議会報告
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3月26日に神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団を代表して山本じゅんじ議員が、2020年度神戸市予算関連議案などに対し反対討論をおこないました。
討論の内容は以下の通りです。
反対討論
私は,日本共産党神戸市議団を代表いたしまして,予算第1号議案、予算第2号議案、予算第4号議案、予算第8号議案から予算第11号議案、予算第13号議案から予算第18号議案、並びに予算関連議案のうち第1号議案から第3号議案、第5号議案、第6号議案、第11号議案、第13号議案、第14号議案、第16号議案、第18号議案、第26号議案、第28号議案の合計25議案について反対し、一般会計予算案等の編成替えを求める動議について賛成する討論をいたします。
ことしの予算案は,市民がノーの審判を下した都市空間向上計画にあくまで固執し,都心三宮周辺の巨大開発や拠点駅周辺のリノベーションなど,震災でできなかったということを口実に、箱物やインフラ整備に巨額の予算を投じていることが特徴です。
また,震災復興と位置づけた神戸空港をはじめ、陸・海・空の強化として国際コンテナ戦略港湾や大阪湾岸道路西伸部の延伸事業など,不要不急の大型開発やインフラ整備にも多額の経費を計上しています。
市民が願う暮らしへの支援は,敬老パス,福祉パスの改悪など、一番困っている弱者に負担を押しつける施策が多く,大型開発予算に比べれば,市民生活応援は不十分です。さらに,市職員のさらなる削減や民間への外注など合理化を推進するなど,市役所のブラック企業化と言わざるをえない新自由主義的変質をいっそう推進するものであります。また、新型コロナウイルス対策も不十分であるということを指摘し、以下、数点にわたって反対の理由を申し上げます。
●まず反対の第1に,都心・駅前再開発など大型開発に前のめりで、地域切り捨てになるからです。
神戸市は2018年に人口減少数が全国一位となりました。市長は「人口減少対策は不十分であった」と認めたものの、打ち出された対策は、マンション誘致が中心の駅前再開発です。駅前へのマンション誘致は、多くが近隣からの転居です。また、同時に局所的な子育て世代の集中を生み出し、保育所・学校施設の不足や、長期的には新たなオールドタウン化をより深刻な形で再現することも想定されます。とても人口減少対策とはいえないものです。
さらに、「市バス配置基準」の設定は、市バスの減便・廃止をすすめ、郊外地域の切り捨てになりかねません。
●第2に、震災後25年続く、陸・海・空におよぶ不要不急のインフラ整備を継続・拡大しているからです。
神戸市は、震災後、空港建設や医療産業都市など、大型開発と企業誘致がすすめば神戸はよくなるとしてきましたが、その結果は、人口の減少日本一です。にもかかわらず、国際コンテナ戦略港湾に91億円、大阪湾岸道路に65億円、神戸空港連絡橋の架け替えに10億円など大型開発に偏重し、医療産業都市や企業誘致に60億円など、来年度予算案も従来路線を継続・拡大しています。これでは、神戸がよくなるはずがありません。
●第3に、大型開発推進と一体に、市民のための公共施設の削減、統廃合を強行しているからです。
都心・駅前再整備は、公共施設の「削減」と「民間開放」をセットで推進しています。
中央区総合庁舎の整備は、駅近に立地する勤労会館と、地域密着の生田文化会館や葺合文化センターを縮小統合して1か所に集約するものです。
名谷・西神中央・垂水駅前の再開発では、住民の合意なく市有地をディベロッパーに差し出し、垂水の2つの体育館・体育室は、不便な場所へ移転・統合です。
また、今後廃止される市立須磨海浜水族園は、産経グループの民間大企業による海浜公園一帯のリゾート開発事業の目玉として再整備されます。しかし、それによって入園料が日本でトップクラスの高さとなり、社会教育施設としての役割が大きく失われてしまいます。
●第4に、新型コロナウイルスや消費税増税の影響を顧みず、市民の暮らしや中小企業を応援していないからです。
たいへん深刻な市民のくらしと中小業者の営業悪化に配慮がなく、新型コロナ対策予算も不十分です。また、高すぎる国民健康保険料や介護保険料が、市民負担を重くしています。敬老・福祉パスは、敬老無料乗車券や母子福祉パスの廃止、バス近郊区上限110円の撤廃などで、いっそうの弱者切り捨てです。さらに、今年度から所得割非課税世帯を含む全世帯への住民税の増税や下水道料金値上げで、年間10億円を超える負担増です。中小企業対策費については、わずか28億円という状況です。
多額の費用を計上し、都心・駅前再開発に固執し、市役所移転を今急ぐ必要は全くありません。緊急に求められているのは、減税と直接支援です。
●第5に、市長が公約実現に背を向け、子育て・教育の充実が置き去りにされているからです。
子ども医療費の「無料化」や「高校生への拡大」は、三年連続の見送りです。学区拡大で負担が増えている高校生の通学費は、ひとり親世帯の通学定期購入補助にとどまっています。一方で、それとひきかえに母子福祉パスを廃止することなどは、子育て・教育の充実に逆行しています。
●第6に、「100%復興」という市長の誤った認識をもとに、被災者を苦しめ続けているからです。
阪神・淡路大震災から25年がたちました。被災者である借上住宅入居者は、市長によって法廷にたたされ、市長への手紙すら読まれることなく追い出しを迫られています。災害援護資金の少額返済者は、突然、市が委託した弁護士法人から全額返済をもとめられ悩み苦しんでいます。被災商店主は、新長田再開発事業によって高い共益費に苦しみ続けています。市長は、被災者の苦難に寄り添い、最後の一人まで被災者を救うべきです。
●第7に、震災以降の、職員定数の削減路線を継続しているからです。
教育委員会では、30代の係長が自死するという事件がおこりました。東須磨小の問題発覚後も抜本的な人員増はおこなわれていません。係長は、10月におよそ100時間の残業となるなど過労死ラインを上回っていました。
また、職員の削減で、あらゆる職場に長時間過密労働が広がり、職員の命と健康は危機にさらさられ続けています。
こども家庭センターに助けを求めてきた小学生を追い返した問題は、休日夜間の窓口業務を、わずか年670万円の委託料でNPO法人に丸投げし、有償ボランティアに対応させていたことが背景にあります。子どもの命を守る最前線にまで、コストを抑えるための職員削減、ボランティア任せという状況は放置できません。
●第8に、市長のトップダウン体制が強化され、市民の声を聞かない市役所への変質が懸念されるからです。
市民参画推進局の廃止は、震災以後の教訓から生まれた「市民参画を推進する」姿勢を放棄するものです。さらに、「男女活躍勤労課」の廃止は、ジェンダー平等という世界の流れに逆行しています。
また、図書館業務の教育委員会から市長部局への移管は、図書館・博物館の政治的中立性の確保が懸念されます。特に名谷駅前の図書館整備は、住民はおろか教育委員会内部での集団的な検討すらされず、市長のトップダウンで提案されたものです。さらに、市長直轄の特命組織「つなぐ課」は、管理職も9名から26名に大幅に増員するなど、トップダウン体制の強化そのものです。市民の声ではなく、市長の命令に左右される市役所づくりはやめるべきです。
以上,反対の理由を申し上げました。
なお、日本共産党神戸市会議員団が提案した予算の編成替えを求める動議は,市長提案の予算から不要不急の大型開発や,都心・三宮再開発の中止,医療産業都市や企業誘致・優遇税制などの行き過ぎた支援の経費の削減,また市民合意のない須磨多聞線の推進や、パークPFIの推進に伴う須磨水族園民営化などを中止し、市民サービスの削減などでため込んだ財政調整基金などを活用し、市債発行を圧縮しながら財源をつくり出しています。その財源を活用することで、新型コロナウィルス感染症や消費税増税から市民のくらしと生業を守り、市民参加と住民に寄り添う市役所への改革を推進し、被災者に寄り添い防災と気候危機対策を抜本的に強めることで、市民が安心して住み続けられる神戸に転換することを推進しようとするものです。さらに、税源の涵養に資する神戸の強みを生かした経済政策を提案しているものです。以上、議員のみなさまのご賛同をお願いし、討論といたします。