口減少対策にたちむかうために何が必要か
     (1)駅前再整備や三宮再開発などインフラ整備について
     (2)家計を直接あたためる、くらし応援の施策について
     (3)市民の声を市政にいかす「市民が主役」のまちについて
    2.震災25年-震災復興の認識について

     

     神戸市は、25年前の阪神・淡路大震災以降、大型開発を進めれば経済は強くなると、市民・被災者のくらしや住宅再建そっちのけで神戸空港、医療産業都市、港などの建設に数千億円単位の投資をおこなってきました。しかし、昨年人口減少ナンバーワンになりました。これは「震災復興」の名で進められた大型開発では暮らしも雇用も良くならなかったことを証明するものです。にもかかわらず、今年度の予算でも、湾岸道路など陸海空の巨大開発と三宮の再整備や駅周辺のリノベーションなどのインフラ整備に巨額の予算を投じています。久元市長は、人口減少の要因を明らかにせず、市民に意見を聞くことなく、駅前の公共用地を民間に売却し、タワーマンションの建設などで人口を増やそうとしています。森本議員は「三宮再整備などの大型開発で儲かるのは大企業や神戸市だけで、市民は恩恵を受けない」と批判しました。

    答弁ダイジェスト

     森本議員:駅周辺リノベーションについてアンケート調査をした。「(ここには)今住んでいる市民の皆さんが暮らしやすいまちづくりをしてほしい」という切実な願いが寄せられているがどう思うか。
     寺﨑副市長:駅前が魅力的になると、そのまちに暮らす喜びを感じてもらえる。駅前だけをやってるわけではないが、駅前は人口減少対策に重要な要素だ。
     森本議員:駅周辺用地を民間に売却しマンションを建ててもらうという考え方だが、実際は人口は増えず、学校が廃校になった例もある。
     寺﨑副市長:住み替えによってできた空家をリノベーションして子育て世帯に住んでもらいたいと考えている。マンションに住んでほしいという施策ではない。
     森本議員:マンションをつくっても市民の移動が大半で人口増にはつながらない。神戸市は神戸空港や医療産業都市ができたら良くなると言ってきたが、市民の暮らしは少しも良くなっていない。大企業には援助し、もっと儲かる仕組みになっている。大企業を優遇するより、今苦しんでいる中小企業に支援をしていただきたい。


    市民の家計を直接あたためる暮らしの応援を

     昨年10月からの消費税増税の強行や医療・介護などの改悪で市民の負担は増え、格差と貧困が広がっています。格差と貧困の拡大を是正することは、「住民福祉の推進」を任務とする神戸市がもっとも重視すべき施策です。森本議員は、敬老・福祉パスの改悪など弱者切り捨てをやめ、市長公約である医療費無料化や高校生の通学費助成の実現など、市民が望む暮らしの応援をすべきと、予算の大幅拡充を求めました。

     

    答弁ダイジェスト

     森本議員:直近の市長公約は「こどもの医療費助成の対象を中学3年生から高校生まで段階的に拡大します」だ。中学校まで無料化の公約は「段階的すみやかに」と言ってやらなかった。今回も「段階」とあるが、この3年間何も進んでいない。これは段階とは言わないのではないか。
     久元市長:(森本議員の)おっしゃる通りかと思う。高校生の医療費助成はまだ取り組んでいない。
     森本議員:公約違反だ。本当に理解に苦しむ。もはや久元市長の公約は信用できない。


    市民や職員の「命」をおびやかす民間委託・職員削減やめよ

     神戸市は、震災以降、行財政改革による極端な職員削減によって、職員は長時間過密労働に苦しみ、非正規や民間委託などを拡大しています。さらに、今回の組織再編では市民参画推進局の解体など、市民の声を聞かず、久元市長の顔色をうかがうような市役所に変質させようとしています。森本議員は「教育委員会や区役所職員の自死事案や子ども家庭センターの小学生を追い返した根底には、職員削減や民間委託がある」と、久元市長が進める行財政改革を厳しく質しました。

    答弁ダイジェスト

     森本議員:一番残業している部署は障害支援課で1年間で1256時間。過労死ラインを越えている。なぜこんなに残業しているのか。
     岡口副市長:相当な事務量が課せられ、その対応に追われているからだと考えている。各職場で実態と原因を調査し、早急に対処する。
     森本議員:先ほどの残業実績は2018年のものだ。2年経ってもこのような状況が続いている。「早急に対処」ではなく「対処できてないといけない」のではないのか。これほど残業を強いられているのは、これまでの極端な人員削減が原因だと思う。先日の子ども家庭センターの事案でも、職員を配置していればこのようなことにはならなかったのではないのか。
     寺﨑副市長:委託した事業所で発生した事案だが、神戸市の責任と考える。原因については早急に有識者会議で検証し対策を講じる。
     森本議員:(外部に委託した事業所で起きた事案を、外部の)有識者会議で解決する問題ではない。職員削減で過密労働に苦しみ、精神を病んで死を選ぶ職員が出てしまう。これほどひどい職場はない。是非改善していただきたい。


    久元市長よ、被災者の命の叫びを聞け!

     今年の1月で阪神・淡路大震災から25年が経過しました。久元市長は新聞のインタビューで「今は100%復興している」と述べています。森本議員は「長田区で被災者とともに懸命に救援・復興に取り組んできたが、全く実感はない」と、市長が被災者を訴えている借り上げ住宅の追い出し裁判で苦しむ方々の声を紹介し、被災者の命を奪うような冷たい市政を批判しました。

    答弁ダイジェスト

     森本議員:「100%復興している」根拠は何か。
    久元市長:市民と行政の努力で復興し、震災の傷跡はほとんどなくなった。震災前より震災に強いまちになったと評価されている。この現状から神戸のまちはすでに復興したと考えている。
     森本議員:市が告訴している方の中に、先日お亡くなりになった方、病気で歩けなくなり住居が見つからず市長に相談の手紙を書いた方がいるが、知っているか。
     久元市長:存じ上げない。お亡くなりになった方にはお悔み申し上げる。私たちがとってきた借り上げ住宅への対応は間違ってはいなかったと考えている。
     森本議員:この手紙は命の叫びだ。それを無視するのか。兵庫のキャナルタウンでは、県の借り上げ住宅は継続入居できている。これは不公平だと思うがいかがか。
     久元市長:裁判で訴えている方の手紙に返事をするのは適切ではない。借り上げ住宅の要件は県と市では違う。今後もこの方針を変えるつもりはない。
     森本議員:神戸が一番冷たい。まちはきれいになったかもしれないが、苦しんでいる被災者が一人でもいる限り「100%復興」なんて言えない。被災者が元の生活に戻り、明日に希望が持てるよう支援を求める。

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