議会報告
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3月26日、朝倉えつ子議員は日本共産党神戸市会議員団を代表し、2021年度神戸市各会計予算及び関連議案に対する討論をおこないました。
*討論の原文は以下の通りです。
2021年度神戸市各会計予算及び関連議案に対する討論
日本共産党神戸市会議員団
朝倉えつ子
私は,日本共産党神戸市会議員団を代表いたしまして,予算第1号議案,予算第2号議案,予算第4号議案,予算第8号議案から予算第11号議案,予算第13号議案から予算第18号議案。予算関連議案のうち第1号議案,第3号議案,第4号議案,第8号議案,第9号議案,第11号議案,第13号議案,第15号議案から第17号議案,第20号議案,第21号議案,第23号議案,第26号議案について反対し,第14号議案の修正案ならびに、一般会計予算等の編成替えを求める動議について賛成する討論をいたします。
今回予算案は、「未来のアフターコロナを見据える」と三宮開発など不要不急の大型開発は見直しにいっさい手を付けないまま、昨年を上回る多額の財源を投入しようとしています。今求められているのは、苦境の意立たされている市民や自営業者・医療機関の実態に見合った補償と支援です。コロナ禍で苦難に立たされ困っている市民に寄り添う市政こそ求められています。
以下,反対の理由を申し上げます。
反対の第1の理由は,コロナ禍から市民の命と暮らしを守る予算となっていないからです。
この間,医療機関や介護施設等で多くのクラスタ-が発生し,病床ひっ迫をうみました。宿泊施設で療養中の患者が病状悪化のため、亡くなるケースも起きています。
「第4波」の危険も指摘されている現状では、自粛要請に対する文字通りの十分な補償と、医療機関全体に対する減収補填、コロナ封じ込めのための大規模な検査が必要です。
神戸市は社会的検査を特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、障害児・者施設の直接介護等を行う職員に対してPCR検査を行っていますが、医療機関、保育所、学校に対しても同様の対策を行うなど、さらに大規模かつ頻回に行うことが必要です。
また、コロナ受け入れ病院に限らず、どの医療機関も経営が悪化し減収しています。感染の危機にさらされながら頑張っている医療従事者に対し、ボ-ナスさえカットせざるを得ない状況です。今後ワクチン接種も担う、地域医療を守るためにも、全ての医療機関へ減収補てんを行うべきです。
中小企業への支援も不十分です。新型コロナウイルス感染症の拡大で,中小企業はどの業種も苦境に立たされています。緊急事態宣言の再発令が行われ,いまなお時短要請は続いています。家賃負担軽減緊急一時金,事業所税の減免だけでは,救われない中小業者を多く残すことになります。久元市長は「コロナ禍の危機を乗り越えていくことが最優先であり、失業や離職、倒産・廃業の危機に陥っている市民・事業者を全力で支援していく」とおっしゃるのなら、「困っている事業者」すべてに支援がいきわたるように、地域経済を支えてきた中小業者が営業をつづけられるよう、規模の面でも、期間の面でも支援を拡大すべきです。
反対の第2の理由は,計上された予算は,コロナ禍においても不要不急の三宮再整備など大型開発に偏重し,子どもたちや市民の暮らし最優先になっていないからです。
久元市長は,8年前の選挙時子どもの医療費無料化を公約しましたが,それを投げ捨て、外来受診の一部負担金を残すことに、いまだに固執しています。高校生の入院無料化による助成金の増額は,わずか1800万円です。子どもの医療費は,入院,外来ともに完全無料とするべきです。
また,今後5年間で少人数学級は,小学校6年生まで進めるとしていますが,文科省の計画から一歩たりとも前進させようという姿勢がありません。すみやかに小学校・中学校で前倒しで予算をつけて実施し,高校へと進めるべきです。学校の統廃合は中止し,計画的に整備をすすめるべきです。
中学校給食は、市民の声に押され,温かい,全員喫食の給食へ調査費が計上されました。破綻した民間事業者による調理を前提とするのではなく、子どもたちが望む,小学校のような自校調理方式の実施を正面から検討するべきです。
また,新年度予算では,「立ち止まらない」と言う市長のもと、都心・三宮の再整備には151億円をはじめとして,数百億円もの大型開発予算が計上され、今後市役所本庁舎の建て替えにも莫大な予算をかけます。市民は,自粛生活を余儀なくされているのに,コロナ以前と同様に大規模工事は進める異様さです。
一方,求められているコロナ対策の拡充には,「限られた財源」を理由に拒否しています。不要不急の大型開発を聖域とせず大胆に見直し・中断し,コロナ対策最優先の予算とするべきです。
本予算は,「行財政改革方針2025 」と事務事業の見直しで,「やめる勇気」と市民サ-ビスや福祉を切り捨て,さらなる職員削減を進める予算となっています。
阪神・淡路大震災の経験から,高齢化が進む公営住宅の見守り拠点として役割を果たしているあんしんすこやかル-ムを,コロナ禍で高齢者の不安が強まっている時に廃止しようとしています。子どもたちの療育の一端を担う、総合療育センタ-のバス運転業務を民間委託します。市民が様々な相談に訪れる区役所窓口は民間委託を拡大します。5か所ある水道局センタ-を廃止し、業務を1か所ないし3か所へ再編されます。コロナも震災の教訓も踏まえていません。また,市営住宅を10年で7000戸削減し,データによる一律の基準でバス路線の廃止や縮小をするなど,これ以上の公的責任の後退はゆるされません。
こうした住民サービスの切り捨てと一体に,大幅な職員削減が計画されていますが,これでは災害対応や感染症対策がますます困難になるのは火を見るよりも明らかです。
コロナ禍のもとで、これまでの保健所の統廃合が神戸市の公衆衛生を脆弱なものにしてきたことが、明らかになりました。しかし新年度予算は,衛生監視事務所を5か所から2か所に再編し,衛生監視員を削減しようとしています。再び公衆衛生の後退を招くものです。
震災やコロナの教訓を踏まえず,市民に寄り添わない予算は認められません。
以上,反対の理由を申し上げました。
なお,2会派が提出した,神戸市乳幼児等医療費の助成に関する条例等の一部を改正する条例の件に対する修正案は,市長が反故にした医療費完全無料化を実現するものです。
また,日本共産党市会議員団が提案した予算の編成替えを求める動議は,市長提案の予算から三宮再整備や,大阪湾岸道路西神部延伸などの大型開発等不要不急の施策を削減するとともに,財政調整基金を活用することで財源対策を行っています。
それによりコロナの影響で苦闘する中小企業,医療機関への支援や市民の暮らし応援,子どもの医療費無料化や35人学級の小中学校で実施など、市民の願いに応える提案となっています。
以上,議員の皆様の御賛同をお願いし,討論といたします。