議会報告
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10月10日に神戸市議会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市議団の味口としゆき議員が一般質問をおこないました。
質疑項目
1.六甲病院の移転について
2.王子公園の大学誘致見直しについて
3.市民に寄り添った住宅政策の在り方について
4.老朽インフラの改修・整備と職員の削減について灘区土山町にある六甲病院の東灘区深江地区(本庄町)への移転計画が発表されました。六甲病院は2021年に公的病院から医療法人若葉会(以下「若葉会」)に事業継承される際に、地域医療維持への懸念から1万6000人もの反対の署名が集まりましたが強行しました。今回の移転計画について若葉会は、移転は施設の老朽化への対応で「現敷地が急斜面に面しているため工事が難しく、また工事には既存建物を半分機能停止にせざるを得ず、病院の存続が困難になるため現地建て替えを断念した。灘区内では適した土地がなく東灘区で確保した」と神戸市に説明をしています。味口議員は、移転したら困るという地域の方々の切実な声を紹介し、灘区の医療体制を守るため、市として若葉会に移転はやめるよう求めるべきと質しました。
答弁ダイジェスト
味口議員:急傾斜地でも近隣にはマンションも建っている。移転理由にはならない。鶴甲会館跡地などの市の未利用地の活用も含め、現地での建て替えを再考すべきだ。
今西副市長:病院の設置場所は、病院自らが確保・決定するものだ。
味口議員:4年前の事業継承の際、若葉会は「今は建て替えは考えていない」「駐車場を活用して移すことなどは考えられる」と述べている。神戸市は垂水区の徳洲会や北区の済生会病院に支援や助言をしているではないか。
今西副市長:東灘と灘と中央区の一部を神戸市の東部地域としているので、救急輪番病院としての役割は変わらない。
味口議員:地域をひとくくりにして大丈夫だという認識が間違っている。移転先の東灘区の6病院が競合増加による経営悪化を懸念し、移転計画の説明を「了解できない」とする意見書を出している。市民にとって近隣の病院がなくなるのは大きいことだ。民間だから何も言わないという姿勢は改めるべきだ。
今西副市長:要件を満たしているのに病院の開設許可を与えないのは「規則違反行為」だ。中央市民病院も西市民病院も現地での建て替えが難しく移転を決めた。
味口議員:それは机上の議論だ。病院が遠方に移転することで、近隣の高齢患者の通院や入院の見舞い、提携する老人ホームの受け入れ先に支障が生じるのではないかという懸念の声を伝え、灘区の医療を守る立場で動くべきではないのか。
今西副市長:移転時期は2029年だ。若葉会との話し合いで必要なことは要望していきたい。
味口議員:灘区で最大の病床数を持つ病院が移転し、東灘区の病院からも経営上困るという声が上がっている。誰もが喜ばない計画だ。病床数や入院機能という数字だけの問題ではない。積極的な態度で六甲病院の移転問題に対応すべきだ。
大学側からも懸念の声
王子公園再整備計画撤回せよ!神戸市は、市民の「大学誘致より、王子公園・動物園の充実を」という声を顧みることなく、9月に関西学院に土地を引き渡し、10月1日からはジョギングコースやサブグラウンドの一部が閉鎖されました。また、この夏から市民や子どもが愛着をもっていたプールもなくなりました。市長は、大学誘致について「神戸市民が望んでいる神戸の大きな将来像」と語っていましたが、市民にとっては大学誘致のために王子公園が切り売りされ、不便ばかりが押し付けられていると言わざるを得ません。味口議員は、関西学院の利益を優先し、市民に不利益を負わせる計画は今からでもやめるべきと求めました。
答弁ダイジェスト
久元市長:施設の閉鎖や工事着手時には、事前に近隣への説明やビラ配布などをして周知している。計画の見直しは考えていない。スピード感をもって進めていきたい。
味口議員:市長は再整備計画について「防災機能の確保という点で極めて大きな意義がある」としていた。現在、大学敷地が立ち入り禁止となり、新スタジアムもない中で災害が起きた場合、王子公園が広域防災拠点として機能しないのではないか。
小松副局長:各小学校や市有地を代替地として確保している。
味口議員:東部で陸の防災拠点に指定されているのは王子公園だけだ。王子公園には自衛隊やヘリコプターが入る場所だ。小学校では代替できない。極めて無責任な答弁だ。また、大学関係者からは、建設費高騰で新しい学部の誘致が白紙に戻り、さらに総合政策学部・国際学部の一部統合・移転計画も白紙に戻ったと聞いた。神戸市は把握しているのか。
小松副市長:大学側が神戸市に示した提案内容に基づいて再編も含めて検討していると聞いている。
味口議員:大学関係者からは「10億円の違約金を払ってでもやめるべきではないか」という声がある。都市公園法の制限を超える公益性の最大の理由が大学誘致だった。再考すべきではないか。
久元市長:神戸市は9月末に土地の引き渡しが終わっている。国際色豊かなキャンパスの整備に向けて検討していただいていると承知している。
味口議員:大学側は、こうなった以上何か建てなければいけないと困っている。公園は売ったから、後は大学が決めたらいいなどという無責任な態度は改め、市民に不利益な計画は撤回すべきだ。
100倍を超える募集倍率
市営住宅の削減やめよ
久元市長は、8月27日の定例会見で「良質でちょうどいい戸建ての住宅供給」を発表しました。しかし、一戸建て住宅を5年間で5000戸以上供給する一方で、市営住宅マネジメント計画をすすめ7000戸以上の住宅を減らす方針です。物価高騰で暮らしが大変ななかで、市民からは「何度応募しても市営住宅に当たらない」「なぜ募集が少ないのか」という切実な声があがっています。味口議員は、市民の暮らしを支えるために市営住宅の削減はやめるべきと追及しました。
答弁ダイジェスト
小松副市長:市営住宅マネジメント計画は、震災復興で大量供給された住宅の老朽化や構造的課題に対応するため、再編と改修に取り組むものだ。管理戸数は縮減となるが、良好な市営住宅のストックは増える。
味口議員:灘区では八幡住宅と篠原住宅は民間マンションになり、桜ヶ丘住宅は10年間も放置されている。灘区の倍率はほとんどが100倍を超えていて、「ストックが増える」と言うが偏在しているだけではないか。
小松副市長:倍率が高くなるのは、年4回3種の住宅を同時に申し込める神戸市特有の募集方法の結果だ。
味口議員:市長はこの倍率の状況を見て市営住宅を増やそうと思わないのか。公営住宅法では市営住宅をどのように規定しているのか。
小松副市長:市民福祉として重要な政策で、住宅に困窮された方々への住宅ストックの供給などをしっかりおこなっていくものだ。
味口議員:5000戸の住宅を建ててもちょうどよくない人もたくさんいる。100倍にもなってる住宅がいくつもあるのになぜ手だてを打たないのか。
久元市長:先日桜の宮住宅を見たら、以前は旧共産主義国家のように老朽化していたが、良質な民間住宅も建設されて見違えるようなまちになった。市民全体を見て住宅施策をおこなうのが私の使命だ。
味口議員:低所得の市民は見てないではないか。放置している桜ヶ丘住宅は、新自由主義の哀れな末路だ。対策を問うているのに関係のない外国のことを持ち出すのは、真面目な議論とは言えない。住民福祉の立場に立ち、公営住宅法で定められている目的と責任を果たすことが市長に求められていることだ。
大型開発ではなく市民の命・安全守るインフラ整備を
老朽化したインフラを改修・整備をすることは、埼玉県八潮市の下水道事故や垂水区・高曽公園での倒木事故など、市民や子どもの命・安全に直結する問題となっています。しかし、7月に出された「神戸市下水道事業経営計画中間年度における計画の見直し」では、工事費高騰などで老朽化した「汚水管きょの改築」が進んでいないにも関わらず、「計画の見直し」によって、当初の改築目標であった450㎞から290㎞へと目標が引き下げられました。味口議員は、市民の安全を守るために、老朽化したインフラの改修・整備に必要な人と予算をつけるべきと質しました。
答弁ダイジェスト
小松副市長:目標引き下げは技術職員の不足によるものではない。2500㎞の点検調査データを再分析した結果、使用環境が良い管きょは80年を経過しても使用できることが判明した。
味口議員:当初の計画通りでも40億円足せばできた。市長は大阪湾岸道路西伸部について「1兆円かかる」と、物価高騰でもいくらでも出してやろうという意気込みを語っていたが、全国で下水の事故が相次いているのに、ここには予算をつけようとは思わないのか。
久元市長:湾岸道路の延伸と下水道整備に何の関係があるのか。
味口議員:技術職員が少なくなり予算が足りないから、垂水区では倒木事故が起こった。湯水のように予算をつぎ込む大型開発ではなく、地域密着の公共事業へ転換すべきだ。

