議会報告

  • 2019年03月20日
    その他

    ぶれない党だからできる財政提案-2019年度予算組み替え

    神戸市議会本会議が、3月19日ひらかれ、日本共産党神戸市会議員団は、神戸市予算の組み替え動議を提出しました。2019年度の神戸市一般会計予算案は総額8116億円です。三宮再開発などムダな開発予算の2%程度を改めれば、こども医療費無料化や国民健康保険料の引き下げ、保育所や特養老人ホーム新設など、切実な住民要求が実現できます。動議は、久元喜造市長に対し、神戸市予算案を編成替えして再提出することを求めるもので、19年連続の提案です。

    大企業からの献金や政党助成金を受け取らない日本共産党神戸市議団だからこそ、ぶれずに市民の願いにこたえ、市政のムダを削る実効性ある予算組み替え提案がおこなえます。

    三宮再開発などやめ市民の福祉を増進する本来の役割を

    市長提案の予算の特徴は、三宮一極集中の再開発をはじめ不要不急の大型開発をすすめる一方、市民サービスを犠牲にしています。また、都市空間向上計画を先取りした駅前再開発による、駅前過密と郊外切り捨てが一体にすすめられています。これは、まちづくりを市場原理に委ね、自治体の都市計画の仕事を放棄するものです。
    市長が公約に掲げた子どもの医療費助成の高校生までの拡充や待機児童解消はまたもや先送りにされ、さらに、国民健康保険料を値上げするなど、市民生活を顧みないものとなっています。国の福祉切り捨ての悪政にたいし、「防波堤」となって、市民の福祉を増進する自治体本来の役割をはたすことが神戸市に求められています。
    日本共産党神戸市会議員団が提案した、組み替え提案の概要は以下の通りです。

    第1の提案 将来を担う子どもたちのための子育て支援の抜本的な拡充

    ①中学校卒業までの医療費を全額助成するとともに、市長の公約どおり高校生まで制度拡充をおこないます。
    ②全ての行政区で認可保育所の誘致のための予算を増額するとともに、公立保育所を増設する予算を確保し、速やかに待機児童を解消します。
    ③大規模学童解消のため公設学童増設の予算を増額します。
    ④小・中学校の過密問題が全市に広がっています。学ぶ環境を改善するため、プレハブ校舎解消に年次を区切って取り組みます。さらに、過密解消のために小学校用地取得費を計上し、井吹台では中学校新設のための調査費を確保します。
    ⑤小学校全学年で35人学級を実施するため教員をふやし、豊かな学びを保障します。また、中学校には、いじめ・体罰根絶のための支援員の配置など教職員をふやします。
    ⑥教育負担の軽減のため、給付型奨学金制度を新設します。

    第2の提案 市民が安心して暮らせるための医療・介護・福祉の充実

    ①国民健康保険料の引き下げに、22億円の独自軽減制度を、一般会計からの法定外繰り入をおこないます。これによって一世帯1万円程度、保険料を引き下げます。また、介護保険料も基金の活用も含め、引き下げます。
    ②高齢者が安心して暮らせるまちにするため、待機者解消のため、特別養護老人ホームの建設を進めます。
    ③敬老パスは無料制度を復活。福祉パスは生活保護世帯への支給を復活し、それぞれのパスを、神戸電鉄など私鉄へも対象を広げます。

    第3の提案 市場・商店街、とりわけ個別店舗への直接支援の実施

    ①神戸市外郭団体の調査でも、地域経済への波及効果が明確となっている住宅・店舗リフォーム助成制度を創設します。
    ②市場・商店街振興のため、使途を狭めず地域活性化に資する活性化助成金を創設します。
    ③神戸市としても、販路拡大につながるトライアル発注をおこない、中小企業の仕事づくりを応援します。
    ④従業員の賃金アップや正規化をすすめる中小企業に対しては、奨励交付金など必要な支援をおこないます。
    ⑤第一次産業を振興するため、新規の就業の担い手支援制度を創設するとともに、地元産資源・生産物の利用転換を促進するための助成制度を創設します。

    第4の提案 生まれた街で住み続けられるための、まちづくりの応援

    ①地域に必要な利便施設等を誘致するため、郊外住宅近接型の小規模公的施設誘致支援事業を創設します。
    ②産科や小児科など地域医療の基盤を維持するための助成制度を創設します。
    ③行政区にある保健センターを強化するとともに、小学校区単位の健康づくり事業をすすめます。
    ④災害に強い地域をつくるため、私有地の危険擁壁にたいする助成を応急対策にと止めず、安全工事までむすびつくよう改修助成を拡充します。
    ⑤原発や石炭火力発電に頼らない地域分散型の再生可能エネルギー施策を促進します。
    財源の提案 予算案のわずか2%を組み替えることで実現可能

    ①毎年、50億円以上の一般財源が投入されている医療産業都市や呼び込み偏重の企業誘致施策を見直し、子どもの医療費無料や、保険料引き下げ、持続的な中小業者助成など、経常経費に充当します。
    ②新年度予算案では、三宮再開発や、大阪湾岸道路建設などに40億円を超える都市整備等基金が使われていますが、これら大型開発を中止し、保育所や特別養護老人ホームの建設費や、地域の防災やまちづくりの基盤強化に活用することで、地域経済循環型の投資に改める公共事業の転換も提案しています。
    ③誘致企業約70社への7億円もの行き過ぎた減税を中止するともに、70万市民にたいする住民税均等割3億円増税は中止します。
    ④神戸空港、ウオーターフロント開発、国際コンテナ戦略港湾への支援を見直すとともに、須磨多聞線など住民合意の無い事業は中止します。
    ⑤財源不足分については、空港開港までは一般会計に繰り入れていた新都市整備事業利益剰余金の繰り入れ、また財政調整基金の活用などを提案します。
    ⑥これら事業を実施しても、市長提案より20億円、市債発行を圧縮できます。

    2019年度神戸市予算組み替え提案の主な内容

    当初予算8116億円のうち 削減26項目 135億円(全体の1.66%)、増額30項目 134億円

    削減提案(企業減税7億円の歳入含む)

    ●三宮再開発 約49億円
    ・本庁舎整備 40億7907万円
    ・新文化ホール 3258万円
    ・新中央区庁舎 5117万円
    ・磯上公園体育館 8450万円
    ・東遊園地整備 1375万円
    ・新三宮図書館 200万円
    ・都心の再生 5億9440万円

    ●湾岸道路 約21億円
    ・建設局 16億5500万円
    ・みなと 4億4176万円

    ●呼び込み偏重 約54億円
    ・医療産業都市 36億7540万円
    ・市民病院の変質 7億6210万円
    ・企業誘致偏重 8億6429万円
    ・水素産業偏重 7820万円

    ●その他 約11億円
    ・駅前再整備 900万円
    ・都市空間向上計画 500万円
    ・明石海峡公園負担 3011万円
    ・垂水再開発 1億2160万円
    ・須磨多聞線 8126万円
    ・須磨海浜水族園民営化 927万円
    ・神戸空港(繰入金) 7億5333万円
    ・ウォーターフロント整備(繰入金) 1120万円
    ・戦略港湾(繰入金) 1億3023万円
    ・議員費用弁償(廃止) 1752万円

    ○企業減税 7億2920万円(73社)

    増額提案(住民税増税2.5億円の歳入含む)

    ●子育て教育 約65億円
    ・こども医療費無料化 20億円(中学卒業まで)
     こども医療費助成拡充 8億円(高校卒業まで助成)
    ・奨学金拡充 2億円
    ・35人学級 6億4000万円(小学校5・6年まで拡充64学級)
    ・いじめ対策支援員 6000万円
    ・小学校給食費値下げ 3億0800万円(前回値上げ分450円×6万2000人×11か月)
    ・保育所・学童保育整備 25億円

    ●医療介護福祉 約43億円
    ・国民健康保険料引き下げ 11億円(のこる11億円は基金活用)
    ・介護保険料引き下げ 8億4045万円(のこる13億円は基金活用)
    ・敬老パスの無料化復活と拡充 5億円(JRのぞく私鉄4社への路線拡充含む)
    ・福祉パス(生保)の復活と拡充約 6億5000万円(JRのぞく私鉄4社への路線拡充含む)
    ・特別養護老人ホーム等整備 10億円

    ●中小業者支援 約10億円
    ・雇用改善奨励金 2億円
    ・トライアル発注制度 1億円
    ・就農支援 1億円
    ・店舗リフォーム助成 3億円
    ・商店街・小売市場活性化助成 3億円

    ●地域課題解決 約18億円
    ・住宅リフォーム助成 5億円
    ・産科小児科等地域医療基盤整備 2億円
    ・区保健センターと健康づくり 1億円
    ・郊外住宅近接型施設誘致 1億円
    ・私有地防災工事助成 1億円
    ・地域分散型エネルギー転換 7303万円
    ・過密学校対策 7億3000万円

    ○住民税増税中止 2億5200万円(70万市民に400円10か月分)

    ●財源対策と効果

    ・財政調整基金 10億円
    ・新都市整備会計剰余金 10億円
    ・都市整備等基金(振替) 約42億円
    ・市債削減効果 20億円

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