議会報告

  • 2023年04月01日
    本会議

    気候危機打開~確立されていない技術に頼らず、再エネ・省エネ推進する道こそ

     3月23日に神戸市議会本会議がひらかれました。日本共産党神戸市議団を代表して山本じゅんじ議員が登壇し一般質問をおこないました。

    質疑項目
    1.地球温暖化対策について
    2.中小企業支援策の強化について
    3.大型開発優先ではなく、市民生活に密着した施策の推進について


     神戸市地球温暖化防止実行計画案では、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の目標は、国の目標を踏まえるとしていますが、国の目標や取り組みは国際的に厳しい批判をされているだけでなく、世界的な取り組みから大きく遅れています。また、昨今の世界情勢の中、海外にエネルギーを依存することは大きなリスク要因になっており、地産地消型のエネルギー促進の重要性はますます高まっています。山本議員は、国の目標にこだわらず、神戸市独自に再エネの利用目標を大胆に掲げ、推進に取り組むべきと質しました。また、今年2月に神鋼石炭火力発電所が全施設稼働を開始したことによって、市域からの発生量をはるかに上回るCO2が大気中に放出されることになります。山本議員は、CO2削減に向けて大きな足かせとなるだけでなく、市民のCO2削減努力に水を差すものであるとし、稼働中止を求めました。

     

    答弁ダイジェスト

     今西副市長:水素社会の実現など、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、神戸の特色を踏まえながら、国や県、産業界などと連携し、脱炭素社会を推進していきたい。
     山本議員:水素を次世代エネルギーのように位置づけているが、水素を製造する時に大量のCO2を排出し、それ(CO2)を海外に捨てることになる。これでは石油と同じで海外依存に変わりなく脱炭素にもならない。島国だからこそ地域でエネルギーを確保することが大事だ。
     今西副市長:エネルギーの地産地消も大事だが、CO2を取り除く技術も重要だ。世界が水素の技術開発を競い、技術革新が達成されると思っている。
     山本議員:それはグリーン水素(CO2を排出しない再エネを使って製造する水素)ではない。グリーン水素を作るには大変高いコストがかかるため、そのまま再エネを使ったほうが低コストだと言われている。さらに再エネと同時に大事なのは省エネだ。例えば既存の学校で増改築や大規模改修を待たずに積極的に断熱改修し、学校の授業などにワークショップとして取り入れることで、教育と啓発という点でも省エネの推進につながるのではないか。
     今西副市長:断熱をおこなう場合には、壁をはつって断熱材を入れるので計画性が必要だが、今後ワークショップも含めて検討したい。
     山本議員:いつモノになるのかわからないような技術を温暖化対策として位置づけるのではなく、今確立されてるものを活かす視点で取り組むべきだ。


    中小企業振興条例の制定と予算の大幅増額で中小企業の支援拡充を

     神戸市は、中小企業支援を施策の中でうたってはいるものの、他都市と比べると中小企業振興のための予算額は少なく、不十分感は否めません。他都市では、中小企業を振興するための条例をつくり、明確な理念と根拠を持って取り組まれています。兵庫県には、中小企業を振興する条例がありますが、それを活用するだけでは自治体としての神戸市の主体性が示されたものとは言えません。山本議員は、神戸市として中小企業を振興するための条例をつくり、中小企業支援へ理念や根拠を持って強力に取り組むべきと追及しました。

     

    答弁ダイジェスト

     久元市長:コロナの影響が残り、様々な資材価格が高騰する中で、中小企業事業者のご意見を聞き、国の支援策を活用しながら刻々と変化していく状況に対応した支援策を展開していきたい。
     山本議員:北九州市や川崎市では、市や金融機関の負債から中小企業を支える姿勢を明確にし、中小企業の振興条例をつくり取り組んでいる。この条例に基づいて議会報告や、取り組み状況の公表もされている。
     久元市長:中小企業振興条例を否定するつもりはないが、他の自治体が制定されているのはそれなり理由がある。神戸市ではDXの取り組みを支援してほしいという、中小企業の皆さんとの意見交換会での声を聞いて支援策をつくった。
     山本議員:京都市と北九州市と神戸市の商工費の比較では、神戸市は京都市の4分の1、北九州市の3分の1しか予算が確保されていない。あまりにも違い過ぎる。これで十分な対策と言えるのか。
     久元市長:数年前に制度融資は県に一元化することになったのが大きいのではないかと思う。その内容はよく精査したい。
     山本議員:制度融資だけが全てではないが、一つの大きなネックになっている。2023年度の企画調整局の商工費予算は6億4000万円だが大部分は補助金だ。一方で経済観光局の商工費は、細やかなメニューが多い。もっと経済観光局の予算を増やし、一つ一つのメニューを充実させれば、十分な手当が行き届くのではないか。
     久元市長:施策が細切れになると固定経費がかかる。できるだけ大くくりにして、大きな効果がある施策を打ち出していかなければいけない。局の予算はよく点検していきたい。
     山本議員:ある中小企業の実態調査報告書では、企業の力点、新規受注確保や人材確保が求められている。また、受注機会にマッチングを積極的に取り組んでほしいという声もあった。日々研さんしながら事業を営む中小企業の皆さんを応援するために予算の増額と振興条例をつくって支援策を充実させるべきだ。


    大型開発事業よりも、市民が安全・安心に暮らせる街の整備優先に

     神戸市が大型事業にまい進する姿勢は明確な一方で、住民生活と密接に関連した樹木の剪定や道路の補修、歩道の根上がりなど、地域密着の事業が脇に置かれている感が否めません。地域の方々からは「最近特に対応が遅くなった」「なかなか改善されない」「いつの間にか樹木が伐採されてしまった」など、以前なかったような声が多く聞かれるようになっています。山本議員は、地域の声にきちんと向き合い、市民の要求に応えられるよう、予算の確保や人員体制を整えるべきではないかと質しました。

     

    答弁

     油井副市長:街路樹の剪定が必要な路線は、おおむね3年に1度実施し、市民からの要望とパトロールを基に優先度を考慮しながら対応している。今後も市民に身近な街路樹の管理や道路の補修を計画的に進め、市民からの要望にも迅速に対応していけるよう努めたい。

ページの先頭へ戻る