議会報告
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3月28日に神戸市議会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市議団の朝倉えつ子議員が一般質問をおこないました。
質疑項目
1.非核神戸方式について1975年に、核兵器の持ち込みを拒否する神戸市会決議が全会一致で採択されました。神戸市では、核を載せた軍艦の神戸港入港は認めず、この50年間、すべての艦船に寄港するなら非核証明書の提出をと求めてきました。しかし、3月24日に、アメリカの艦船「WARRIOR(ウォーリア)」が、非核証明書の提出がないまま、神戸港摩耶ふ頭に入港しました。非核証明書を提出しない艦船の入港を許可したことは、市会決議を反故にするやり方であり、平和な神戸の港を築く市民や港湾労働者の願いを踏みにじるものです。港湾局長は、外務省の文書回答と、アメリカ総領事との会談をもって入港を決めたと言います。しかし、港湾局とアメリカ総領事との会談では「個別の艦船についての核兵器の搭載の有無については言及することが出来ない」とアメリカ総領事は発言し、非核証明書の提出を拒否しました。朝倉議員は、市長が非核証明書を提出しない艦船の入港を許可したことについて厳しく追及しました。
答弁ダイジェスト
朝倉議員:2月18日に国から「米艦船入港」の通知があり、市長はその報告を受けたが、なぜ非核証明書の提出を指示しなかったのか。
久元市長:港湾局長の対応が適切であったからだ。
朝倉議員:3月7日に港湾局長は非核証明書の提出がされないという感触を持って市長に会いに行っている。局長の判断が正しいとなぜ言い切れるのか。なぜ市長が指示しないのか。
久元市長:艦船が核兵器を搭載していないことを確認することが、決議を尊重し執行機関として事務執行することだ。私から指示をする必要はない。
朝倉議員:その後、14日の港湾局とアメリカ総領事との会談においても、その場で「個別の艦船についての核兵器の搭載の有無については言及をすることは出来ない」と発言があり、非核証明書の提出を拒否された。そのことを市長は聞いていたのか。
久元市長:核兵器を搭載していないと判断できるので許可をするという方針の報告を受けた。
朝倉議員:なぜ判断ができるのか。
久元市長:外務省の安全保障課長と総領事から回答があったからだ。
朝倉議員:非核証明書の提出を求めるのが市長の役割だ。仮にアメリカが核兵器を搭載していないと言っても、個々の艦船については搭載しているかどうかは言わないという方針だから判断はできない。結局はアメリカに聞くことも求めることもしなかったのではないか。
久元市長:そもそもこの艦船は核兵器の搭載能力がない。
朝倉議員:何度もチャンスがあったのに、一度も非核証明書の提出を求めなかったのは市長の責任ではないのか。
久元市長:朝倉議員の見解だと承った。
朝倉議員:承るということは責任を感じているのか。
久元市長:港湾法を適切に運用する責任を果たしたと思っている。
朝倉議員:果たしていない。アメリカ艦船の入港は、閣議決定である「安保3文書(*下図参照)」に基づく防衛省の文書が背景にあるのではないか。長谷川局長は、経済港湾委員会の質疑の中で、2月18日以前に「これは日本政府と米政府の間で、おそらく決まっている事項」と答えているではないか。
長谷川港湾局長:私が答弁したのは2月18日以前の話ではない。
朝倉議員:局長に市長とのやり取りを聞いても「うろ覚え」と言い、議事録さえ出ない状況だ。今回の寄港に対し総領事は「日米同盟の重要性を世界に示したい」と語っている。神戸市が非核証明書のない艦船入港をなし崩し的に認めたのは、こうした調査を進めたいという日米両政府の思惑があるからではないのか。
長谷川港湾局長:私はコメントできる立場にない。
朝倉議員:港の管理者は市長だ。外務省がいかなる見解を示しても、市民や港を利用する人たちの安全・安心のために取り組むのが、地方自治の立場だ。市長はこの立場で、改めて非核証明書の提出を求めるべきではないか。
久元市長:核兵器を搭載した艦船の神戸港入港を一切拒否するという決議を踏まえて、搭載をしていないかを確認する責務がある。今回は確認できたので許可した。
朝倉議員:アメリカは核を積んでいないとは一言も言っていないから、確認できたとは言えない。この50年間すべての艦船に非核証明書の提出を求めてきたルールを投げ捨て、核兵器搭載の有無も言わないアメリカだけに特例を認めたことが厳しく問われているのではないか。
久元市長:港湾局長の判断は適切であったと思うし、結果として神戸市が港湾法に基づき入港を許可したわけだから、神戸市の対応は適切だった。
朝倉議員:いま、核兵器廃絶を求める世論は、世界で急速に大きく広がり、核兵器禁止条約締約国会議では核廃絶を求める宣言が採択された。非核「神戸方式」を反故にし、非核証明書のない艦船の入港を許可することは、日本の被爆者や平和を願う市民の希望を砕くものだ。
久元市長:意見として聞いておく。
朝倉議員:アメリカと日本政府が有事を想定しているときに、市民や港を利用する人たちの安全・安心のために取り組むのが、本来の地方自治の役割だ。市長がアメリカ言いなり、「日米同盟絶対」の立場にある石破政権に追随し、石破政権が進める「大軍拡」「戦争する国づくり」に、能動的に加担している。あらためて、非核証明書の提出のないアメリカ艦船の入港を許可したことに断固抗議する。