議会報告

  • 2020年07月07日
    本会議

    生活貧困世帯への支援、一過性にせず継続的対応を

    6月26日、神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市会議員団の朝倉えつ子議員が一般質問をおこないました。

     

    質疑項目

    1.新型コロナから貧困を防ぐ対策と支援の強化について

    2.コロナ禍で役割を果たしている公的病院の維持充実について

    3.個人情報の保護について

     

     生活困窮世帯に対する就学援助について、神戸市の昨年度の認定者数は18,195人、児童生徒数の16.6%にもなっています。新型コロナウイルス感染症に影響をうけて、追加申請が受け付けられ、5月21日までの追加申請者数は、約200世帯に上っています。

     朝倉議員は、「貧困層の家庭に、より犠牲が集中している。緊急事態宣言以降、自宅待機や時間短縮を求められ、失職や減収で生活が厳しいという声も届いている。ひとり親世帯への加算の給付などは大変重要な対策だ」と神戸市としてさらに継続した支援を求めました。

     

    答弁ダイジェスト

    寺﨑副市長:経済的支援策は国において、ひとり親世帯臨時特別給付金の支給が決定している。できるだけ早く給付するようにつとめたい。

    朝倉議員:他都市では児童扶養手当を受給されている方へ、休校支援や食事支援など市独自の予算で支給が始まっている。コロナ禍で突然の学校一斉休校、保証なしの休業要請、給付金の大幅な遅れなどが市民の暮らしを深刻にし、その中でもひとり親世帯が困難に直面しているのが実態だ。こういう方々に申請なしで直接支援を早く届けることが大事ではないか。

    寺﨑副市長:市の施策として給付金の上乗せという方策ではなく、収入確保のために安定した仕事に就いていただくよう就労支援に力を入れている。

    朝倉議員:ひとり親世帯向けの就業電話相談窓口を増設されているが、困っていてもお昼の時間帯には行けないという声を聞いている。平日だけではなく、夜間・休日も開設し、電話相談だけではなく各区に暮らしや就業の相談などができるように総合の窓口つくっていただきたい。

    寺﨑副市長:電話による相談事業の拡充の他にも各区役所とひとり親家庭支援センターで相談やお困りごとをうかがい、会計年度任用職員の採用や、生活福祉金、住宅確保給付金、就業相談などの案内をしている。

    朝倉議員: 神戸市が休校中の昼食として生活が困窮する就学援助世帯に発送した3000円相当の食材が届き、本当に助かったという喜びの声を聞いている。教育委員会として引き続き援助をしていただきたいと思うがいかがか。

    長田教育長:今は学校が再開し給食も始まっている。今後はしっかりした献立で行き届いた給食を提供する。

    朝倉議員:第2波第3波に備えて、引き続き検討をお願いしたい。コロナの危機が経済を低迷させ、今後も長期に渡ることが予想されている。経済的に脆弱なひとり親家庭にさらなる困難を及ぼす危険があるので、今の一時的な支援に留めず継続した支援にしていただきたい。


     感染拡大防止に全力を-済生会・三田市民の病院の統廃合はありえない

     

     北区の済生会兵庫県病院と三田市民病院は、コロナの患者受け入れに備えて、発熱外来や患者受け入れの体制も整え、ピーク時には、済生会兵庫県病院が北区の患者を一手に受け入れ、大事な役割を果たしました。

     今後第2波第3波が懸念されるコロナ禍において、こうした公立公的病院の役割がますます重要になっている今、公立病院をはじめ民間を含めた医療機関の機能をどう維持させ拡充させていくか、行政の支援のあり方こそ問われている時に、病院の機能を縮小するような統合などありえません。済生会病院当局は「経営は厳しいが病院としての使命を果たす。統合再編はしない」と説明しているにも関わらず、神戸市の担当者は、「病院の統合の可能性を肯定も否定もできない」などとあいまいな態度です。朝倉議員は、無理な統合はやめよと進言する立場で尽力するべきと強く求めました。

     

    答弁ダイジェスト

    寺﨑副市長:北神三田急性期医療連携会議への参加は、済生会兵庫県病院より要請を受けて決定した。

    朝倉議員:医療圏が違う。はからずもコロナの中でそれぞれの病院が今の医療体制の中で奮闘されて、医療体制の強化の重要性が求められる時代になった。病床を減らすような議論ではなく、市民の皆さんの命と安心な医療体制を守り、急性期医療も身近な医療を守るという立場で進言すべきだ。

    寺﨑副市長:北神三田地域の急性期医療・地域医療の充実確保をはかれるように神戸市の立場として参画を続ける。

    朝倉議員:コロナでそれぞれ役割を果たしている地域医療が深刻化している最大の要因は、医師・看護師の人員不足だ。医師・看護師の確保に向けて支援することこそが求められている。地域の公的病院の機能を縮小するような連携・統合はやめよという立場でのぞんでいただきたい。


    自衛隊へ名簿提供政府言いなり止め、市民の個人情報の保護を優先させよ

     

    今年2月に神戸市は、自衛隊神戸地方協力本部と覚書を結んだことで、5月に22歳の東灘区の男女の名簿の提供、そして、この6月末までには18歳の市内全域の男女名簿を自衛隊に提供します。自衛隊は自衛官募集の案内を市から受け取った名簿先に送ります。

     神戸市は、自衛隊と覚書を結んだ根拠は、自衛隊法97条及び同施行令120条だと言っています。この法の解釈として、国会で2003年に石破防衛庁長官は、「自衛隊に依頼をしているだけで、答えられないというなら仕方ない」と述べ、また、2015年には中谷防衛大臣は、「資料の提出は自治体が実施し得る可能な範囲での協力をお願いしています」と答弁しています。

     朝倉議員は「自衛隊法及び同施行令の協力依頼で、義務付けられていないものを提供する必要などどこにもない」とし、個人情報の保護に基づき、電子媒体での名簿提供はやめるべきと強訴しました。

     

    答弁ダイジェスト

    久元市長:募集対象者情報を提供することは法令に根拠があり、また神戸市個人情報保護条例においても提供制限が解除されていることから提供可能と考えている。

    朝倉議員: 2003年国務大臣(中谷防衛大臣)は、「住民基本台帳法第37条は国の機関等が情報提供を求めることができるという規定だが、これは例えば統計を作るということに限定して解釈すべきと一貫しており、基本的な情報は閲覧か写しの交付」と答弁している。資料は統計の提供ということだ。

    岡口副市長:自衛隊法等に基づく資料の提出は、総務省としても可能と確定した見解である。住民基本台帳法に基づくものではなく、自衛隊法または施行令に基づくものであり問題ない。

    朝倉議員:神戸市の個人情報保護条例の手引きでは「特定除外個人情報の目的外の利用または提供が原則として禁止されている趣旨を踏まえ、合理的かつ限定的に行わなければならない」としているが、どのように考慮するのか。

    岡口副市長:原則としては禁止されているが、同条例で定めた場合には「できる」という立て付けになっている。

    朝倉議員:18歳と22歳の本人の意見を聞いていない。本人の同意もなく有無も言わせず名簿提供するのではなく、本人の同意をとるべきだ。自衛隊の募集案内がダイレクトメールで届くのは嫌だという人への配慮はすべきだ。個人情報保護法制定が、住民基本台帳法の閲覧制度の大転換をもたらした。憲法13条では、「個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求権は、公共の福祉に反しない限り最大尊重を必要とする」と明記されている。神戸市は個人情報を憲法上どのように位置付けされているのか。

    岡口副市長:自衛隊への資料提供は、法令に基づくものであるから、憲法上保証されている権利に反するものではない。

    朝倉議員:法律の解釈を変えてはいけない。自衛隊法施行令はお願いベースで義務条項ではない。法令等の規定は厳格に限定的に理解し、個人情報はしっかり守る立場に行政が立つべきだ。プライバシー権すなわち情報コントロール権は自己にあるということが尊重されなければならない。コロナで大変な時に自衛隊のリクルート活動のために長い時間をかけ市民のために働く職員の手を止めさせてまでやるべきことではない。名簿提供はやめるよう求める。

     

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