議会報告

  • 2025年06月03日
    本会議

    トランプ関税の影響から市内事業者守るための市独自の直接支援を

     5月30日に神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団の味口としゆき議員が議案質疑に登壇しました。

     

    質疑項目
    1.トランプ関税により影響をうける市内中小業者への調査・支援のあり方について
    2.王子公園の建ぺい率のあり方、及びスポーツ施設のあり方について

     日本共産党神戸市会議員団は4月22日に市長に対し、トランプ関税対策と物価高から暮らしを守る緊急要望をおこない、市内中小業者と市民生活などへの影響調査と神戸市独自の直接支援を求めました。しかし、この度の補正予算は、製造業者1500~2000社の影響調査と小規模事業者への資金繰り支援のみで直接支援はありません。味口議員は、資金繰り支援だけではなく、市独自の直接支援をおこなうべきと求めました。

    答弁ダイジェスト
    今西副市長:10%の関税が発動してから2か月となるが、関税による事業者への影響はまだ明らかになっていない。そのため情報収集する手段として特別調査を実施する。今回の関税措置は、直接的間接的に市内事業者に影響が及ぶことが懸念されているため、市内小規模事業者の資金繰りを支援することとした。
    味口議員:トランプ大統領の一方的な関税措置は日米貿易協定に違反し、世界経済を揺るがす事態だ。直接的間接的に影響を受けると認めるなら、製造業に限らずもっと範囲を広げて調査をするべきだ。同時にこの影響調査で何らかの事態があれば、資金繰りだけではなく、今の中小業者や小規模事業者の実態に見合った直接支援が必要ではないか。
    今西副市長:国や県の支援状況を踏まえながら、今回実施する影響調査を通じて必要な時には機動的に追加の対応をおこなっていきたい。
    味口議員:トランプ関税を機にパナソニックや日産、トヨタなどの大手企業はリストラや賃下げなどのコストカットの方針を出し始めている。これらの企業の関連会社は神戸市にもあるので、労働者の雇用削減や賃金の引下げ、下請けいじめなどコストカットを許さないために神戸市として経済団体や大企業への要請が必要ではないか。
    今西副市長:相談件数はまだ少数だ。今後も相談内容等を見極めて対応を検討したい。
    味口議員:大手の企業には内部留保もあり十分な体力があるが、小規模事業者や中小企業を困らせ、雇用削減につながらないように大手企業に社会的責任を果たさせるという立場でもの言うべきだ。また融資は体力のある中小業者しか受けられない問題もあり、直接支援を求める声がある。検討すべきだ。
    今西副市長:国が出した方針でも状況によっては機動的な対応をおこなっていくことが明記されている。
    味口議員:岩手県や徳島県、群馬県では中小業者への直接支援をして、高松市も国の臨時交付金を使って賃上げ支援をすると決めている。国の動向を見守るだけでなく、影響調査の結果を受けて、神戸市も独自で中小業者への直接支援をするべきだ。


    大学誘致優先し、法を軽視する王子公園再整備計画は撤回を

     

     国土交通省が示す都市公園法運営運用指針では、都市公園はレクリエーション活動をおこなう場所であり、都市環境の改善・生物多様性の確保等に大きな効用を発揮する緑地を確保するとともに、災害時における避難地等としての機能を目的とする施設であることから、原則として建築物によって建ぺいされない公共オープンスペースとしての基本的性格を有するものであるとしています。本議案は大学誘致優先で建ぺい率を王子公園のみ原則の2%から5%に緩和し、さらに上限の上乗せとして10%から14%にするものです。味口議員は、大学誘致を優先し、建ぺい率を引き上げ、公園本来の機能や目的を低下させることは許されないと指摘し、王子公園再整備計画は撤回すべきと求めました。

    答弁ダイジェスト
    今西副市長:法の改正によって地域の実情に応じて地方公共団体自らが(建ぺい率の基準を)条例で定めることができるようになった。従来からのレクリエーションや防災機能などを維持しつつ、公園に求められている機能を実現するための施設を整備するため、建ぺい率を改定する条例改正をおこなう。
    味口議員:建ぺい率が増える主要因は立体駐車場だ。立体駐車場を建設することで基準を超えるから緩和するのがこの議案だ。大学誘致がなければ、立体駐車場は建設する必要はなく基準内に収まる。同時に大学をつくるために、都市公園部分を譲渡し、19万1500平米あった都市公園を15万8000平米にした上で、立体駐車場をつくるために緩和する必要があるということか。
    今西副市長:王子公園駅に隣接するエントランス部分は現在平面駐車場だが、新たに立体駐車場を設けることで、誰もが利用できるオープンスペースが確保できる。
    味口議員:オープンスペースが本当に確保できるなら建ぺい率の緩和は必要なかった。憩いくつろげるスペースのためというが、立体駐車場はくつろげる施設なのか。
    今西副市長:憩いくつろげるスペースの確保のために立体駐車場をつくる。
    味口議員:全く理解できない。立体駐車場が基準を超えるから緩和するというのは、都市公園法の運用指針から逸脱している。今回の計画そのものが、都市公園法が要請している範囲を超えないとできないということを示してる。公園が本来の機能を発揮するためには、100分の2程度が限界であり、かつ公園管理上も無理のない数字であることが実証されているから都市公園法運用指針で留意すべきと明記されている。立体駐車場は公園本来の機能ではないではないか。
    今西副市長:100分の2というのは、法律の制定当時に全国の公園に調査をした結果の数字で、かなり古い年代の法制定の時期の調査だ。
    味口議員:昔に決めたことだからどうでもいいなどと国土交通省は示していない。都市公園のものを除外したり新しいものをつくるために都市公園法の求めを逸脱するような計画を押し通そうとしているから、市民の皆さんは「大学誘致よりも王子公園・王子動物園の充実を」と掲げて運動している。王子公園は30年前の阪神淡路大震災から地域の防災拠点として役立ってきた。防災性の向上どころか防災性を減退させるのではないか。
    今西副市長:まとまった面積のオープン機能を用意するので、避難場所の確保は一層充実する見込みだ。
    味口議員:国土交通省の国土技術政策総合研究所は、阪神・淡路大震災の時に都市公園が緑とオープンスペースが果たした役割を明記している。震災を経験した神戸市が、国が認めている機能を狭めることは正しいのか。昨年9月に市長は、都市公園の役割については一切触れなかった。建ぺい率まで上げて都市公園の本来の機能が損なわれるということに直面して、市長はどのような見解を持っているのか。
    久元市長:積み重ねられた議論に基づく基本計画があり、これを実施するために必要な条例改正だ。大事なことは昔ながらの画一的、形式的、中央集権的、時代錯誤の発想に基づくものではなく、より地方分権の立場に立って、王子公園をより豊かな空間として、生まれ変わらせるという決意のもとに、私達はこの事業を進めていきたい。
    味口議員:都市公園法の理念からもスポーツ基本法が定める基本理念からも逸脱していることを問えば、「中央集権的で画一的」だと。市長として本当におかしい答弁だ。そもそもの原因は、市民の声を聞かずに王子公園の再整備計画を進め、それによって立体駐車場をつくりスポーツ施設なくすということが根本になっている。計画を撤回すべきだ。

ページの先頭へ戻る