議会報告
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11月27日に神戸市会本会議がひらかれました。
日本共産党神戸市会議員団の味口としゆき議員が議案質疑に登壇し、今議会に提案された議案のうち、下記の項目に対して質疑しました。質疑項目
1.個人市民税の超過課税期間の延長について
2.王子公園の土地売却について神戸市では、65歳以上の市民を対象に認知症の早期受診を支援する「認知症診断助成制度」と、認知症患者が外出時などで事故に遭った場合に救済する「認知症事故救済制度」を組み合わせた「認知症神戸モデル」を実施しています。しかし、この制度の財源は超過課税による市民負担です。この度上程された議案は、超過課税による徴収をさらに延長するために条例を改正するものです。久元市長は「時限を区切ってお願いする」としていましたが、今回の改正案が通れば2回目の延長となり、9年間市民負担を強いることになります。味口議員は、物価高騰で市民生活が大変なもとで市民負担を増やすべきではないと質しました。
答弁ダイジェスト
小原副市長:認知症は誰もがなりうる可能性がある。今後も安定的に継続していくために、財政状況に左右されない超過課税で負担いただくことが望ましい。
味口議員:収入が多い人にも少ない人にも同じ負担を求めるのは、税の基本である応能負担の在り方からも公平性の点からも不平等だ。
小原副市長:超過課税を負担いただくことも含め、まち全体で支えることで、市民の認知症に対する意識の向上にもつながっている。
味口議員:神戸市内へ進出する企業には市税の特例措置として6年間でわずか100社程度に15億円もの減税をおこなっている。しかし認知症についてはわずか3億円を市民に頼っている。超過課税で対応し続けるのは矛盾がある。
今西副市長:企業誘致は雇用や税収につながるインセンティブ策だ。認知症とは違う。
味口議員:まち全体で支えると言うなら一般会計で措置すべきだ。事業開始以降の収支推移をみると、第2期(2024年度)までは歳入が歳出を上回っているが、第3期(2025~27年度)の想定は、逆に歳出が上回るとしている。この原因は何か。
小原副市長:第3期では新薬の検査費用と行方不明高齢者の増加などの問題に対応するために3年間で10億円の超過を見込んでいる。
味口議員:この問題は今後増える傾向にある。そうなれば市民負担は増えていくのではないのか。
小原副市長:今後医療の進歩や検査の簡易化などで費用減になることも想定される。継続的に実施していくために国への働きかけも強め、歳入歳出も注視して検討していく。
味口議員:給付金と損害賠償部分では、実際に支給された金額はいくらなのか。
八乙女福祉局長:給付金は1期で1298万円、2期は5100万円だ。損害賠償金は1期で360万円、2期は210万円だ。
味口議員:2億円も税金から取り立てておきながら、その程度しか支給していない。結局民間の保険会社が儲けているではないか。物価高騰が続き、市民の暮らしが大変な時に、誰もがなりうるから増税するというやり方はやめ、一般会計でまかなうべきだ。
王子公園再整備計画
市民の声聞かず、樹木を伐採し防災拠点さえ危うくする計画やめよ「王子公園再整備」では、昨年神戸市と関学が協定を締結し、王子公園の一部を約100億円で売却することが決まりました。公募要項では2026年末の引き渡しとしていましたが、1年前倒しすることになり、市民から根強い懸念と批判の声があがっています。また、王子公園は「陸の防災拠点」という位置づけで、救援活動の拠点として大きな役割を担っていますが、引き渡しの前倒しによって使えなくなる期間が延長されます。味口議員は、売却ではなく市民の声に耳を傾けて再整備計画を中止すべきと質しました。
答弁ダイジェスト
味口議員:10万近くの反対の署名が集まっているのに、なぜ声を聞かないのか。
今西副市長:再整備の早期の効果の発現が重要だ。市民や来訪者に少しでも早く利用いただけるように前倒しにした。
味口議員:王子公園は消防ヘリの出動や市長のヘリ搭乗場所などとなっているが、スタジアムが使えない期間はどうするのか。
今西副市長:しあわせの村や御崎公園、近隣の学校や公園などを活用し、スタジアムが使用できない期間でも必要な機能を維持できる。
味口議員:しあわせの村は東部からは相当遠いし、御崎公園となぎさ公園は海抜2mと0mで南海トラフの津波が押し寄せてきたら拠点として機能できるかわからない。東部で機能を十分に発揮できるのは海抜42mの王子公園だけだ。
今西副市長:ヘリの緊急離着陸場は市内72か所ある。
味口議員:ここ(王子公園)は物資の拠点でもある。ヘリの問題だけではない。来年は阪神淡路大震災から30年だ。そのような時に、陸の防災拠点として大活躍した場所を民間に売って、これで防災の備えが十分だと思っているのか。
久元市長:十分だ。防潮堤の整備も完了しているので、御崎公園やなぎさ公園が水没する可能性は極めて低いし、万万が一、そのような事態が起こった時は、南海トラフの津波で国全体が壊滅的な被害を受けている状況だ。通常想定される対策はしっかりやってきた。
味口議員:想定外の事が起きるかもしれないと言いながら、想定内の答弁ばかりするのは矛盾している。民間に売られたらこれまでの機能が発揮できるのかという近隣の方々の不安には応えられていない。また、原田の森や桜の木が伐採されることになるが、来年は「神戸市緑の計画」の目標年次だ。この計画では、緑地の保全や緑化の推進を掲げている。大学誘致のために木を伐採することは、この計画に反しているのではないか。
今西副市長:再整備基本計画には、現状以上の本数を確保することと書いている。
味口議員:震災から来年で30年の前の年に土地売却をして防災拠点を危うくし、森林問題の第一人者である黒田氏を副市長に据えながら、「緑の計画」に反して植えかえればいいと樹木を伐採するような計画は転換すべきだ。