議会報告
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9月16日と17日に決算特別委員会がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団から松本のり子議員・大かわら鈴子議員・西ただす議員・味口としゆき議員が局別審査に登壇しました。
「技術の継承や安全確保のためにも運転士の正規採用を計画的に増やせ」
9月16日 交通局審査より大かわら鈴子議員
質疑項目
1.公営交通の意義、役割について
2.バス運転士の人材確保について
3.交通振興の解散について
4.データにもとづく持続可能なバス路線について
神戸市の市バス運転士の年齢構成をみると、174人中90人が55歳から60歳、40歳以下は2割程度と年齢に大きな隔たりがあります。これはこれまで取り組まれてきた経営計画2020で、一貫して総人件費の削減、業務縮小、民間委託など経費削減が優先され、計画的に運転士の採用をしてこなかった結果です。その上、運転手不足を補うため非正規の短時間勤務のバス運転士を配置し人件費の削減を行っています。本来公営交通は、市民の足の確保にとどまらず、神戸市の施策と連携して街づくりへの寄与、地域社会への貢献、福祉的配慮等、多面的な役割を果たすことが求められています。大かわら議員は、技術の継承や事業の安定性、安全確保のためにも運転士の正規採用を計画的に増やすよう求めました。
答弁ダイジェスト
大かわら議員:今後毎年大量の退職者が出る。アンバランスな年齢構成をなぜこれまで是正されなかったのか。
習田副局長非常に厳しい経営状況で、新規採用を凍結していた時期があった。たしかに年齢にはアンバランスあるが、今後考えていかないといけない問題と認識している。効率的な経営をいかに行うか、民間の力を借りて可能な限りダイヤを守る。
大かわら議員:効率化だけで済ませてはいけない。市民の命かかわる事業されている所なので民間だのみでなく、誰もが安心して便利に利用できるようにすべきだ。
「神戸市の監査をつよめ、虐待を防止せよ」
9月16日 福祉局審査より松本のり子議員
質疑項目
1.施設における虐待の防止と監査のあり方について
2.国民健康保険料の厳しい取りたてはやめよ
3.ひきこもり支援のさらなる充実を
障害福祉サービス事業所等で利用者への虐待や不適切なケアが行われていたことが大きな問題となっています。神戸市でも、看護師が逮捕され有罪判決のでた事件もありました。しかし、現在でも、虐待が行われていると言われています。
松本議員は施設での虐待をふせぐための策として、交通費程度の予算を組み、地域の方にボランティアとして施設に入ってもらうことを提案しました。当局はボランティア受け入れ等実施している事業所もあるので、取り組みを事例として発信、紹介していくことを検討すると答えました。松本議員は外部の目は大事であり、職員さんが通報しづらいことを外部の人なら言えたり、虐待がおこなわれにくくなる壁にもなれるとして、地域のボランティアの方々の受け入れを事業所に義務づけるようもとめました。
また、松本議員は昨年の決算特別委員会でも、人権を守るため、独自の職員研修と問題を見つけられなかった市の監査の改善をもとめ、質疑しましたが、当局は効果的な監査の在り方を検討する」と述べるのみで、積極的な対応は示しませんでした。
今回、監査のあり方などの改善を再度求めた松本議員に対し、当局から「神戸市は条例で、年に1回以上の人権擁護、虐待防止研修を行うことを事業者に義務付けているが形式的なものになっていた。衆知・指導していきたい。また、早期発見の観点から専門官に事業所の運営状況を確認してもらい、実地指導の中で工夫出来ないか、引き続き検討していきたい」と答えました。前回の質問時より、監査の中身もこくなっており、さらにこの間行った研修の受講者アンケートには「日頃、自分たちの業務を(人権擁護の観点から)見ていなかった、気づきがありました」との回答もあったとのことでした。
答弁ダイジェスト
松本議員:気づきがあったという声があるのは、よかった。放課後デイなどは特に株式会社が多い。株式会社は儲からなければ撤退していく。これは今大きな問題になるが、そういう意味では、気づきがあっても、経営者の考え方によって間違っていると言えない部分もある。だから、社会福祉法人もだが、特に株式会社は営利を目的としているというのが最初につくので、そこへの指導、社長、オーナーの指導というものは、やはりやるべきだ。
赤坂監査指導部長:放課後等デイサービスでは、株式会社等の営利法人が多数参入している。これは制度的な問題で、児童通所支援事業等、法人格があれば参入できる。当然、様々な指定に係る要件等はあるが、国も営利法人の規制をするわけではないので、たくさんの営利法人も進出している。私どもも事例は少ないが、特別指導監査専門官が実地指導に赴き、法人代表と話をする中で、こういうふうな工夫をしたらどうですかというふうな話をしたところ、ほかの従業員の方が、後ろのほうでちょっと手をたたいておられたと。よくぞそういう指摘をしていただいたというような話もあるので、なかなか時間もかかり、数が多い中で、我々の体制の問題もあるが、できるだけそういう観点でも指導に努めていきたい。
松本議員:本当に時間がかかっても、やはり毎日毎日、障がい児、障がい者の方たち、はっきり自分がいじめられていると言えない人たちが利用している、やっぱりこれは早急に対策を考えるべきだ。
例えば、放課後デイにしても、株式会社だと、(障害が)重い子は個別給付になっているから、重い子については断ると。軽い子だけ入れるなど許されないことだ。
また、作業所もA型、B型とあるが、B型でも仕事ができる子にはたくさん加算をしていくという国の悪い制度ができたので、なかなか作業ができない人については、(入所を)断る作業所も出ていると聞いている。行政が重い障がい者が作業所に入所できないことのないようにチェックすべきだ。
「市民のいのちや安全をまもる予算に転換を!」
9月17日 建設局審査より西ただす議員
質疑項目
1.三宮再開発について
2.駐輪場の設置について
3.土砂災害について
4.王子動物園のリニューアルについて
神戸市は規制緩和を通して外部から民間事業者を誘致すれば人口を誘引することができ、にぎわいを持たせることができるという考えにとりつかれ、開発事業が進められています。しかし、コロナ禍を経験し民間でも全国のさまざまな自治体でも従来の事業への見直しが進んでいます。こうした中で、建設局は従前どおり23億円の税関前歩道橋の架け替えなどをはじめ、他局とともに三宮において工費だけでも1、000億円を超える様々な開発に取り組んでいます。コロナ前に想定した需要を当て込み、巨額の予算を使って、コロナ前に想定した事業を進めるべきではありません。しかし、神戸市は新自由主義の政策を国いいなりで進め、市民の命をまもることよりも、民間に利便を与えることに必死です。
たとえば、駅前を開発するにあたり、事業者が新しくビルを建てたり、なおしたりする場合、駐輪場の設置を義務づける条例が神戸市にはあります(昭和58年制定「神戸市自転車等の放置の防止及び自転車駐輪場の整備に関する条例」)。
ところが神戸市は「都心機能高度集積地区、土地の利用を高度化し集積させていくために、インセンティブ(目標を達成させるための報酬、誘因、刺激)を与えるという意味で駐輪場の義務を免除した」と条例を変更し、一部の事業者設置義務をなくしました。
駅前の放置自転車と市営駐輪場の定期待ちは大きな問題です。神戸市は駐輪場の利用台数、定期待ち分、義務を免除することになる600台、合わせて4000台を目標に駐輪場を設置するという計画もたてています。今ですら足りない駐輪場を設置しなければならないのに、本来なら三宮の一等地でもうけをあげる事業者が負担すべき分の駐輪場まで市民の税金で設置させるもので許されません。
答弁ダイジェスト
西議員:先の常任委員会での議論では、なぜこの地域だけにこのようなインセンティブをするのか、他の会派からも三宮の所だけやるっていう不公平性も出てくるということが問題になりました。今回の計画は、地上(の駐輪場)と地下、種類でも金額が全然違うはず。どれぐらい違うか、また地上でつくれないのか。
岩﨑副局長:地上に整備するのが一番安くできるが、三宮の周辺では、スペースがないので、地下空間も拡張しながら進めていきたいと思っている。具体的な整備はこれからいろんな可能性を考えながら、決めていきたい。
西議員:この三宮の開発は建設局も一体幾らお金がかかるか分からないような計画だ。民間がやるべき仕事を市が担い、しかも、本来であれば行政が使える土地を民間に貸し出すようなやり方は変えていかなければならない。今、都心・三宮における感染症に強い空間ガイドライン等検討会が行われ、ウィズコロナ、ポストコロナを見据えた議論がされている真っ最中だ。(検討会では)世界的に10年、20年のスパンでの感染の流行はまだあり得るという意見がでているが、予定どおりの海外から観光客が来ると思っているのか。
三島局長:都心・三宮の計画はコロナの前からつくっていたことは間違いない。今コロナの時代で、国土交通省の新しいライフスタイルという形のモデル都市に神戸市の三宮の計画が日本の中の13都市に上がっている。認めていただいている。また、都市の定義は人が集まること。やはり一定の人、企業、様々な情報を集めるということも含めて、都心・三宮の再整備は進められている。
西議員:コロナ前の感覚でやっていること自体が問題。時代は動いていく。それこそ、都市の(定義)と言うが、自治体の役割は一体何なのか。住民の生活を守るために必要なところに予算をきちんと使うべきだ。国土交通省に褒められたと言っているが、まだ国自身が開発型だ。そういう中で神戸市は褒められたから、それがいいことだとは思わない。(都心・三宮における感染症に強い空間ガイドライン等検討会で)委員の中から「にぎわい至上主義からの脱却が必要だ、来訪者数に頼るのではなくコミュニケーションの質や幅の向上が求められる」との意見もあった。いまこそ、(神戸市は)考え方を改めるべきだ。
戦後最大の危機打開、子どもたちのために教育委員会が責任をもって少人数学級の予算を
9月17日 教育委員会審査より味口としゆき議員
質疑項目
1.学校園のコロナ感染対策について
2.中学校給食について
新型コロナウイルス感染症が若者や子どもたちへも拡大し、同時に重症化が起きるという大変大きな心配や懸念があります。神戸市では、多い時には感染が不安で登校できない子どもが1,280人もおり、大変心が痛む事態です。日本共産党神戸市会議員団は、これまでも少人数学級を国に先駆けて実施するよう求めてきましたが、神戸市は「財政面で極めて困難」、「国の責任下で措置する」と、子どもたちや保護者の不安な思いに背を向け公的責任を果たそうとしません。味口議員は「苦しむ子どもたちや保護者だけでなく頑張る教員の声に応え、教育委員会として少人数学級実施のための予算を神戸市に要望するべきだ」と厳しく追及しました。
答弁ダイジェスト
長谷川事務局長:国と歩調を合せて推進していきたい。
味口議員:国と歩調を合せ、市長の顔色をうかがっているようではだめだ。要望すべきところに要望するべきだ。
長田教育長:決して少人数学級を放棄しているわけではない。要望はあるが、実現可能・不可能を考えずに単に市長に要望すべきではないと考えている。
味口議員:今後のことを考えても少人数学級は必要だという意見は一致している。感染症対策も含め、この戦後最大の危機をどのように打開するのかという立場で要望すべきだ。