議会報告
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9月13日に神戸市会本会議がひらかれました。日本共産党神戸市会議員団の森本真議員が議案質疑に登壇し、今議会に提案された議案のうち、以下3つの項目について質疑しました。
質疑項目
1.南海トラフ巨大地震に備えた対策について
2.コロナワクチンの定期接種について
3.議決を経ずに締結した協定について阪神淡路大震災からまもなく30年、この間、日本各地や世界で様々な震災・災害が起きています。神戸市は、内閣府の事務連絡や神戸市防災会議での議論を受けて、能登半島地震の課題等を踏まえた災害対策総点検をおこない、南海トラフ巨大地震への対策として、避難所開設当初からの簡易ベッドや間仕切りテントの配備を補正予算として計上しています。森本議員は、スフィア基準(人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準)を遵守し、人権を守る立場で予算を拡充すべきと求めました。
答弁ダイジェスト
森本議員:今回の南海トラフ対策の補正予算の半分以上が、簡易ベッドや間仕切りなどの購入費だ。避難所開設当初から間仕切りで人権を守る取り組みは当たり前だ。これまで何をしてきたのか。
小原副市長:これまでも簡易ベッドや間仕切りの備蓄に努めてきた。流通備蓄がすぐに活用できないことも想定されるため数を増やすこととした。
森本議員:6年前の議会でもスフィア基準に基づく避難所の改善を求めたが、当局はスフィア基準を知らず、「改善・向上させていく努力をさせていただきたい」と答弁した。この間ほとんど実行されていない。
小原副市長:全小中学校の体育館、多目的室に空調を完備し、備蓄用のトイレ等の整備、間仕切り、簡易ベッドなどの充実に努めてきた。
森本議員:内閣府の「避難所運営ガイドライン」は、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓をもとに2016年に策定され、スフィア基準は国際標準だと記載されている。私が質問したのは2018年だ。さらに2022年にはコロナ対策や、ジェンダーの視点など様々な観点が踏まえられて強化された。来年30年を迎える阪神淡路大震災を体験した神戸市として、避難者の人権を守る立場で、避難所の充実をはかるべきではないのか。
久元市長:避難所に自動車から電力を供給する取り組みも進めている。全国的に見ても進んでいる。今日の指摘も踏まえながら、今後も避難所運営の改善に努めたい。
森本議員:避難所については、どんな災害でも対応できるように、さらにスフィア基準を遵守してどう人権を守っていくのかという立場で改善すべきだ。
コロナワクチン定期接種
接種を断念しないよう市民負担の軽減を新型コロナワクチンは、昨年度まで全額公費負担により、無料で接種をおこなってきましたが、神戸市は10月から65歳以上の高齢者や60歳から64歳の重症化リスクが高い市民に対して、生活保護世帯や非課税世帯等には無料で、それ以外の対象者は3000円を徴収するとしています。都道府県で定期接種費用を助成し、無償化を宣言している自治体もあります。森本議員は、市民の命を守り、重症化防止のためにも、コロナワクチンの定期接種の費用を減免すべきと質しました。
答弁ダイジェスト
小原副市長:国の補助に加え、さらに神戸市で4400円程度を補助し、自己負担額は3000円だ。現在公表している12の政令市の自己負担額も3000円前後だ。近隣4都市は全て3260円で神戸市よりも高い。
森本議員:東京都では都が1000円助成して2500円以下に、渋谷区は無料の方針で、感染が増える冬に向けて、経済的負担から接種を諦めることのないようハードルを下げ、減額や無料接種に取り組んでいる。帯状疱疹ワクチンなどは神戸市と兵庫県で接種費用を助成している。コロナワクチンも県市協調で取り組めないか。
小原副市長:新型コロナは、本人の発症や重症化を予防しようという視点での位置づけで、全政令市で一部自己負担を求めている。他の自治体とのバランスも含めて適切だ。
森本議員:県市協調も含め、市民が経済的負担によって接種を断念しないよう低減化を図るべきだ。
地方自治法違反を起こさないための再発防止策を
第66号議案(令和5~6年度神戸新交通六甲アイランド線耐震補強業務に関する基本協定締結の件)は、本来5億円を超える工事の協定の締結にあたっては「議会の議決が必要」であったにも関わらず、議決を経ることなく、昨年4月に締結した協定について、今議会で追認を求めるものです。森本議員は「本来、市民の代表である議会の議決を経なければならないものが、なぜ忘れ去られていたのか」と厳しく質し、今後の再発防止策を求めました。
答弁ダイジェスト
久元市長:このような事態を招いたことは誠に遺憾であり、お詫びを申し上げる。委託事務契約審査会へ付議する際に作成する委託契約チェックリストには議決対象を確認する項目を追加することにした。
森本議員:最終的な決済は局なのか市長なのか。
今西副市長:この契約の決裁権者は、副市長の私だ。
森本議員:最終的には副市長のミスだ。今の体制で本当に再発防止ができるのか。局まかせでは再発防止にならない。法規等担当がいる行財政局がしっかりチェックすることが必要ではないのか。
今西副市長:行財政局が一括して価格競争(契約)を選定するのではなく、業務に精通している各局が選定することで、適切な業者選定をおこなうことができる。
森本議員:市長は今の対策で本当に今後このような事案が出ないと思っているのか。
久元市長:発生しないように全力で取り組む。
森本議員:議会の議決を経るということは、地方公共団体の長の単独専行に委ねず、条例制定権、議決権を有する議会による抑制を加えることと地方自治法で定められている。すなわち議会のチェック機能により、地方自治体の財政の民主的かつ健全な運営をはかるためにあるということだ。間違っていないか。
久元市長:森本議員の言う通りだ。
森本議員:そうであれば、今議会の議決を経ることなく協定を結んだこの事案は、議会制民主主義、市政の健全な運営を無視する大変重大な問題だ。
久元市長:地方自治法に違反していることはその通りだ。しっかりと全庁をあげて取り組んでいく。
森本議員:最近全国各地で、議会の議決を経ずに小学校などの教師用のデジタル教科書を購入したことが問題になっている。神戸市でもこの教材を単価契約で3億9000万円で購入しているが、議会の議決はしていない。単価契約だからという説明を聞いたが、それは正しいのか。
高田教育委員会事務局長:契約の総額を確定することができなかったから単価契約とした。このような単価契約の場合、議会の議決を要しない旨、行政実例で国から示されている。適切な取り扱いだった。
森本議員:地方公共団体の契約は総価契約でおこなうのが原則だ。教材の購入は1回か2回で総額が3億9000万円という高額だ。その購入額が議決に必要な額(物品は8000万円)を超えていれば議会に諮るべきだ。このデジタル教科書は、何回単価契約したのか。
高田教育委員会事務局長:1回だ。
森本議員:地方自治法の目的は、地方公共団体の健全な発達を保障し、民主的かつ能率的な行政を確保することだ。そのため、地方公共団体の意思を決定する機能と執行機関を監視する機能を担う議会が、市長部局と相互にけん制し合うことで、地方自治の適正な運営ができる。今回のようなことが再び起こらないよう再発防止策を考え直すべきだ。