議会報告

  • 2023年02月27日
    本会議

    新自由主義的政策を根本から転換し、市民のいのちと暮らしを守り神戸経済発展のための施策を

     

     2月20日に神戸市議会本会議がひらかれました。3年にもわたるコロナ禍、物価高騰により、市民のくらし、中小業者の営業はかつてない危機を迎えています。日本共産党神戸市会議員団の森本真議員は、代表質疑に立ち、コロナは自己責任、物価高騰対策は無為無策、5年間で43兆円の防衛費を増やす大軍拡に突き進む岸田政権の悪政の防波堤となり、市民のいのちや暮らしを守り、市民の願い実現のための政策に転換すべきと求めました。


    質疑項目
    1.神戸市の経済政策の在り方について
     (1)神戸市として賃金の上がる政策を
     (2)呼び込み型ではなく、神戸らしい経済発展を
    2.子育て支援策の充実について
     (1)高校卒業までの子どもの医療費の完全無料化について
     (2)学校給食の無償化について
    3.王子公園再整備について
    4.新型コロナウイルス感染症対策について
    5.ジェンダー平等をすすめる市政について


     長期の経済低迷が続くもとでの物価高騰は、アベノミクスの金融緩和による円安と新自由主義的経済政策によって大企業は大もうけをあげる一方、「賃金が上がらない国」となっていることが主な原因です。久元市長自身が総務省時代に創設した、指定管理者制度や区役所業務の民間委託などを持ち込み、「官製ワーキングプア」を生み出しています。来年度予算案では、区役所業務の民間委託をさらに進め、非正規労働者を生み出す事業が計上されています。森本議員は、新自由主義的政策を根本から転換し、ワーキングプアを拡大するのではなく「賃金が上がる政策へ」転換すべきと求めました。さらに森本議員は、神戸空港国際化や三宮再整備などの大型開発に数千億円をかける予算について、インバウンド頼み・大型企業呼び込み型ではなく、市内中小業者・地場産業を応援してこそ神戸経済の発展だと質しました。

     

    答弁ダイジェスト

     今西副市長:指定管理者制度の活用や民間委託の推進は、今後の市の施策推進において不可欠なものと考えている。賃金を含む労働者の労働条件は、労働基準法・最低賃金法などの法令により、国の労働行政の分野で全国統一的に規定すべき事項だ。
     森本議員:長田区にある、ふたば学舎の指定管理料が1150万円も大幅に引き下げられた。神戸市から「人件費を削れ」と言われたそうだ。
     小原副市長:中身は、私どもがチェックして適切であると考えた。
     森本議員:「人件費を削りなさい」と。これが指定管理制度の実態だ。市長は全く答える気がないが、このような制度はやめるべきだ。(民間委託でも)1日8時間で240万円。さらに税や社会保険料を差し引くと200万円以下のワーキングプアになる。神戸市が官製ワーキングプアを生み出しているではないか。
     久元市長:今、国全体で求められているのは、賃金水準をどう上げるのかということ。少しでもこの賃金水準を上げていただくという方向性で、制度の趣旨を考えながら進めていくことが必要だ。
     森本議員:お願いではない。市として公契約条例(従事者の賃金を設定し、自治体・受注者の責任等を契約事項に加えることを定めた条例)をつくるべきだ。
     今西副市長:条例を定めずとも、約款で十分な担保がなされている。
     森本議員:低賃金で働かせているのは神戸市が設置している施設だ。神戸市が賃金を上げなければ改善しない。民間委託で選ばれた会社任せではなく、神戸市が責任をもって官製ワーキングプアをなくすべきだ。


    こども医療費無料化 根拠ない理由で市長公約と市民の願いに背を向ける姿勢改めよ

     日本共産党神戸市議団はこの間、こどもの医療費助成拡大や無料化を議会で何度も取り上げてきました。久元市長は「無料化すると、大病院に子どもが集中し、医療機関が困る」という理由で、中学校3年生までの医療費無料化の公約を反故にして一部負担を残しました。森本議員は、市長が「一部負担導入ありき」の理由とする学者や有識者の意見、新聞報道は全くレアなケースだと指摘し、神戸市の高校卒業まで外来も無料にすべきと求めました。また、学校給食の無料化について、神戸市が「保護者の経済的負担を軽減し子育て支援の充実」を掲げるなら、小中学校の給食費は無償化にすべきと質しました。

     

    答弁ダイジェスト

     久元市長:1回目の選挙公約で、こども医療費無料化を掲げたのは事実。この方針にそって段階的に対応してきた。公約は実施されなければならないという姿勢は議員と同じだ。
     森本議員:無料にすると医療費が増大するとして、一部負担導入の理由にしている。名古屋市(2022年1月から高校卒業まで無料)とさいたま市(中学卒業まで無料)に聞いたが、そのような実態はない。大病院に子どもたちがあふれているという実態もない。事実誤認ではないのか。
     久元市長:名古屋市に行くことはないのでわからないが、本来受けられるべき医療受診の機会が失われるようなことがあってはならないし、必要性が低い受診が促進される政策を打つべきではない。
     森本議員:窓口負担があることによって、経済的理由で必要な医療が受けられない子どもたちがいるのも事実。キャッシュレスの方が病院も喜ぶ。市長の言う根拠は全くない。大きく時代が変わっているのは、こども医療費の助成、無料の制度が全国で増えていることだ。神戸市も無料化にすべきだ。


    出来レース 市民の施設差し出し大学誘致ありきの計画は撤回を!!

     大学誘致について、これまで多くの市民や議会からも見直しを求める意見が上がっているにもかかわらず、神戸市はその多くの声に聞く耳を持たず、突き進もうとしています。王子公園再整備に係る大学設置運営事業への応募はたったの1校、関学のみでした。森本議員は「これほど多くの反対の声が上がっているにもかかわらず、立ち止まって議論することもなく、拙速に進めてきたのは、特定の大学ありきの出来レースだ」と指摘。さらに、これまでの再整備計画案にはなかった旧ハンター邸の移転が今回の予算案で明らかになりました。森本議員は「関学の儲けを最優先にし、市民の公園も文化財もスポーツ施設も差し出すなど認められない」と追及しました。

     

    答弁ダイジェスト

     森本議員:市長は昨年「大学誘致を表明して以来複数の大学から問い合わせをいただいている。王子公園への大学立地に高い関心が寄せられている」と述べたが、しかし結果は1者だけだった。議会と市民を欺く発言だ。
     今西副市長:複数の大学から問い合わせをいただいたことは事実だ。審査項目の合計点が、6割に達しない事業者は選考しないことになっている。
     森本議員:指定管理制度も民間委託もそうだが、1者だと競争性が担保されない。京都府では、参加が1者の場合は運営委員会で手続きを継続するか再公募するかを決める。1者のみで選定される入札はおかしいのではないか。
     久元市長:地方自治法では、指定管理者は競争性を働かせなければいけないという規定はない。
     森本議員:市長は選挙公約だと言い、市民の反対を押し切って進めているが、市民と公約どちらが大事なのか。
     久元市長:大学誘致を含む王子公園再整備は選挙公約だが、公約だけで自動的に進むものではない。議会での議論もしっかり踏まえて進めたい。
     森本議員:2年前はプールや相撲場の廃止、テニスコートの縮小のことは言っていなかった。修正案を出したら、登山研修所を移転、旧ハンター邸も移転と、本当に行き当たりばったりだ。絶対に認められない。


    コロナから市民のいのちと健康守る体制の強化こそ

     第7波に続いて第8波でも医療機関や高齢者施設などでのクラスターの多発、救急搬送の困難事例の増大など、第7波で大問題になったことが、深刻な形で繰り返され、神戸市でもこれまで(2月18日現在)1366名もの死亡者が出ています。政府は新型コロナを第5類に引き下げることとあわせて、感染症対策や検査・治療への公的支援を縮小・廃止させようとしています。病院や高齢者施設から感染拡大や、死亡者の増大、経営のさらなる悪化など悲鳴が上がっています。森本議員は、今、国に追随することなく、コロナから市民の命と健康を守る政策の強化・拡充こそ必要だと質しました。
     小原副市長は「国で考えをまとめる」と国任せにした無責任な答弁に終止しました。

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