議会報告

  • 2024年05月29日
    本会議

    職員の命より職員削減―人口減少理由に命軽視する方針は認められない!!

     5月24日に神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団を代表して味口としゆき議員が議案質疑に登壇しました。

     

    質疑項目

    1.教育委員会職員自死事案と再発防止について

     

     本議案は、2020年2月に教育委員会事務局総務課係長が自死した件について、当該職員の遺族が、神戸市に対して、過重な勤務を認識しながら安全配慮義務を実施せず放置したことを理由に訴えを提起し、神戸地裁が5月16日に下した損害賠償請求を神戸市が不服として控訴するというものです。味口議員は「5月20日の教育委員会・予備審査や判決によって本市の主張に全く道理がないことが鮮明になった」と厳しく指摘し、控訴はすべきでないと質しました。

     

    答弁ダイジェスト
     味口議員:第1の争点は、業務が過重だったことによる心理的負荷の有無だ。裁判での神戸市は「心理的負荷を与えるようなものではない」と主張しているが、神戸市が自ら弁護士に委託した調査報告書では「相当な負担を感じていた」「当該職員については過重な労働」としている。調査報告書の評価とはまったく違う主張だ。
     高田事務局長:調査報告書は過重労働や心身の負担の有無を調査したものであり、安全配慮義務違反の有無を調査したものではない。調査報告書では「過重な労働であったと評価しうるが、その程度が重大であったとまでは評価できない」とされている。
     味口議員:その報告書では「心理的負荷はあった」とされ、判決でも「強い精神的負荷があった」としている。神戸市は「調査報告書を真摯に受け止める」としながら、裁判では全く違う主張をしている。
     2つ目の争点は、長時間勤務の有無だ。裁判での神戸市の主張は「勤務時間は減少傾向にあった」「過重な業務ではない」というものだ。しかし、これも調査報告書では「相当な負荷がかかっていた」と認定している。心理的負荷に加え、業務の過多、長時間労働によって当該職員が追い込まれていったことは認めるべきだ。
     高田事務局長:当該職員の超過勤務時間は法律の基準を超えていない。また、職員負担の軽減のために事務分担の見直しや派遣職員の配置をおこなった結果、客観的に見て過重な業務とまでは認められない。
     味口議員:客観的に見るために調査報告書を依頼したのではないのか。さらに重大なのは、裁判では時間外勤務で申請した以上に「サービス残業」もあるではないかと指摘されている点だ。神戸市が主張している「基準以内だったから大丈夫だ」という認識は成り立つ余地がない。教育長はこの「相当な負荷がかかっていた」という認定を認めるか。
     福本教育長:最終的にこのような不幸な結果になっているわけだから、一定の負荷があったのは間違いないことだ。
     味口議員:その立場に立つのであれば控訴はやめるべきだ。
     争点の3つ目は、安全配慮義務違反だ。神戸市は「声掛けや専門医への受診を促すなどの結果回避措置を十分に講じている」と安全配慮義務違反はなかったという立場だ。調査報告書は「口頭で健康状況を確認するのみで、特段の対応をとらなかったことは不当」と認定している。なぜ安全配慮義務はなされていたと言えるのか。
     高田事務局長:調査報告書では、違法性は否定されている。
     味口議員:裁判では違法だという判決で損害賠償請求されている。強弁するのは無理筋だ。
     福本教育長:安全配慮していなかったとの結果が出ているので、今後の教育委員会のあり方も含めて判断を仰ぐべきかと思う。
     味口議員:判断はもう裁判所が判決を出している。「メールの返信や対応は全部この亡くなられた職員に任せていたことが安全配慮義務違反だ。体調が悪いのだから少なくとも外すとか、やり取りは責任のある人がやるべきだった」という判決だ。認めるべきだ。
     高田事務局長:当該職員は教育委員との連絡調整の窓口として、自分一人で方針を決めて返すということはない。上司に相談し、判断を仰ぎ、それをメールで送るという業務を担っていた。
     味口議員:調査報告書でも判決でも「この職員に任せきりになっていたのが問題だ」としている。顔色が悪いとわかるほどで、不調も訴えているのだから、交代させるとか具体的な手立てが取られなかったことが問題だと真摯に受け止めるべきだ。調査報告書では「当該職員が過重労働になった背景には、重大事案等の発生で、事務局が極度に多忙化するような体制があった」と厳しく指摘されている。職員削減を当然視する市長の下で、こうした歪みが、問題を問題とも認識できない体制になっている。市長は責任を感じないのか。
     久元市長:人口が減少していくなかで職員を増やすことはできない。事務の効率化を図り、仕事を減らし、職員の数も削減していかないと自治体の経営は成り立たない。
     味口議員:いくら人口減少だと言っても、人が亡くなっているのに職員削減を当然視するのは本当に冷たい答弁だ。調査報告書には「当該職員は、真面目で責任感が強く、正面から仕事に取り組み、他人の気遣いも行き届いたタイプとのことであった」との記載があった。こうした真面目な職員が、市長のすすめる職員削減路線のもとで、長時間心理的負荷の強い働き方を強いられ、それを異常とも感じない職場のなかで、自ら命を絶つ、こうしたことは2度と起こしてほしくないし、そのために、職員削減路線をただちに中止すべきだ。
     今西副市長:人口減少が進む我が国で、当然税収も厳しくなるので、職員数を増加することは大変難しい。
     味口議員:災害時も、こういった重大事案が起きた時も「他の部署から回せばいい」と言うが、未来ある係長が自ら命を絶った。税収と人の命とどちらが大事なのか。人口減少を理由に教育の実態を見ずに職員削減路線を当然視するやり方は絶対に認めるわけにはいかない。

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