議会報告

  • 2020年07月07日
    本会議

    不要不急の三宮開発を中断し、コロナ対策に全力をあげよ

    6月26日、神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団の森本真議員が一般質問をおこないました。

     

    質疑項目

    1.長期間、新型コロナウイルスの存在を前提にした取組が必要なもとでの神戸市政のあり方について  

    (1)不要不急の事業計画の見直しについて  

    (2)インバウンド頼みの観光・経済政策からの脱却について 

    (3)これまでの縮小路線に反省し,保健所体制の充実を  

    (4)少人数学級を中心とした子どもと教育への支援について  

     

     今回の新型コロナウイルス禍の間、市民や事業者への支援と、感染拡大防止に全力をあげるためにも、神戸市のこれまでの様々な施策・計画について精査し、不要不急の事業などの中止や変更が必要です。森本議員は、これから長期にわたってコロナウイルス禍が続く中で、人口集中や人を集中させる都心三宮再整備や駅前再開発などの施策・計画は見直すべきと質しました。

     

    答弁ダイジェスト

    久元市長:今後を見通すことはできないが、これからコロナの恐れがあるからと言って立ちすくんではいけないと思っている。神戸が魅力ある都市として発展していくためには、玄関口である都心三宮の再整備を時代にニーズに合わせて着実に進めていくことが重要。

    森本議員:新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、今後のまちづくりにも大きな転換が迫られている。未来都市創造に関する特別委員会で、三宮再整備や市役所本庁舎、中央区役所等の建て替えについても手法等を再検討する必要があるのではないかという提言が全会派一致でまとめられた。このことについて市長はどうお考えか。

    久元市長:委員会の提言については拝見した。新型コロナという未知の感染症が出現したことによってまちづくりについても影響が出てくるということは当然のことだ。今後の三宮再整備については、状況の変化を踏まえながら進めていきたいと考えている。

    森本議員:今は立ち止まることが大事だ。神戸市の施設である文化ホールや(市役所)2号館跡地の音楽ホールの対応は考えたのか。

    油井副市長:今回のコロナを受けて様々な取り組みが必要だと思っている。民間の意見を聞きながら反映していきたいと考えている。

    森本議員:文化ホールのあり方は全国的に大きな問題になっている。市の施設として計画の見直しが必要ではないか。

    久元市長:立ち止まらずに進めていくことが大事だと考えている。

    森本議員:東京築地市場の再開発は事業の休止を決めた。財源の問題もあるが、今後いつまでこのコロナが続くのか、新たな感染症への対応も考えなければいけない。三宮・駅前再開発は行政主導というより民間主導だ。ホテルの関係者や商業施設の関係者に意見は聞いたのか。

    油井副市長:今はホテルの需要は落ち込んでいるが、今後国内も海外も需要が回復していくという話を聞いている。

    森本議員:今後いつまでコロナが続くのかわからない、見通せないと市長は言ったが、国内や海外の需要は見通しているのか。

    油井副市長:確かに今の状況ではコロナがいつ収束するのかを明確に示せる方はいない。ただ、まちづくりは1年2年ではなく長期をにらんでするものだ。現在の新しい生活様式やコロナを踏まえ、新しい動きに合わせて柔軟に適切に対応していきたいと考えている。

    森本議員:柔軟に対応するにも専門家の意見が必要なら、今は立ち止まるべきだ。


    インバウンド頼みの政策見直し、市民へ手厚い支援最優先に

      

     神戸市はこれまで、インバウンド(海外旅行者)や外国・外資系の企業誘致を経済の柱にしてきました。しかし、現在のコロナ禍では、この経済施策を続ければ破綻は必至です。この施策にそって今すすめられようとしている事業のひとつが須磨海浜水族園・海浜公園再整備計画「スマスイ」です。森本議員は、この計画は即座に見直し、方針を転換し、神戸市須磨水族園として、市民からも愛される水族園を残すべきだと求めました。

     

    答弁ダイジェスト

    岡口副市長:須磨水族館についてはインバウンドも見込んでいるが、それに偏っていることではなく、むしろメインターゲットは国内さらに関西圏だ。withコロナの時代でも十分に成り立つ事業であると考えている。

    森本議員:事業者の計画では水族園もホテルもインバウンドの富裕層が主力になっている。コロナ禍で人を集めることが難しくなり、今後も採算が取れないのではないか。この計画は今誰が考えても危ない計画だ。事業者と話し合い計画を白紙に戻すべきだ。

    また、5月22日に緊急事態宣言が解除されたが、28日には六甲山スマートシティ構想が発表された。どう考えても東京や外国など、よそから移動してくる人に優しく、今コロナで困っている市民や子どもたちに冷たいものだ。

    寺﨑副市長:六甲山スマートシティ構想はまさしくwithコロナ、ポストコロナの時代にふさわしい構想である。神戸市内の方も国内外の方にも六甲山の素晴らしい環境でビジネスに親しんでいただくことを目標に国内外に発信する目的で計画した。

    森本議員:神戸市が移転業者のために支援をすべきではない。今困っている人を助けるのが神戸市政ではないのか。

    寺﨑副市長:当然困っておられる方を助けるのは我々の仕事だ。しかし、withコロナの時代でもっと自然環境豊かなところでテレワークなどをおこないたいというニーズが高まり、withコロナ・ポストコロナの時代をにらんだ戦略として六甲山スマートシティ計画を中心に外からの投資を誘致していくことは極めて重要なことである。

    森本議員:今はwithコロナで考えなければならない。だからこそ今中小業者や子育て世帯、ひとり親世帯などの困っている人にこそ支援をすることが大事だ。


     公衆衛生医師ふやし、積極的検査で感染拡大の早期発見を

     

     新型コロナウイルス禍では、命を守る医療体制とともに保健所の役割が大きな力を発揮されました。同時に、保健センターで働く職員からは、「現場に公衆衛生医師がいれば、医療機関や市民からの相談に即答できた」という声が寄せられています。

     3月の議会の大かわら議員の質疑に副市長は「保険所の体制は十分」と答弁されましたが、先の福祉環境委員会では、「現在保健師の数は、10万人あたり政令市最下位」と答弁されました。保健師の抜本的増員とともに、各区の保健センターとして常勤の公衆衛生医師をセンター長に配置し、指揮する体制が求められています。森本議員は、今後の第2波第3波に備えながら、積極的疫学調査をおこなっていくためにも、各区の公衆衛生医師の配置と保健師の大幅増員をおこない保健所体制を抜本的に再構築するべきと求めました。

     

    答弁ダイジェスト

    寺﨑副市長:今年度はすでに12名の増員し、今後の新たな感染症にも備えるために令和2年度は合計40名の前倒しの増員をおこなう。医師については現在保健所医師との連携で対応が可能。

    森本議員:5月21日から6月23日までの1か月近く陽性者はゼロだったが、PCR検査数は1日平均25.

    4件。非常事態宣言時と変わっていない。無症状の陽性者をいかに洗い出し、感染対策をとるかが今問われている。そのためにも各区に公衆衛生医師の配置は必要だと思うがいかがか。

    寺﨑副市長:PCR検査数と公衆衛生医師の配置は全く関係ない。

    森本議員:今感染拡大に備えた対策が主流である。新型コロナウイルスは発症前から感染を広げ、無症状な人が多い。各区の保健センターで公衆衛生医師が指導することが大事だ。もっとPCR検査を活用し徹底的に発生を抑えるために医師も必要ではないか。

    寺﨑副市長:それぞれの診療所や病院などから医師が必要と認めた場合については積極的にPCR検査をおこなう方針にしている。保健所の保健師であっても対応を取り次ぐ体制は整っている。

    森本議員: PCR検査自体は減っていない。中央区と兵庫区に週に2回医師が派遣されているのは何のためなのか。

    小原健康局長:通常の区民の方の健康管理、感染症、それ以外の病状等も含めて管理、確認するために派遣している。

    森本議員:基本的に兵庫区と中央区は感染症が多く、そのために配置されている。各保健センターは、市民地域住民の健康と生活を守る最重点になっているが、コロナで本来の保健所業務である母子・乳幼児・老人・精神保健業務、疾病予防業務、食品環境衛生業務などの多岐にわたる業務が機能低下に陥らない体制つくることが大事だ。そのためにも保健師の大幅増員が必要だと思うがどうか。

    寺﨑副市長:コロナの対応期間中、乳幼児の検診などがおこなえなかった影響が出ているのはおっしゃる通りだ。そのために保健師の体制強化は重要であると考え、全庁的な応援体制の中で今回の第1波を乗り切ってきたのが実態。第2波についてもこのような教訓を参考にしながら対応にあたる。

    森本議員: H27年度28年度の保健師の募集定員は数名だ。30年で10人。令和元年でやっと15人、そして今回55人になる。保健師の獲得に力を入れてなかった証明だ。


     少人数学級の本格実施へ、学校統廃合や駅前への人口集中見直しを

     

     先の補正予算の質疑で、教員加配による「少人数学級について、できるところからやっていく」との教育長の答弁がありました。感染拡大期には、3密を避けるために教育現場でも「ソーシャルディスタンス」が要求されます。森本議員は、子どもたちへの感染拡大防止と心のケア、学習の遅れに対する手厚い援助をするうえでも少人数学級への転換が有効な手段だと市長らの見解を求めました。

     

    答弁ダイジェスト

    長田教育長:少人数制学級編成をすべての学校を対象に実施する場合、多くの課題があり実現することは極めて困難であるが、今年度に限り国の第二次補正予算に計上された学びの保障のための教員の加配を活用して空き教室の状況を見ながら実施可能な学校について順次実施していく。

    森本議員:市長は2016年におこなわれた中央区の婦人市政懇談会で、「(統廃合での過密は)我々の責任で解決しなければならない問題ですので、しっかりやっていきたい」と発言している。この教訓とwithコロナで考えれば今後の学校の統廃合は見直し、統廃合されたがまだ校舎が残っているところは少人数学級に向けた活用を検討すべきではないかと思うがいかがか。

    久元市長:少人数学級と関連付けて答えたことは一度もない。

    森本議員:プレハブ校舎や過密校を出現させたのは間違った統廃合とともに、三宮のタワーマンションが建てられた駅前の開発だ。学校が統廃合され子どもたちが困っている。この方針も見直すべきだがいかがか。

    長田教育長:統合をおこなった学校のうち、その後の状況変化などによって児童数が増加し、過密化対策を実施している学校があるのは事実だ。統廃合にあたっては引き続き望ましい学校環境の実現に向けて取り組んでいきたい。

    森本議員:新型コロナウイルス感染症は昨日(6月25日)の段階で世界で感染者945万人、死亡者48万と毎日10万人単位で陽性が拡大し、WHOはパンデミックは加速していると警鐘を鳴らしている。神戸市では緊急事態宣言を解除して感染警戒期と言われているが、いつパンデミックが起こっても不思議ではない。今の状況に合わせて様々な計画を見直さなければならない。今すべきことは、新型コロナウイルス感染症という見えざる敵との戦いに全力を注いで感染拡大を抑え込むことにより、市民の命をと生活を守り、神戸経済を支えることが神戸市に課せられた任務だ。その想いで取り組んでいただきたい。

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