議会報告

  • 2025年10月01日
    本会議 予算・決算

    物価高から暮らしを守る中小事業者への賃上げ支援を

     9月26日に神戸市決算特別委員会がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団の前田あきら議員が総括質疑に登壇しました。

    質疑項目
    1.賃上げ・正規雇用化支援金の創設について
    2.バス路線の路線廃止・運賃値上げについて
    3.神戸港・波止場町「船溜まり」の埋め立てについて

     「物価高が続いていて、給料が上がらないので家計が本当に厳しい」と市内どこでも異口同音に聞かれる声です。とりわけ、就職氷河期世代や働く女性にとっては、いつまでも低賃金や非正規から抜け出せずに苦しみを抱えています。賃金の抜本的な引き上げが求められていますが、中小事業者は物価高騰のもとで社会保険料負担や価格転嫁の難しさから、賃上げに踏み出せません。
     前田議員は、物価高のもと暮らしの困難打開を願う市民の声に応えるために、賃上げや処遇改善、正規雇用化をおこなう中小事業者への支援を強化すべきと求めました。

    答弁ダイジェスト
    久元市長:国の支援策として設備投資への補助金があり、市独自でも販路拡大などの伴走支援の他、融資制度を実施してきた。事業者が収益性向上し自ら生み出した原資で賃上げすべきだ。

    前田議員:設備投資を要件にすると中小企業は効果が出ず、また法人税の賃上げ減税の適用率でも大企業16%に対し中小企業は4%なのが現状だ。10月からの最低賃金の引き上げにともない、9月の補正予算で緊急に補助金を創設し中小企業の賃上げの後押しを始めている都市もあるが神戸市は皆無だ。

    今西副市長:1回あたり1人5万円程度と一過性のもので、継続的な支援という意味では効果的にどうかと思っている。

    前田議員:一過性と言うが、1回でも賃上げできれば効果は継続されるのではないか。山形県のように女性の正規化や就職氷河期世代に加算する自治体もある。神戸市は女性の就業率は政令市で下から3番目。女性の正規化、雇用率と賃金を引き上げて働きながら子育てができるような支援策をつくるべきだ。

    小松副市長:神戸市では出産等で離職すると正規で復職する率が低い。国には非正規を正規化した場合や賃金アップなど処遇改善をした場合に支援金が設けられている。市内経済団体には正規雇用と女性の安定した雇用の拡大に努めるよう要請している。

    前田議員:特に困難なのが就職氷河期世代だ。市主催の氷河期世代の就職支援プログラムに参加しようとした方から、プログラムの請負先が「正社員をなくす」と発言した派遣会社のパソナで愕然としたという経験を聞いた。失われた30年の間違った政治が就職氷河期の方を社会的弱者にした。賃上げは政治の責任で、そのカギは、中小事業者への直接支援で賃金を引き上げることだ。国に対してもしっかり物を言い、国がやらなければ神戸市がやるという姿勢が今求められている。


    社会的弱者を切り捨てるバス路線の廃止縮小やめよ

     神戸市は経営状況を理由に、バス路線の再編・廃止縮小や運賃の引き上げをおこないました。運賃引き上げで一番打撃を受けるのは、収入が少なく、日々生活費を切り詰めている方々です。路線廃止や縮小で切り捨てられるのは、駅から離れた郊外の人だけではありません。減便によって、限られた本数のバスに利用者が集中することで、車いす利用者を含む障がいのある方や、ベビーカー利用者などの交通弱者が利用しづらい状況が生まれています。前田議員は、社会的弱者が最も影響を受ける減便を進めるのではなく、一般会計から繰り出しもおこない路線の維持充実で地域を支えるべきと質しました。

    答弁ダイジェスト
    今西副市長:地方公営企業はサービスを受ける側が負担する受益者負担による独立採算制が原則だ。一般会計からの更なる繰り出しは考えていない。

    前田議員:独立採算が基本原則だからといって交通弱者を切り捨ててもいいのか。声を聞かずにトップダウンで廃止や減便を進めるから兵庫区民から800件を超える要望や、東灘区民から繰り返し陳情が出ている。交通局は過去2回の反省から「今後大きな路線変更を伴う見直しについては半年前に市民に伝える」と表明している。来年度当初の路線変更はないのか。

    城南交通局長:現時点で来年度の路線見直しの実施の有無、時期は示せる状況ではない。

    前田議員:10月には市長選がおこなわれる。選挙前に示さず終わった直後に公表するような市民の信頼を損ねることは絶対にすべきではない。子どもや高齢者・障がい者など交通弱者の利便を度外視し、住民の福祉や安全を守る自治体の役割を投げ捨てるような路線再編の考え方は撤回すべきだ。


    阪神高速と受注大企業の利益優先する160億円超の船溜まり埋め立て・移転やめよ

     神戸市は、京橋船溜まりを埋め立て、土地を活用する積極的理由はなかったにも関わらず、高速道路の橋脚更新における阪神高速道路株式会社(以下「阪高」)の負担軽減のために無理やり海上施工(海上で作業をする)から陸上施工(埋め立て)に方針を切り替えてきたことが、決算特別委員会の審査を通じて明確になりました。前田議員は、阪高や工事を受注する大企業の利益を優先させ、新たな負担を市民に押しつける船溜まりの埋め立ては撤回すべきと厳しく追及しました。

    答弁ダイジェスト
    今西副市長:2021年1月から13回にわたり協議を進め、(同年)8月に双方(阪高と神戸市)にとって陸上施工にメリットがあることを確認し、2022年11月に確認書を締結した。決して阪高のために陸上施工を進めたのではない。

    前田議員:神戸市は4回目の協議で「このエリアに土地が欲しいとの積極的理由はない」「神戸市が埋め立てを先導するという根拠は見つかりにくい」とし、港湾局審査でも「埋め立て計画は初めからなかった」と認めている。阪高からの協議がきっかけで埋め立てに切り替わったということか。

    今西副市長:神戸港中期計画では、海上をつなぐデッキ計画があったが、その後の阪高との協議で陸上施工が最適解と見いだした。

    前田議員:阪高に言われたから、神戸市が「にぎわいづくり」や「回遊性」などのまちづくりの話を持ち出したのではないのか。埋め立て費用50億円だけでなく、防波堤の設置さらには船溜まりの移転工事や関係者の補償など、膨大な費用がかさむと思うが、船溜まりの再編で、京橋地区やポートアイランド地区でどれだけの工事費用が発生するのか。

    長谷川港湾局長:埋め立ての費用50億円と、船溜まりの移転整備が110億円だ。

    前田議員:160億円超えの工事だ。国費や返還見込みのある起債だけでなく、神戸市が10億円を負担することになっている。さらに工事用地として北側の国有地を神戸市が取得することになればその費用も膨らむ。市民負担なく全部阪高が持つのか。

    長谷川港湾局長:起債については埋め立て地の売却や賃貸収入で賄えるので、市民負担を強いるものではない。

    前田議員:市費負担分10億円が回収できるかわからない。協議の中で阪高も「陸上施工と海上施工には大きな差はない。神戸市に一定の費用負担を期待できれば、陸上施工を選択するメリットは大きい」と言っている。阪高には160億は一定の負担かもしれないが、市民生活を最優先に応援すべき神戸市のどこにこんな余剰金があるのか。そもそも高速道路は、受益者負担が原則の更新事業のはずが、なぜ阪高と需給大企業のために、市民負担で応援する必要があるのか。神戸港発祥の歴史的な船溜まりを埋め立てるメリットはない。大企業の利益のために不要不急の開発を進めるような住民不在の逆立ちした市政は転換すべきだ。

     

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